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2017年02月01日

欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムⅡ part 2

欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムⅡ part 2









こんにちは~

前回は主に“Typ 356”以前のDr.フェルディナント・ポルシェ(Ferdinand Porsche)の軌跡をメインに辿ってきた“欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムII”ですが、今回はいよいよ“Typ 356”から始まるポルシェロードカーの歴史をポルシェミュージアムの素晴らしい車両解説と共にレポートしていきたいと思います♪(今回は“911”の登場までですが、それでも長編となってしまいましたので(笑)、お時間のある時によろしくお願いしますm(_ _)m)

前回をご覧になりたい方は↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/1499353/blog/39214602/

欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015を最初からご覧になりたい方は↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/1499353/blog/35064111/

1949年 ポルシェ 356/2 グミュント カブリオレ(Porsche 356/2 Gmünd Cabriolet)

第二次世界大戦後、最初のポルシェ(Porsche)のスポーツカーは、オーストリアのグミュント(Gmünd)で造られました。

1948~1951年の間に、53台の“356”が労働集約型の手作業(ハンドメイド)で製作されました。また、少量のコンバーチブルモデルの生産は、ウィーンにあるコーチビルダー カイブル(Keibl)社に外注生産していたようです。

1949年のジュネーヴモーターショウでデビューした“356/2”は、控えめな出力ながら素晴らしい加速とブレーキ性能を実現していました。

パワーユニットは1,131cc,40馬力の水平対向4気筒OHVエンジンから最高速度140km/hに達しました。

この個体はセマフォー(腕木式)のサイドマーカを備えていて、フロントにライトユニットしか存在していないため、フロント周りの造形がとてもシンプルですね。


1950年 ポルシェ 356 クーペ “フェルディナント”(Porsche 356 Coupe "Ferdinand")

1950年の復活祭前の“洗足木曜日(Maundy Thursday)”、シュトゥットガルトで造られた最初の“Typ 356”が工場から出荷され、ポルシェの歴史の新しい章が始まりました。

テスト車両にニックネームを付けるポルシェの伝統に従って、この展示車両は“フェルディナント(Ferdinand)”と名付けられました。この個体は、1950年9月3日に75回目の誕生日を迎えたフェルディナント・ポルシェ教授へのプレゼントであると同時に、“車上のテストベンチ”とも呼ばれていました。

パワーユニットは1,086cc,40馬力の水平対向4気筒OHVエンジンを搭載して、最高速度140km/hを実現しました。


1953年 ポルシェ 356 アメリカ ロードスター(Porsche 356 America Roadster)

北米市場専用に生産されたこの新しい“ロードスター(Roadster)”は、その当時生産されていたどの356シリーズよりも軽量で、軽量化されたドア構造やアルミニウム製の軽量ボデー,挿し込み式のサイドウインドウや幌によって、車重はわずか605kgしかありませんでした。

この“ロードスター”は、インテリアもスパルタンで明確にレースのために仕上げられた“スピードスター(Speedster)”の先駆的なモデルといえます。

パワーユニットは1,488cc,70馬力の水平対向4気筒OHVエンジンを搭載して、最高速度は177km/hに達しました。

この“アメリカ ロードスター”、後の“スピードスター”の祖先となったのは解説文の通りですが、個人的には1953年という時期的なことも考慮すると、フロントに開けられたブレーキ冷却孔や背面に2面装備されたグリル↑など、生産型の“550”とも共通点が見られる興味深い1台ですね。


1954年 ポルシェ 356 1500 クーペ(Porsche 356 1500 Coupe)

ツッフェンハウゼン(Zuffenhausen)でのサクセスストーリーは、この中央に支柱のないフロントウィンドウを持つ特徴的なモデルからも、一目で判ります。

中央部が曲ったフロントウィンドウ,ボデーから離れた位置に装着されたバンパー,高級感のある内装は、356シリーズが絶え間なく進化してきたことの証です。

また、この展示車両はポルシェロゴの紋章(ポルシェ クレスト)を持たない最後のモデルだそうです。

パワーユニットは1,488cc,55馬力の水平対向4気筒OHVエンジンを搭載して、最高速度160km/hを実現しました。


1954年 356 スピードスター プロトタイプ(Porsche 356 Speedster Prototyp)

この最初の“スピードスター プロトタイプ”は、発表と同時に旋風を巻き起こして伝説になりました。

ポルシェは、アメリカのポルシェインポーター マックス・ホフマン(Max Hoffman)の依頼を受けて、3,000ドル以下で販売することが可能なスパルタンな装備の356を生産しました。

この“スピードスター”は、専用のレイントップ(幌)と挿し込み式のサイドウインドウ,外部から取り付けられた低いフロントウインドシールドを特徴としていました。そして、当初はアメリカ国内のみで販売されたようです。

