こんにちは。最近、雨が多いですね。。。
先々週末もそんな雨の中、富士スピードウェイで行われたFIA世界耐久選手権 第7戦 “WEC 6 hours of Fuji”に観戦に行ってきました!(やはりスポーツカーレーシングには目がないので、色々語ってしまい超長編ですが、長過ぎて文字数オーバーになってしまったので、前編・後編に分けてレポートします^^;)
1週間前から天気予報と睨めっこしていましたが、1週間変わることなく週末は雨の予報でした。
しかし、今シーズン限りでワークスポルシェがWEC LMP1カテゴリーから撤退することが決まっているので、ラスト”919 Hybrid”を応援しに、550で行くことにしました!
2017.10/14(土)
夜も明ける前から550を駆って御殿場を目指します。

岩手を出発した時は全く雨も降っておらず、淡い期待を抱きましたが、郡山付近で雨と遭遇。

夜が明けてきましたが、圏央道に入っても雨模様は続きます。

午前9時頃、無事に富士スピードウェイに到着!
まもなく”サーキットサファリ”なるイベントでWEC車両の走行があったので、ヘアピンの立ち上がりで観戦します。

早速、ヘアピンでワークストヨタの“TS050 Hybrid”と富士急行の“日野 セレガ”によるサイドバイサイドを拝むことが出来ました!爆
ここで、今回の“WEC 6 hours of Fuji”に参戦する車両をクラス別に紹介していきましょう。
まずは、トップカテゴリーのLMP1-Hクラスから。
#1 PORSCHE LMP TEAM “Porsche 919 Hybrid”
#2 PORSCHE LMP TEAM “Porsche 919 Hybrid”

ポルシェは、2リッターV型4気筒ターボエンジン+MGU-H(排気エネルギー回生ユニット)を組み合わせたパワーユニットとフロントにMGU-K(モータ・ジェネレータ・ユニット)を搭載して、ハイブリッドLMP1カー特有のレギュレーションである“1周あたりのエネルギー放出量”は“8MJ”を選択した“919 Hybrid”を2台体制でエントリーしています。
ご存知のように、ハイブリッドカーは減速時に“エネルギーの回生”が出来ることを最大の強みとして2000年代以降大きくシェアを伸ばしてきました。後述するトヨタや昨年までエントリーしていたアウディが、減速時にタイヤの回転によって生み出されるエネルギーを回生しているのに対して、ポルシェはタイヤの回転によるエネルギー回生に加えて、ターボ加給時にタービンの回転からもエネルギーを回生している点が特徴的です。
モータによるエネルギーの回生と聞くと、やはり”加速に費やしたエネルギーの一部を少しでも取り返す”といったニュアンスで語られることが多いですが、逆に溜め込んだエネルギーで必要な時にモータを回して、エンジンの出力を補うことで異次元の加速を実現できるメリットもあります。
この理論をポルシェの“MGU-H(排気エネルギー回生ユニット)”に当てはめると、溜め込んだエネルギーでモータを回して、必要な時に最適な加給圧を得られることにもなります!
”919 Hybrid”でのレース活動は今年限りで終了になりますが、この技術が後々のポルシェ市販車に搭載されるとすれば、なかなか面白い“ポルシェ ターボ”となって日の目を見るのではないでしょうか^^;
#7 TOYOTA GAZOO RACING “Toyota TS050 Hybrid”
#8 TOYOTA GAZOO RACING “Toyota TS050 Hybrid”

一方トヨタは、2.4リッターV型6気筒ツインターボエンジンに前後にMGU-Kを搭載して、エネルギー放出量はポルシェと同等の“8MJ”を選択した“TS050 Hybrid”を2台体制でエントリーしています。
TS050はヘアピン立ち上がりで見ていると、ハイブリッドシステムとエンジンとの協調制御の影響からか、“コッ!”という独特の排気干渉のようなサウンドを残して、シフトアップしていく姿が、とても印象的です。
続いて、LMP2クラス
#31 VAILLANTE REBELION “Oreca 07 - Gibson”

昨年までLMP1のプライベータークラスに参戦していた“レベリオン レーシング”がヨーロッパで人気のレースコミック“ミシェルヴァイヨン”とのコラボカラーでLMP2に参戦してきました。
LMP2クラスは、今年から使用できるシャシとエンジンが制限されて、シャシの方は“オレカ(Oreca)”、“リジェ(Ligier)”、“ダラーラ(Dallara)”、“ライリー(Riley)”の4ブランドから選択、エンジンは“ギブソン(Gibson)”製の4.2リッターV型8気筒NAエンジンのワンメイクとされましたが、WECに参戦するチームは全車”オレカ”を選択したため、事実上”Oreca 07 - Gibson”のワンメイクとなっています。
#38 JACKIE CHAN DC RACING “Oreca 07 - Gibson”

