そんな中、"スーパー耐久シリーズ"の第1戦として開催された"NAPAC 富士 SUPER TEC 24h"は、政府の要請するイベント人数制限5000人規定に合わせて、晴れて観客を入れてのモータースポーツイベント開催となりました。
今年はもう世界選手権格式のレースを国内で観戦するのは不可能ということや、みん友で大学時代の後輩のkimu_ninetyくんからも誘われていたこともあり、観戦に行くことにしました~
通常のレースであれば、土曜日は予選で日曜日に決勝となるので、土曜日はマッタリできるのですが、24時間耐久レースは土曜日に決勝がスタートするので気が抜けません。
ちょうど眼下には、WRカーのノウハウを使って鳴り物入りで登場した"GRヤリス"とMORIZOこと豊田章男社長にインタビューしようとしているリポーターの井澤エイミーがいました~
スーパー耐久シリーズは、元々は"N1耐久シリーズ"が基になっており、"N1"つまり改造範囲の狭い市販車ベースの車両たちによるレースでしたが、現在はSRO(ステファン・ラテル オーガニゼーション)の提案により世界的に大ヒットした"GT3"車両、及び"GT4"車両、そしてWTCRでお馴染みの"TCR"車両が認可され、全8クラスが混走するレースとなっています。
GT3車両に続くのは、その下位クラスに当たるGT4車両となるのが順当ですが市販車改造クラスST-1の"GR SUPRA"がGT4クラスより速い5位に付けていますね。
この辺りがFIA規格のGT3→GT4→TCRと旧来からのST-1→ST-2→ST-3→ST-4→ST-5といった2体系のカテゴリーが入り乱れたスーパー耐久シリーズの面白いところですね。
#19の"BRP★SUNRISE-Blvd718GT4MR"の方はFIA規格の"GT4"クラスからのエントリーで、#12の"FMR Porsche Cayman GT4"の方はスーパー耐久規格の"ST-1"クラスからエントリーされています。
#19の"Cayman GT4"はニュルブルクリンク24hの名門ガレージにしてポルシェのスペシャリストとして名高い"Manthey-Racing(マンタイレーシング)"が手掛けた"GT4"車両であるのに対して、#12の"Cayman GT4"はポルシェのワンメイクレースシリーズ"ポルシェ スプリント チャレンジ"に出場している車両で昔風に言うならば"Cupカー"と言ったところでしょうか。
FIA-GT3の生みの親であるステファン・ラテルは、各メーカーが独自に実施しているワンメイクレース用の車両をベースに、アマチュアドライバー向けの新たなGTカーカテゴリーを設立するという構想でGT3規格を立ち上げました。
しかし、予想を上回る勢いでスマッシュヒットを飛ばしたFIA-GT3規格は、世界中の国内GT選手権に次々と採用されるにとどまらず、プロドライバー達がしのぎを削る世界選手権にまで採用されるようになりました。
その結果BoP(Balance of Performance=性能調整)があるとはいえ、メーカー間の性能競争による車両価格の高騰が続き、もはやアマチュアドライバーが手を出せるカテゴリーではなくなりつつある印象があります。
話が逸れましたが、そんな状況もあってGT3規格の下位にGT4規格が作られました。このPorsche Cayman GT4に見る"GT4"車両と"Cupカー"のあり方を見ると、今のところ"GT4"規格は、本来のGT3規格の狙いであった"アマチュアドライバー向けの新たなGTカーカテゴリー"を地で行っているように思います♪

続いて"トヨタ86"などが参戦するST-4と1500cc以下のコンパクトカーが競うST-5がスタートしていきます。

早速GT4クラスの"#500 5ZIGEN AMG GT4"と"#47 D'station Vantage GT4"がホームストレート上で火花を散らしています。
こちらはGT4カテゴリーの"#2 ケーズフロンティア SYNTIUM KTM"です。

オーストリアの2輪車メーカー"KTM"が開発した4輪ロードカー"X-bow"をベースに製作した"GT4"車両です。ロードカーの"X-bow"は当初は"アリエルアトム"や"ルノースピダー"のようにフロントスクリーンすら持たないスパルタンなトラックレーサーのようなクルマでしたが、こちらはフロントスクリーンからルーフまでが一体になったキャノピーを装着して、まるで一昔前のGr.Cカーのようなスタイルが特徴的です。
スタート直後に"#81 DAISHIN GT3 GT-R"がピットイン。