パワーユニットは1,488cc,55馬力の水平対向4気筒OHVエンジンを搭載して、最高速度155km/hに達しました。

この個体はプロトタイプということで、生産型の“スピードスター”と異なるディテールがいくつか見られますね♪

まずは、前回取り上げた記事にも書いていましたが、“スピードスター”の特徴でもあるボデーサイドのモールがありませんね。このモールの有無で、結構クルマ全体の印象が変わってきますね^^;

また、幌とフロントウインドウの留めつけ方法↑も、一般的な金属製のラッチとは異なり、革ストラップが使われているようです。

内装もパッと見では黒のように見えるシートとドアの内貼りは濃紺で、とてもセンスのいい組み合わせであることが判ります♪


1959年 ポルシェ ディーゼル シュレッパー“スタンダード”(Porsche-Diesel-Schlepper "Standard")

トラクターは、たとえそれが1956年に著しい効率主義の基に設計されたものであったとしても、コレクターズアイテムになり得ます。その機能的な仕様書を書く際に、フェリー・ポルシェ(Ferry Porsche)はエンジニアたちにトラクターの本質を“操作しやすい多用途な道具”と定義づけました。

トラクターは、フリードリヒスハーフェン(Freidrichshafen)のポルシェ‐ディーゼル‐モトーレンバウ社(Porsche-Deisel-Motorenbau GmbH)にてライセンス生産され、1963年までにこれらのトラクターは約120,000台が販売されたそうです。

パワーユニットは1,644cc,25馬力の直列2気筒ディーゼルエンジンを搭載して、最高速度は20km/hまで出たそうです^^;

近年、ポルシェのWEC復帰を歓迎したアウディのCMや、アウディのWEC復帰を願うポルシェのアンサーCM※でもお馴染みのポルシェ‐ディーゼルのトラクターシリーズですね♪

※詳しくは関連情報へ


個人的に気になったのは、この↑フロントホイールですが、PCD(ナット座ピッチ直径)が空冷VWや356Bまで使用されていた205mmのように見えます^^;


1962年 ポルシェ 356B カレラ 2 カブリオレ(Porsche 356B Carrera 2 Cabriolet)

0-100km/h加速、9.4秒。このクルマは、これまでの約2倍の出力を持つエンジンを搭載することで、その偉業を成し遂げました。

この最もパワフルな356の派生モデルのうち、コンバーチブル仕様は僅か34台が造られたに過ぎず、そのすべてが豪華なインテリアで仕上げられたそうです。

また、1962年4月にはポルシェがフォーミュラー1カー“タイプ 804(Type 804)”のために開発したディスクブレーキシステムも採用しました。

この(カムシャフト駆動用の)垂直シャフトを持ったパワフルな2リッターエンジンの性能は、“カレラ2(Carrera 2)”というモデル名にも反映されています。

その強力なパワーユニットは1,966cc,130馬力の水平対向4気筒DOHCエンジン(フールマン:Fuhrmann)によって、最高速度200km/hを実現していました。

356シリーズでディスクブレーキを装着したモデルは、最終型の356Cになってからで、“初期の911シリーズと共通のPCD130mm,5Lugのスティールホイールを履いている”というのが一般的な識別ポイントですが、この“カレラ2”は例外です。

ディスクロータを内側からキャリパーが掴むという特異な設計↓で、PCD205mmながらディスクブレーキ化に成功しています。

※写真はF-1カーの“タイプ804”のブレーキ廻り

ボクが常々葛藤しているのが、“ベック550スパイダー”におけるディスクブレーキとPCDの関係です。550において、スタイリング上はオリジナルと同様のPCD205mmのスティールホイールというのが1つの望ましい姿ともいえますが、ブレーキの発展性やヴァリエーションを考えるとディスクブレーキも捨てがたい^^;

本来PCD205mmはドラムブレーキありきの設計で、後年に一般的な外側キャリパーのディスクブレーキを採用したモデル(356C,911~)ではPCD130mmを採用しています。

実際、うちの550は前後とも既に通常(外側から掴むタイプ)のディスクブレーキになっているので、PCD130が正しい選択とも言えます。見た目を重視していくか、内面の落とし前を着けるか(笑)、この辺の拘りは個人の心情的な部分にもなってくるので、なかなか難しいですね・・・^^;


1964年 ポルシェ 911 2.0 クーペ(Porsche 911 2.0 Coupe)

“911”の原型は、1963年のフランクフルト インターナショナル モーターショウ(IAA)で、“356”の後継車として発表されました。

“911”はレスポンスの良い6気筒エンジンのみならず様々な点において、それまでのモデルとは異なっていました。

また、プジョー(Peugeot)が3桁の数字の中央に“0”を使うネーミングの権利を主張したことから、当初の“901”というネーミングを撤回せざる負えませんでした。そこでポルシェ社は、“911”という不思議な数字を選んだのです。