こちらも前述のように“Oreca 07 - Gibson”を使用した中国のチームで、チームオーナーはあのジャッキー・チェンが務めています。今年のルマンを観ていた人は記憶に新しいと思いますが、トラブルが続発するワークスLMP1勢をしり目に、一時総合トップを快走し、あわや総合優勝するのではないかと思わせるほどの活躍を見せたのが、この#38号車です^^;
#36 SIGNATECH ALPINE MATMUT “Alpine A470 - Gibson”

このクルマ、エントリー名は“アルピーヌ A470 - ギブソン”となっていますが、LMP2のレギュレーションに則り、オレカ製のシャシを使用しています。チームは最近”A110”を復活させるということで話題になった名門“アルピーヌ”が運営しています。
LMP2カテゴリーは“プライベータの参加”が義務付けられているため自動車メーカーは参加できません。現在、自動車を生産していない“アルピーヌ”は参加出来ていますが、市販車の生産に乗り出すとLMP2活動できなくなるというジレンマを抱えることになります^^;
つづいて、GTE-Proクラスを見ていきましょう!
#67 FORD CHIP GANASSI TEAM UK ”Ford GT”

”GT”クラスは文字通り、市販GTカーをベースにレース車両に仕立てられたクルマで戦うので、路上で見かけるクルマに姿が近いというのが人気の秘訣ですが、時として”コロンブスの卵”的なクルマが出てくるのも、このクラスの魅力の1つです。
この“フォードGT”もそんな1台で、他のGTEカーがベース車両を持つのに対して、フォードGTはまずこのレース車両を開発して、それから市販ヴァージョンを発売するというレースに勝つ為に
は何でもあり 生まれてきたクルマです。
またアメリカンレーサーでありながら、“お約束”のV8エンジンをキッパリと捨て去って“エコブースト”なるV型6気筒ツインターボエンジンを搭載した辺りも本気度が伺えます。そして、この市販車離れしたスタイリングが、その出生を物語っていますね^^;
#71 AF CORSE ”Ferrari 488 GTE”

GTE-Proクラスにおいて、事実上フェラーリの“隠れワークス”的な存在の“AFコルセ”は、3.9リッターV型8気筒ターボエンジンを搭載する“488 GTE”を2台体制でエントリーしています。
#92 PORSCHE GT TEAM ”Porsche 911 RSR”

こちらはワークスポルシェがGTE-Proクラスにエントリーしている“ポルシェ 911 RSR”です。最大のトピックは、なんといっても駆動方式がこれまでの伝統的な“RR”から“MR”に変更になったことでしょう!
一般的に考えて“それアリかよ!”というレベルのモディファイですが、面白いのがレギュレーションでエンジン搭載方向の変更(横置き⇔縦置き)は禁止されているにもかかわらず、搭載位置の変更には規制がないことです。つまり、ポルシェの認識では“911のエンジン搭載位置を前にずらしただけ”なんだそうです(笑)
これで長い“911”の歴史の中で、エンジンがリヤ車軸を越えて前にやってきたのは、90年代後半の“911 GT1”シリーズに続いて2度目になります。
#95 ASTON MARTIN RACING ”Aston Martin Vantage”

デイビッド・リチャーズ率いる“プロドライブ(Prodrive)”が運営する“アストン マーティン レーシング”は、4.5リッターV型8気筒NAエンジンを搭載する“ヴァンテージ”を2台体制でエントリーしています。
プロドライブとアストンマーティンの関係は、GTEクラスの前身にあたるGT1クラス時代に“フェラーリ 550マラネロGTS”から“アストンマーティン DBR9”にスイッチして以来ですが、その後のGT1クラス終焉に伴ってGTE車両として開発されたこの“ヴァンテージ”も、そろそろ最古参の存在となってきました。
最後に、型落ちのGTE車両でプライベーター同士の戦いが繰り広げられるGTE-Amクラスで気になったクルマを紹介していきます。
#77 DEMPSEY-PROTON RACING “Porsche 911 RSR (991)”

