お久しぶりです!
前回からだいぶ時間が空いてしまいましたが、欧州自動車博物館巡りの旅2014⇒2015“ムゼオ フェラーリ マラネッロ(Museo Ferrari Maranello)”パート3として、銀幕を飾ったフェラーリとロードカーについてレポートしていきます♪(今回もなんだかんだで台数も多く超大作になってしまったので、お時間に余裕のある時にどうぞ~^^;)
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では、銀幕を飾ったフェラーリから見ていきましょう!
1970年 フェラーリ 512 S(Ferrari 512 S S/N:1016)
フェラーリは、1970年のスポーツカー選手権に参戦するために“512 S”を開発しました。
この個体(S/N:1016)は、あの有名な1971年の映画“Le mans(栄光のルマン)”のために、スティーブ・マックイーン(Steve Mcqueen)率いる“ソーラープロダクション(Solar Production)”によって購入されたクルマだそうです。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:87mm × 70mm,4,993.53cc,550馬力のバンク角60°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速は340km/hに達しました。
“栄光のルマン”というと、ガルフカラーの“ポルシェ 917K(Porsche 917K)”の印象が強いですが、その正に“対抗馬”(笑)として登場していたのが、この“512 S”でした。この個体(S/N:1016)は、主に劇中の#5号車及び#6号車の撮影に使われたようです。
また、“実際の1970年ルマン”にもスイスのレーシングチーム“スクーデリア・フィリピネッティ(Scuderia Filipinetti)”から出場していて、現在は当時のカラーリングに戻されているようです。
ちなみに劇中で最も印象的なシーンの1つでもあるクロード・オーラック(Claude Aurac)の駆る#7号車の“512 S”が、インディアナポリスコーナーを突っ切って爆発炎上するシーンでは、シャシNo.1024(S/N:1024)のルーフとカウルをローラ T70(Lola T70)のシャシに被せたクルマが使用されたようです。
1964年 フェラーリ 275 GTB(Ferrari 275 GTB)
“275 GTB”は、フェラーリとして初の4輪独立式サスペンションを備えたロードカーでした。そして、先代の“250”シリーズよりもパワフルであり、車両バランスにも優れ、成功を約束されていました。“275 GTB”は、すぐさまセレブリティや王族から称賛されました。そして、当然“ハリウッドの人々”からも称賛されました。
最初のプロトタイプは、“250 GTO '64('64年型ボデーの250GTO)”の製作が終わった直後に造られ、初期の数台はレース用にアルミニウムでボデーが製作されました。
1964年のパリ モーターショーで発表された“275 GTB”は、“ピニンファリーナ(Pininfanina)”によってデザインされた“ファストバックスタイル”を筆頭に“ロングノーズ”,“カットオフテール(コーダトロンカ)”,“流麗で曲線的な造形”、“象徴的なラジエーターグリル”など、直ちに“フェラーリ”と判るスタイルで登場しました。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:77mm × 58.8mm,3,286cc,280馬力のバンク角60°V型12気筒エンジンから最高速258km/hを実現しました。
この個体は、特に特定の映画で使用されたというわけではないようですが、前述の“栄光のルマン”でもフェラーリ陣営のパドック裏には“275 GTB”の改良型“275 GTB/4”が停まっているシーンが映し出されているほか、スティーブ・マックイーンもプライベートで“275 GTS/4 NART スパイダー”や“275 GTB/4”を愛用していたようです。
また1976年には、“早朝のパリの街をフェラーリ 275 GTBが全開走行する”という短編映画“ランデヴー(C'etait un Rendez vous)”が“フランスの映画監督クロード・ルルーシュ(Claude Lelouch)によって撮られています↓
VIDEO
アウトローな走りもさることながら、この12気筒サウンドには酔いしれてしまいますね^^;
ここで、何やら気配を感じて振り向くと・・・
御大が、こちらに微笑みかけていました(不敵な笑みかも^^;)
続けて、フェラーリのロードカーについて、もう少し見ていきましょう!