パワーユニットは1,991cc,130馬力の水平対向6気筒SOHCエンジンを搭載して、最高速度210km/hを実現しました。

いよいよ“911”の登場ですね。今でこそポルシェの代名詞となった“911”ですが、ポルシェ自身が車両解説で“不思議な数字”と言ってしまっているところが面白いですね^^;


“356”から始まるポルシェロードカーの歴史をレポートしてきた“欧州自動車博物館巡りの旅 2014⇒2015 ポルシェミュージアムⅡ part 2”ですが、“911”が登場したところで一端区切りにしたいと思います。

今回も長文になりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございますm(_ _)m

次回は、いよいよ“911”から始まるポルシェロードカーの歴史第2章をレポートしたいと思います♪
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Posted at 2017/02/01 01:11:04

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この記事へのコメント

2017年2月1日 21:59
356特集ですね!
356の特に初期ものは、ほんとタイヤが超ツラウチですよね(笑)
タイプⅠは別にそうでもないのに356は電車みたいですが、これは何か意図があるんでしょうか。いつも思います(^^;
量産は流石にタイヤハウスカバーつける訳にはいかず、タイヤ隠しが当時の空力対策だったのかな~とか(笑)
コメントへの返答
2017年2月3日 20:55
今回は、ほぼ356だけで結構な分量になっちゃった^^;

やっぱり、当時の流線型理論(ヤーライ理論)では、いかに空気を抵抗なく後ろに受け流すかが課題だったから、指摘の通りタイヤを超内側に付けることで、タイヤハウス内でタイヤの乱気流を完結させたかったんじゃないかな~

タイプⅠは乗用車に対して、356はスポーツカーだから、空力的なアプローチもかなり違ったんだと思う^^;
2017年2月1日 22:04
しまえる様。

こんばんは〜

ブログ、、凄く、勉強になりました。
次回、楽しみにしています(^O^)
コメントへの返答
2017年2月3日 20:56
こんばんは~

どういたしまして^^;

356はヴァリエーションも豊富で進化の歴史自体が面白いですよね♪

次も頑張って更新します!
2017年2月1日 23:35
前回同様楽しく拝見させていただきました。

「おたまじゃくし」が「かえる」になり 笑
この「かえる」くんが現在もまだ世界のトップレースで進化してる・・・

こんなこと当時の誰が想像したでしょう?

この先私達があの世に行って、100年後、、、

ポルシェ911が生産されていたら・・・
見てみたいです!
コメントへの返答
2017年2月3日 21:07
どういたしまして!

そうですよね~
何度かの大きな変革を乗り越えつつも、30年代の原案をベースに60年代に基本構想が出来上がったクルマが、未だに進化を続けて人々を魅了し続けているんですから、改めて“911”の凄さが判りますよね♪

自分も100年後の“911”が見てみたいです!
たぶん100年後に見ても「あっ、911だ!」ってクルマになっているような気がします^^;
2017年2月2日 21:41
こんばんは^^

ポルシェ原点の356は当時、最先端
を行く高性能だったことが分かりますね。

ビートルを祖先に持ち、発展型として
進歩しましたが、今でも十分な性能
なのは驚きですね。

・・・ホンモノは買えなくてもレプリカ
の356欲しい(^^;)
コメントへの返答
2017年2月3日 21:25
こんばんは~

そうなんですよね~

出力だけを見ると、一見非力なように感じますが、前回登場の“サッシャ”で心得たパワーウエイトレシオの妙や最先端の空力理論で、驚くべき動力性能を持ていますよね!

356は年代ごとに色々なヴァリエーションがあるので、スターターセットのような感じでレプリカを買って、自分も目指したい理想形に向けてカスタムしていくのも、面白そうですよね~♪
2017年2月6日 20:33
こんばんは。
356益々欲しくなりました!

356アメリカロードスター、550見たいですね。

しかし1950年なんて自分が産まれる2-30年前だからそんなに昔に感じないけど40馬力とかなんですね〜。
コメントへの返答
2017年2月7日 20:16
こんばんは。

356魅力的ですよね~^^;

アメリカロードスターは、やはり550みたいに見えますね♪

そうなんですよね。そう考えると、50年代~90年代頃までのエンジンの技術革新って凄い勢いがありますよね。
今は若干、行き付くところまで行った感がありますが・・・
2017年2月14日 23:31
わぁいヽ(´▽`)/
356にスタンダードスター特集だぁ〜♪( ´▽`)
我が家のポルシェ219は1960年式でフロントホイールが130ピッチなんですよ?218迄が205ピッチだと記憶しています⭐️
コメントへの返答
2017年2月17日 19:23
こんばんは~

今回は、むねたけさん向けのラインナップになりました^^;

やはり、“218”はPCD205mmなんですね!!
しかも、PCD130mmも採用されていたんですか~♪

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