この“911 RSR”は、アメリカの俳優パトリック・デンプシーがオーナーを務める“デンプシー プロトン レーシング”のクルマです。ワークスの“911 RSR”はMR化されましたが、こちらは昨年型のため”RR”のままです^^;
ワークス#92号車と比較すると、MR化された現行型の方がリヤ周りの空力処理の自由度が増しているのが判りますね。

サーキットサファリが終わる頃、912/6乗りのうさぎ㌘が到着したので、一緒にピットウォークの参加しました!
まずは、ポルシェLMPチーム #2号車のピットへ

相変わらず、凄い人の列が出来ていましたが、

終了間際になんとか、サインカード↓をもらうことが出来ました。

おまけにベックの鍵に、F1デビューも決定してノリに乗っているブレンドン・ハートレー(Brendon Hartley)のサイン↓も貰っちゃいました~!

ちょっと薄いけど・・・

ポルシェGTチーム #91号車のピットは、ちょうどフレデリック・マコヴィッキィ(Frederic Makowiecki)が満面の笑みでピットの中へ消えてゆくところです^^;

人だかりが消えて、クルマをゆっくり見られるようになったので、各チームのピットを散策していきます。
こちら↓は、#77 デンプシー プロトンレーシングの昨年型“911 RSR”

昨年は、これでもエアロ系が格段に進化した印象を受けましたが、今年のワークス“911 RSR”を見ると大人しくさえ見えてしまいます。
こちら↓は#31 レベリオンレーシングのピット。

LMP2は最低1人はアマチュアドライバーが参加することになっていますが、ここのプロドライバー2人は、ニコラ・プロスト(Nicolas Prost)&ブルーノ・セナ(Bruno Senna)という、“セナプロ”コンビです!フロント右のカナードを日の丸にペイントしてくれていますね♪
#26 Gドライブレーシングのピット。

ロシアの石油企業ガスプロム社の“G-DRIVE”ブランドがスポンサードするロシアのチームです。
#7 トヨタガズーレーシングのピット。

予選に向けて、何かセットアップ中でしょうか。
#38 ジャッキー・チェン DC レーシング

この唐草模様のような特徴的なカラーリングがアジア的ですが、“JOTA Sport”の文字が読み取れるところを見ると、チーム運営自体はイギリスのジョタ・スポーツが手掛けているようです。
#67 フォード チップガナッシ チームUK

とても”GT”カーとは思えない薄さですね^^;
#1 ポルシェ LMPチーム

こちらも予選に向けて、セットアップに余念がない様です。

予選が始めるので、グランドスタンドでグラタンを食べながら観戦します。

若干霧も濃く、天候も心配ですが・・・

予選が始まりました!

トップタイムを出したのは、ポルシェ#2号車!

2番手にも、ポルシェ#1号車が続きます。
総合の予選結果は、
1位:ポルシェ #2 (LMP1-H)
2位:ポルシェ #1 (LMP1-H)
3位:トヨタ #8 (LMP1-H)
4位:トヨタ #7 (LMP1-H)
5位:レベルオンレーシング #13 (LMP2)

となりました。
続いて、軽自動車を改造したレースシリーズとして人気のK4-GPのエキシビジョンが、始まりました~
往年のレナウンチャージカラーを纏った“AZ-1”↓に、
”チームオレカ クライスラーバイパーGTS”や“コルベット C7R”を思わせる“カプチーノ”
そして、なんと“ポルシェ 935”と見紛うような“カプチーノ”!
こちら↓は東京R&D“カドウェル”のシャシに“GT40”風のボデーを被せたクルマ。
こちら↓も、あの“ロスマンズ ポルシェ 962C”をダウンサイジングさせたボデーを被せたクルマ。
だいぶ霧が濃くなってきましたが、この日のプログラムは無事終了。
グランドスタンド裏の出展ブースを散策します。

今年は、昨年まで大型ブースを構えていたアウディの撤退により、メーカーの出展ブースはトヨタとポルシェの2メイクスです。

トヨタは、往年のグループCカー“TS010”や“TS040”,“TS050”に加えて、新ブランド“GR”なども展示していました。

ポルシェは、“919 Hybrid”のモックアップと物販ブースという構成です。来年からは、ポルシェブースもなくなってしまうと思うとちょっと寂しいですね。。。
駐車場へ向かう途中で、ちょうどデンプシー プロトンレーシングの“911 RSR”が車検を終えてピットへと移動中でした。
後編へつづく!