どうやらルーティーンのピットだったようで、慌てる様子もなくピットアウトしていきました~
こちらは4駆ターボモデルが犇めくST-2クラスにエントリーの"#59 DAMD MOTUL ED WRX STI"です。

ST-2クラスは、ランエボvsインプ(今はもう"インプレッサ"って名前付かないけど・・・)対決が見物でしたが、今年は直列3気筒1.6Lターボで一見分が悪そうな"GRヤリス"も参戦してきて、なかなか見逃せないクラスでもあります。
こちらは最高峰FIA-GT3クラスに参戦の"#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3"です。

国内のレーシングチームですが、カラーリングがニュル24hでお馴染みの"Manthey-Racing(マンタイレーシング)"などの欧州系の車両を彷彿とさせる色合いでカッコいいですね!
国内のレース車両も、もっとこんな感じのハイセンスなカラーリングが増えてくれると、観ている方も面白くて良いですよね~
しかしレースの方は、遥か遠く九州付近を通過中の台風10号の影響で雨が降ったりやんだりのあいにくの天気に翻弄されます。

GRスープラコーナーに移動してきましたが、雨足が強くなりセーフティカーの導入です。

ちょうどいいので、この間にどんどん気になった車両の紹介をしていきましょう!
#777 D'station Vantage GT3

スーパーGTにも参戦しているD'station Racingが走らせる"Aston Martin Vantage GT3(アストンマーティン ヴァンテージ GT3)"です。パワーユニットはAMG製の4.0リッターのV型8気筒ツインターボチャージドエンジンを搭載しています。
#47 D'station Vantage GT4

前述のGT3車両と一文字しか違いがないですが(笑)、その一文字が3か4かで車両の成り立ちが随分違います。こちらもD'station Racingが走らせる車両ですが、名前の通りGT4カテゴリーにエントリーしています。パワーユニットもAMG製4.0リッターのV型8気筒ツインターボチャージドエンジンを搭載しています。
このAston Martin Vantage(アストンマーティン ヴァンテージ)、スーパー耐久に参戦しているGT3 & GT4以外にもWEC(世界耐久選手権)向けに開発されたGTE(旧GT2)、そして昨年は"クラス1"規定のDTMにも参戦していたりと、現在最も仕様が豊富なGTカーといっても過言ではないですね^^;
#20 SS/YZ BMW

BMWチューニングの名門StudieからFIA-GT4クラスにエントリーの"BMW M4 GT4"です。BMWはGTE向けには"M8"、GT3クラス向けには"M6"、そしてGT4クラス向けにはこの"M4"といった具合に参戦カテゴリーに合わせて車種を使い分けしています。パワーユニットは3.0リッター直列6気筒ツインターボチャージドエンジンを搭載しています。
#81 DAISHIN GT3 GT-R

GT NET MOTOR SPORTからFIA-GT3クラスにエントリーの"NISSAN GT-R NISMO GT3(ニッサン GT-R ニスモ GT3)"です。今回は、かつてJGTCで"ダイシン シルビア"や"ダイシン アドバン フェラーリ(F430)"などに施されていた懐かしの"DAISHIN"カラーで参戦しています。パワーユニットは3.8リッターV型6気筒ツインターボチャージドエンジンを搭載しています。
#31 DENSO LEXUS RC F GT3

aprからFIA-GT3クラスにエントリーの"LEXUS RC-F GT3(レクサス RC-F GT3)"です。パワーユニットは5.4リッターV型8気筒エンジンを搭載しています。
"LEXUS RC"ファミリーで考えると、今回のスーパー耐久には3種類の"RC"が異なるカテゴリーに出場しています。まずはGT3クラスに出場するこの"RC-F GT3"、ST-1クラスに出場する市販車ベースの"RC-F"、そしてST-3クラスには市販車ベースの"RC 350"がそれぞれ出場しています。
#28 ROOKIE Racing GR SUPRA

