お待たせしました!
引き続き欧州自動車博物館巡りの旅は、ハンブルク PROTOTYP Museumの後編をレポートしていきます。(相変わらずの長編になります・・・^^;)
1954年 ボルクヴァルト ハンザ 1500 スポーツクーペ(Borgward Hansa 1500 Sportcoupe)
ボルクヴァルトは、1920年代から1960年代まで存在したドイツの自動車会社。そのボルクヴァルトが、プライベートレーサーを対象に3台のみ製作したクルマだそうです。この個体以外の2台はレース用エンジンが搭載された“レーシングクーペ(Racingcoupe)”として造られ、1953年のルマンに出場しました。
ボルクヴァルトと言うと、ミドルクラスのセダンのイメージが大きいですが、このスポーツクーペはレーシングユースを考慮して造られたこともあって、当時の最新の雨滴型空力処理が施されていますね。
フロントのボルクヴァルトを象徴する菱形を基調としたラジエータグリルと、リヤにかけて続く流麗な雨滴型デザインの融合がとても魅力的なクルマですね。
ちなみに、こちら↓はPROTOTYP Museumの展示車ではありませんが、市販モデルのボルクヴァルト ハンザ1500。
※2009年アウトシュタット(ウォルフスブルク)にて撮影
1949年 フォルクスワーゲン WD SPORTS (Volkswagen WD SPORTS)
こちらは前編にも登場したデンゼルの初期モデル。デンゼルは当初“WD イクイップメント(WD Equipment)"という名称で呼ばれていました。ちなみにWDとはウォルフガング・デンゼルの頭文字ですね。
1953年 ダネンハウアー&スタウス VWスペシャル(DANNENHAUER & STAUSS)
1951年~1957年の間にドイツのコーチビルダー“ダネンハウアー&スタウス”は、フォルクスワーゲン(VW) ビートルのシャシにハンドメイドのボデーを備えたモデルを約100台ほど製作しました。今日、世界中で現存するダネンハウアー&スタウスは19台と言われています。ちなみに、日本ではFLAT4が1台所有していますね。
1949年 ペーターマックス ミュラー ワールドレコードカー (Patermax Muller WELTREKORDWAGEN)
このクルマは1948年~1950年に多くの成功を収め、最大限に性能を高められた1100ccのフォルクスワーゲン製フラット4エンジンと空力的なボデーで、当時のスポーツカーの基礎を築きました。
4基のキャブレターと圧縮比を高めたフラット4エンジンは、メタノール燃料を用いることで78馬力を発揮しました。また、このペーターマックス・ミュラー自身が設計した空気抵抗低減(ロー ドラッグ)ボデーによって、10,968kmを平均速度152km/h,約72時間で走りきるワールドレコードをモントレーで達成しました。
ちなみに現在もこのクルマに搭載されているフラット4エンジンは、あの伝説的なポルシェ typ 64 ベルリン‐ローマレーサーの残り物から組み上げられたモノだそうです。
1951年 NSUワールドレコードカー (WELTREKORDWAGEN)
1951年にNSUはこの500cc,110馬力のレコードカーで、ミュンヘン-インゴルシュタット間のアウトバーンにおいてフェルディ・レーダーのドライブにより1km,5km,10km,1マイルの4つ世界速度記録を樹立しました。また、同日の夕方には350ccエンジンにて、更に2つの世界速度記録も樹立したそうです。
個人的には、こういう速度記録のために造られたいわゆる“レコードブレーカー”のカタチって大好きなんですよね~^^;
近年のパワーユニットがジェットエンジンになり、マッハ1を超えるようになって「ジェット戦闘機の羽根もいで車輪付けた方が速くね(笑)」的なレコードカーは興味がわかないですが、この時代に駆動力を地面に伝えてスピード記録に挑んだレコードカーは、どれも美しい造形をしています♪
1953年 ロメッチュ ポルシェ スパイダー (ROMETSCH Porsche Spyder)
ドイツ ベルリンのコーチビルダー“ロメッチュ(ROMETSCH)”が、フォルクスワーゲン(VW)ビートルのシャシにポルシェ550スパイダーの部品を織り交ぜて製作したクルマ。
当初は1100ccのエンジンを搭載して製作されるも、後に550スパイダーの1500ccユニット(フールマンエンジン)に換装されたそうです。
後はどこかでモディファイしてきたようですね・・・(@o@;)
シャシはビートルなので、フロアはほぼVWですね。
この簡素なABCペダルが、このクルマがレースカーだったことを伺えますし、フットレストも鋼板を曲げただけで、おまけに軽量孔まで空いていて超合理的ですね^^;
1960年 ポルシェ 718/RS60 (Porsche 718/RS60)
ポルシェ550スパイダーの後継車として開発された718は、1960年のセブリング,1959年,1960年及び1963年のタルガフローリオ,1958年~1961年の欧州ヒルクライム選手権で優勝し、ポルシェのレーシングヒストリーに成功をもたらし続けました。
718/RS60ですね。PROTOTYP Museumのラインナップにおいては、718でもメジャーなクルマの様に思えてきますね^^;
↑シャシ構成では、フロアに配置された両サイドの2本の太い鋼管フレームが550と比べて細くなり、立体的なスペースフレーム構造に進化しています。