1961年 フェラーリ 250 GT カリフォルニア スパイダー “パッソ コルト”(Ferrari 250 GT California Spider “passo corto”)
“250 GT カリフォルニア”は、当時のレース用ベルリネッタ(クーペ)と同等の性能を持ったオープンモデルで、2,600mmのロングホイールベース(LWB = passo lunga)シャシを採用して、1958年から生産されました。
ベルリネッタ(クーペ)が、1960年型から2,400mmのショートホイールベース(SWB = passo corto)シャシを採用すると同時に、“カリフォルニア”もこのSWBシャシを採用するようになりました。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:73mm × 58.8mm,2,953.211cc,280馬力のバンク角60°V型12気筒の通称“コロンボユニット”を搭載し、最高速は230km/hに達しました。
近年ではオークションでの“高値”で話題に挙がることが多い“250 GT カリフォルニア スパイダー”ですがSWBとLWBの違い以外にも、この個体のように直立したヘッドライトを持つ個体と、“250 GTO”のようなプレクシーグラスで覆われたヘッドライトを持つ個体が存在します。後者の方は、アメリカではコルベットのシャシをベースとしたキットカー(Kitcar)も販売されるほどの人気を得ています。
フェラーリ 400 スーパーアメリカ(Ferrari 400 Superamerica)
“400 スーパーアメリカ”は'60年代初期において、パフォーマンス面のみならず、贅沢でもあり、そして他を凌駕する究極のグランドツーリングカーを望んだ限られた顧客のためだけに造らたモデルでした。
そのため、このモデルには顧客の要望に応じた特別な装備や機能が備わっていることが、特徴だそうです。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:77mm × 71mm,3,967cc,340馬力のバンク角60°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速220km/hを実現しました。
“ムゼオ エンツォ フェラーリ モデナ パート1” で取り上げた“500 スーパーファスト(Ferrari 500 Superfast)”は、このクルマの後継モデルになりますね。
1963年 フェラーリ 330 アメリカ(Ferrari 330 America)
“330 アメリカ”は、外観上は“250 GTE 2+2”と同様のスタイリングながら、4リッターのV12エンジンが搭載されています。
この“330 アメリカ”は、50台がアメリカ市場のために製作され、このスタイルのボデーを持つロードカーとしては、最後のモデルだそうです。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:77mm × 71mm,3,967cc,320馬力のバンク角60°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速220km/hを実現しました。
ディーノ 246 GTS(Dino 246 GTS)
“ディーノ(Dino)”シリーズは、エンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)の若くして亡くなった息子の追悼の意味を込めて名付けられ、ロードカーは1967年に2リッターの“206 GT”からスタートしました。
1969年には、排気量を2.4リッターに拡大した“246 GT”が登場します。展示車両は、取り外し可能なルーフ“タルガトップ”を備えた“246 GTS”と呼ばれるモデルで、1972~1974年の間に生産されました。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:92.5mm × 60mm,2,418cc,195馬力のバンク角65°V型6気筒エンジンを搭載し、最高速240km/hを実現しました。
前後の大型化されたサイドマーカーから一目で“北米仕様”と判るディーノですが、“ホワイト(あえてビアンコではなく^^;)のGTS”というのも北米らしい個体ですね♪
フェラーリ 365 GTB/4(Ferrari 365 GTB/4)
この“365 GTB/4”は、当初プレクシグラスの下に対となる4灯の固定式ヘッドライトを備えて登場しました。
しかし、この方式のヘッドライトは当時のアメリカの車両法規に適合していませんでした。そこで、重要なマーケットであるアメリカ市場の要求を満たすため、ポップアップ式(リトタクタブル式)のヘッドライトを採用しました。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:81mm × 71mm,4,390cc,352馬力のバンク角60°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速は275km/hに達しました。
前回の
“ムゼオ フェラーリ パート2” で取り上げた“365 GTB4 “デイトナ” Gr.4”のベース車両になります。
フェラーリ 365 GT4/BB(Ferrari 365 GT4/BB)
“365 GT4 BB(ベルリネッタ ボクサー:Berlinetta Boxer)”は、フェラーリのロードカーとして、初めて12気筒エンジンをミッドシップに配置したモデルでした。その12気筒エンジンは、4.4リッターの180° V型が搭載され、1976年に排気量を5リッターに拡大したモデル“512 BB”へとバトンタッチされました。
パワーユニットはボア径 × ストローク:81mm × 71mm,4,390cc,380馬力のバンク角180°V型12気筒エンジンを搭載し、気になる(笑)最高速は車両解説によると“300km/h”だそうです。(あの有名な“302km/h”ではないようです・・・排気量も車両解説では4,990ccになってるし、これもイタリアンジョブか・・・^^;)