ROOKIE RacingからST-1クラスにエントリーの"TOYOTA GR SUPRA(トヨタ GR スープラ)"です。パワーユニットはBMW製3.0リッター直列6気筒ツインターボチャージドエンジンが搭載されています。
#32 ROOKIE Racing GR YARIS

前述のROOKIE RacingからST-2クラスにエントリーする"TOYOTA GR YARIS(トヨタ GR ヤリス)"です。"ヤリス"の前身"ヴィッツ"の時代からスーパー耐久にはST-5クラス参戦していましたが、"GRヤリス"で"4駆+ターボ"というWRC譲りの"チート"を使った結果、ランエボ & WRXがしのぎを削るST-2クラスに編入されることに。。。しかし予選でポールポジションを獲得するなど、なかなか侮れないパフォーマンスのようです。
#52 埼玉トヨペット GB クラウンRS

埼玉トヨペットからST-3クラスにエントリーの"TOYOTA CROWN RS(トヨタ クラウン RS)"です。パワーユニットは2.0リッター直列4気筒ターボチャージドエンジンを搭載しています。昨年までは"マークX"でエントリーするなど、個性的な車種選択で話題を振りまいていた埼玉トヨペットですが、今年は何と"クラウン"を投入していました。日常生活では、クラウンの猛追など出来れば遭遇したくありませんが・・・サーキットでなら見てみたいかも^^;

最高峰FIA-GT3クラスの"GT-R NISMO GT3"ともっとも下位のST-5クラスの"MAZDA Roadster(マツダ ロードスター)"の構図。こういった風景が楽しめるのも、幅広いカテゴリーが混走するスーパー耐久の魅力ですね!
ST-2クラスの異色同士の戦い。

直列3気筒ターボ+4駆の"GRヤリス"と低燃費を生かしたディーゼルの"アクセラ SKY-D"。

この後、再び雨足が強くなりセーフティーカーランとなったところで、kimu_ninetyくんのスイスポで御殿場市を抜けて"富士八景の湯"でひとっ風呂浴びてきました^^;
レースの方は午後7時半まで赤旗中断・・・
しかし、24時間耐久レースの醍醐味は、ニュル24hでもお馴染みのレース観戦しながらのBBQですね~

あいにくクルマは走っていませんが・・・

気分はもうニュル24hです♪
しかしニュル24h気分に酔いしれていたのも束の間、辺りはゲリラ豪雨の様相を呈してきて雷も凄いことになってきたので、BBQも赤旗中断です!笑

雨雲レーダーで確認すると、赤いエリアがモロFSWを直撃していました!汗
しばしの中断の後、BBQも第二ヒート再開へ

今度はレース車両も走っていて、まさにニュル24hの様です!

コースサイドからBBQしつつレースを眺めるなんて、最高に至福のひと時ですね♪
正直言って、もうこの雰囲気さえあればレース展開などどうでもよくなります!爆
Fuji 24hの夜も更けてきたところで、グランドスタンドにやってきました~
夜のホームストレートを疾走する"DAISHIN GT3 GT-R"

カメラの限界か腕の問題か?(笑)、これがやっとなので流し撮りは諦めて・・・
三脚を設置してシャッタースピードを長めにしてみました~^^;
御殿場の夜景と流れるテールライト。
こちらは"#50 MAZDA ND Roadster"

GT3クラスとの性能差が大きいST-5の車両には、リヤウインドウにグリーンの識別灯が設置されています。
再び雨足が強くなりホームストレートも池になってきたため、セーフティーカーが出動します。

さっきまであんなにきれいに見えていた御殿場の夜景もすっかり霞んでしまいました。

お休みなさい・・・(_ _ )zzZ
2020.9/6(日) 朝

夜明け前の幻想的な写真を撮ろうと一度5時頃に目覚めたものの・・・ゲリラ豪雨だったので、なんだかんだで4度寝くらいして(笑)、遅めのお目覚めになりました^^;

朝食は家から持参したホットサンドメーカーで作ったハム&チーズのホットサンドと、トマト&ブラウンマッシュルームのソテーで優雅なひと時を過ごしました~

遅めの朝食をとり、しばしまどろんでいるとそろそろレースも終盤に差し掛かってきたのでGRスープラコーナーへ向かいました。
"Cupカー"の"Cayman GT4"も健在です。