1966年 ポルシェ 904 カレラGTS シャシNo.052 (Porsche 904 Carrera GTS S/N:052)
今回の欧州自動車博物館巡りの旅、3日目にして早くも3回目の登場!!904です^^;
904はフェルディナント・アレクサンダー“ブッツィー”ポルシェによって設計され、GFRP製のボデーワークを採用したことで、ポルシェ社におけるアルミニウム製ボデーの時代は終わりを迎えました。このS/N:052の904は、以前はフランスの有名な元F1レーサー ジョー・シュレッサーが所有していました。彼はこの904を主にラリーやサーキットレースなどに使用していました。そして、この個体には当時のオリジナルの1966ccフラット4(カレラエンジン)が搭載されています。
1960年 718/2-02 フォーミュラ1(718/2-02 FORMEL 1)
1950年代後期、718/2は前述のスポーツカー 718を基にして造られ、1960年のF2選手権において、ポルシェにコンストラクターズチャンピオンシップをもたらしました。翌1961年からはF1への参戦を開始し、その後1964年まで718/2-02は参戦していました。
これ↑は718/02のフロントのトーションアームですが、フォルクスワーゲンの品番が見えますね^^;
ちなみに、この外観↑のホイールでディスクブレーキを採用しています。まさか、F1カーがこの巨大な円盤(ブレーキドラム)を、ホイールを取り付けるためだけに残しているとは考えにくいので、興味深々で裏側を覗くと。
なんと、ブレーキドラムの裏側にブレーキディスクが付いていて、内側からキャリパーで挟んでいます!(@o@ )y
この方式のVW用のディスクブレーキKITがあれば、是非欲しいですね!
1991年 ジョーダン191 ミハエル・シューマッハ (JORDAN 191 M.schumacher)
ミハエル・シューマッハが最初にドライブしたF1カー。きっかけはチームのドライバーの急な欠員から、チーム代表のエディ・ジョーダンが1991年のベルギーGPの代役ドライバーを探していたことに始まります。そこへ当時メルセデス モータースポーツ部門のマネージメントディレクターであったノルベルト・ハウグの援助によって、メルセデスジュニアチームで最も優秀なドライバーであったミハエル・シューマッハにチャンスが巡ってきました。
奇しくもここを訪れたのは2013年12月28日。まさか、翌日にシューマッハがあんなスキー事故に遭うとは思いもよりませんでした・・・早く昏睡状態から目覚めて、回復することをお祈りします。また、ハンドルを握るシューミが見たいな。。
1998年 アウディ R8R PROTOTYP (Audi R8R PROTOTYP)
1998年に製作されたこのR8R PROTOTYPは、Audiが翌1999年からルマンを舞台に戦うという野心の現れでした。以来、この12年間で計10回もの優勝を挙げることとなりました。
1952年/1953年 フォルクスワーゲン‐タトラ エンジン(VW-TATRA Motor)
このレーシングエンジンはエリッヒ・ケプラー(Erich Kappler)によって設計され、フォルクスワーゲンのフラット4のエンジンブロックと、2つのタトラ87のシリンダーヘッドを組み合わせて造られました。さらに、そこにチェーンドライブのオーバーヘッドカムシャフト(OHC)を組み込むことで、このエンジンは70馬力を出力することに成功しました。
このエンジンの興味深いところは、本来OHVのVW製フラット4をチェーンドライブのOHCに変更している点ですね。たしかにVWの空冷フラット4は構造がシンプルなので、見ていると色々と妄想が湧いてきますが(笑)、彼は実際にやっちゃったんですね^^;
1958年 ポルシェ597 (Porsche 597)
ポルシェ597は、傾斜角45°までのアプローチが可能な4輪駆動のオフロードカーで、50馬力にデチューンされた356用フラット4ユニットを搭載しています。
このクルマのタイヤサイズは、ラクダの足がサハラ砂漠の砂に沈む深さを基に決定されました。
1942年 キューベルワーゲン&シュビムワーゲン(VW TYP 82 & VW TYP 166)
キューベルワーゲン(画像上)と同様に、第二次大戦中の1942年~1945年にドイツ軍向けに製造された水陸両用の4輪駆動車です。キューベルワーゲンが、ベースとなった国民車(フォルクスワーゲン TYPEⅠ:後のビートル)と同じ2輪駆動であるのに対して、シュビムワーゲンは4輪駆動を採用しています。
展示車両のほかにも、↓356を使ったゲーム筐体や・・・^^;
ポルシェが開発した1.5リッターターボ時代のTAGターボF1エンジンのオブジェ↓
何気ないところに置いてあるフールマンエンジンのヘッド↓
など、PROTOTYP Museumはメーカー系のミュージアムに比べれば小規模ですが、その1台1台にはとても深いエピソードが秘められていて、とても素晴らしいミュージアムです。
本来は、後編に企画展も入れようかと思っていましたが、PROTOTYP Museum編も後編が盛りだくさんになってしまった(しかも1台1台が濃い)ので、「911 50周年記念展」の模様は、次回に特別編としてレポートしたいと思います。911ファンの皆様、もうしばらくお待ちくださ~い^^;
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