しかし、背景の影響か文句なく“ザ・アメリカ”って感じに写っていますね^^;
1987年 モトーレ F40 V8 ビターボ(Motore F40 V8 Bi Turbo)
こちらは“F40”に搭載された2,936cc,478馬力のV型8気筒ツインターボエンジンです。
1995年 フェラーリ F355 チャレンジ(Ferrari F355 Challenge)
この“F355 チャレンジ”は、フェラーリ車でモータースポーツに参加するオーナーをサポートするプログラム“コルセ・クリエンティ(Corse Clienti)”のレースシリーズのために、1995年に造られ、このレースシリーズは、アメリカ、日本、そしてヨーロッパで行われました。
今日では、このレースシリーズ“フェラーリ チャレンジ(Ferrari Challenge)”は、“458 エヴォ(458 EVO)”で行われています。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:85mm × 77mm,3,495.5cc,380馬力のバンク角90°V型8気筒エンジンを搭載して、最高速度290km/hを実現しました。
フェラーリ 550 バルケッタ ピニンファリーナ(Ferrari 550 Barchetta Pininfarina)
この“550 バルケッタ ピニンファリーナ”は、ピニンファリーナ(Pininfarina)の70周年を記念して製作された“550 マラネロ(550 Maranello)”のフルオープン限定モデルです。そのために“ピニンファリーナ”の名が、車名の一部となっているようです。
このクルマの開発コンセプトは、50年代前半の“バルケッタ(Barchetta)”や“スパイダー(Spider)”と呼ばれたクルマ達の思い出を、現代に呼び起こすことにありました。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:88mm × 75mm,5,474cc,485馬力のバンク角65°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速320km/hを実現しました。
“550 マラネロ”とアメリカと言えば、2003年の映画“バッドボーイズ 2 バッド(BAD BOYS 2 BAD)”の中でウィル・スミス(Will Smith)扮する“マイアミ市警のマイク(Mike)”の愛車として登場していますね。ただし、序盤のカーチェイスシーンをよく観ると、同じチタングレーメタリック(グリジオ・チタニオ=Grigio Titanio)の“550 マラネロ”と“575M マラネロ”を使い分けている事が判ります^^;
2002年 モトーレ フェラーリ エンツォ(Motore Ferrari Enzo)
こちらは“エンツォ(Enzo)”に搭載された5,998cc,660馬力のV型12気筒エンジンです。
フェラーリ SA アぺルタ(Ferrari SA Aperta)
この限定モデルは、セルジオ(Sergio)とアンドレア(Andrea)2人(SとA)のピニンファリーナ(Pininfarina)を記念して造られた“599 GTB フィオラーノ(599 GTB Fiorano)”のオープンヴァージョンです。
このクルマの特徴は、オープンとされたキャビン後方に“360スパイダー”や“F430スパイダー”などのミッドシップオープンモデルと類似した処理を施し、そこに左右対となる特徴的な“フライング バットレス(飛梁)”が設けられていることです。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:92mm × 75.5mm,5,999cc,620馬力のバンク角65°V型12気筒エンジンを搭載し、最高速は330km/hに達しました。
フェラーリ カリフォルニア T(Ferrari California T)
“カリフォルニア T”は、フェラーリのロードカーとして、あの伝説的なモデル“F40”以来のターボテクノロジーが復活したモデルとなります。また、それと並行して今シーズン(2014年シーズン)からF1にもターボエンジンが復活しました。
また、“カリフォルニア T”は2+2のシート配置と折り畳み式の洗練されたメタルトップを備え、贅沢が約束されたグランドツーリングカーでもあります。
パワーユニットは、ボア径 × ストローク:86.5mm × 82mm,3,855cc,560馬力のバンク角90°V型8気筒ツインターボチャージドエンジンを搭載し、最高速316km/hを実現しているようです。
2008年に発表された“カリフォルニア(California)”のビッグマイナーチェンジモデルと言える“カリフォルニア T”ですが、ヨーロッパで主流のダウンサイジングターボの流れを受けた最初フェラーリのロードカーと言えますね。
前モデルは、ネーミングからも判るように前述の“250 GT カリフォルニア スパイダー”にインスパイアされたデザインコンセプトを採用していましたが、このモデルでは↑フロントフェンダーのキャラクターラインに、ポンツーンフェンダーを採用した'50年代の“250 テスタロッサ”の面影を見ることが出来ます♪
欧州自動車博物館巡りの旅2014⇒2015“ムゼオ フェラーリ マラネッロ(Museo Ferrari Maranello)”パート3は以上になります。
フェラーリ ロードカーの歴史を“アメリカ”という視点から振り返ってみると、やはり主要マーケットとして、フェラーリのラインナップにも大きな影響を与えていることが判る面白い企画だったと思います。
ロードカー特集ということで、結構あっさり終わるかと思ったのですが、車両解説だけでは物足りず(笑)追記が多くなって、結局長くなってしまいました^^;
最後まで読んで頂いて、ありがとうございますm(_ _)m
次回は、いよいよムゼオ フェラーリ マラネッロ(Museo Ferrari Maranello)”編最後の“パート4”として、ペブルビーチ(Pebble Beach)を模したエリアに展示されたフェラーリのスペシャルモデルを中心にレポートします。