このチームは元F1ドライバーのMika Salo(ミカ・サロ)と息子のMax Salo(マックス・サロ)を起用して話題になっていました。

残り3時間を切ってトップを走るのは"#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3"です。
トップのAMG GT3を追うのは"#31 DENSO LEXUS RC F GT3"。

"Aston Martin Vantage GT3"や"AMG GT3"、"GT-R NISMO GT3"勢の陰に隠れて、あまり存在感のなかった"RC F GT3"ですが、堅実な走りで気がつけば2位を走行しています。
やはりGRスープラコーナーは、低速でマシンとの距離も近いので撮影しやすいですね~
天気が良ければ、夜の内に色々と周って写真撮りたかったのですが、あいにくの天気だったので、今回はほぼグランドスタンドとGRスープラコーナーしか行ってないですね^^;
#65 REBELLION Mars Audi RS3 LMS

今回TCRクラスは"Audi RS3 LMS"と"HONDA FK7(シビック)"の2車種だけと、ちょっと寂しいラインナップでした。こちらの"RS3 LMS"は、WECでお馴染みのスイスの時計メーカー"REBELLION(レベリオン)"がスポンサードする1台です。
#39 5ZIGEN WINMAX RC 350 TWS

この車両は"RC F GT3"でも市販ハイパフォーマンスモデルの"RC F"でもない"RC 350"です。"LEXUS RC"ファミリーの中では"RC F"を除いたレギュラーラインナップのガソリンモデルの上位グレードという位置づけです。このグレードがST-3クラスにベストマッチングということなのですが、なかなか面白い車種選択ですね。
ナイトセッションで後方からの識別が圧倒的にし易かった"GT-R NISMO GT3"

やはり"GT-R"は、いつの時代もリヤビューがカッコイイですね。

いよいよレースも残りわずかになってきたので、最後はやっぱりグランドスタンドでゴールを見届けたいですよね!

午後3時、長かった24hレースが幕を閉じました。

"#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3"が今年のFuji 24hを征しました!

惜しくもゴール目前に"#2 ケーズフロンティア SYNTIUM KTM"が、13コーナーで炎上するアクシデントもありました。

各クラスの優勝マシンがホームストレート上に並びます。

ST-2クラスは"#32 ROOKIE Racing GR YARIS"がクラス優勝した模様です。

以下、GT4クラスは"#3 ENDLESS AMG GT4"、ST-5クラスは"#37 DXL ワコーズNOPROデミオSKY-D"、ST-3クラスは"#52 埼玉トヨペット GB クラウンRS"、ST-1クラスは"#28 ROOKIE Racing GR SUPRA"が、それぞれクラス優勝を飾っています。
レース終了と同時にまたもや雨足が強くなってきて、表彰式が遅れに遅れます・・・

表彰式はソーシャルディスタンスを意識してか、移動式の広大な表彰台をホームストレートに配置して行われました~^^;
最高峰FIA-GT3クラスは、

1位:#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
2位:#31 DENSO LEXUS RC F GT3
3位:#81 DAISHIN GT3 GT-R
FIA-GT4クラスは、

1位:#3 ENDLESS AMG GT4
2位:#20 SS/YZ BMW
3位:#47 D'station Vantage GT4
FTA-TCRクラスは、

1位:#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMS
2位:#290 F・Link Home CIVIC TCR
3位:#65 REBELLION Mars Audi RS 3 LMS
となっています。
まだまだ色々と大変な時期に、こうして観客を入れてのレース開催を実現してくれたスーパー耐久シリーズの運営には、ホントに頭が下がる思いです。
"人と会う"というこれまでは当たり前だったことが、こんなに贅沢なことになってしまったのかという実感と共に、複雑な思いの残る2020年のFuji 24h観戦でした。

最後にFuji 24h観戦に誘ってくれたkimu_ninetyくん、ありがとう!
とても楽しいひと時でした♪
今週末はFuji 24hの余韻に浸りながら、Le Mans 24hをテレビ観戦したいと思います♪