
我が家の王子殿、
ハム太郎がいます。
娘の学業が一際忙しくなった今夏からお世話係を一時的に代わったつもりが、今ではすっかり私の日課となりました、楽しいから良いけれど‐
最近の娘は学業を終えた後そのまま仲間達と青春することが多く、帰宅はハム太郎のお世話が終わった後が大半です。
喜ばしいことです。
ハム太郎は昨年の夏前に我が家の一員になりました。
序列で、娘の‐弟分-になります。
娘が3軒目の、自宅からもっとも遠いペットショップで巡り合い、2時間近くマークXに揺られながら連れ帰りました。
今にして思えば突然小さな紙箱に閉じ込められて運ばれたハム太郎も最初は不安いっぱいの道中だったかもしれません。
本人は、、本ハムは、自覚ないだろうけれど、私と嫁さんからとても重要な使命を期待されて我が家に迎えられました。
そして今、その期待にしっかり応えてくれていると日々感謝しています。
今から2年前のこと、娘の日常が大きく変わる悪しき事が突発し、我が家は重苦しい空気に包まれました。
その日以降、娘は心の準備も覚悟も無いまま逆風の中を孤独に過ごすような日々を強いられることになってしまったのでした。
多分、私だったら耐えられなかったと思う位、理不尽で悲しく過酷な災い‐試練だったと感想します。
私も、嫁さんも、娘の心をどのように支えたらよいか善処策を模索する日々でした。
毎日を必死で乗り切っているものの、娘の目からは見る見る輝きが消えてしまい、あの頃は親も心潰れそうな日々だったと回想します。
“明けない夜はないのだよ”と穏やかに諭す毎に、判っている、と一瞬の笑顔で気丈に振舞っていたものの、
娘には親以外で傍にいてくれるもの、娘を必要とするものが要る、と嫁さんと見解一致して、策を試みたのでした。
候補としてハムを薦めたところ、娘も即決で同意したのでした。
親が想う以上に、寂しかったのだと改めて不憫でなりませんでした。
こうして、娘のセラピストの任をハム知れず背負わされたハム太郎が我が家に迎え入れられたのでした。
案外、彼に気負いは無かったことでしょう、結果的に彼の自然体の全てが癒しだったのだから。
ハム太郎のお世話は一切合切娘の担当としました。
はじめましてな生物に、娘は使命感と愛情をもって快適な衣食住を提供する日課が始まりました。
1人と1匹は娘の部屋で長い時間を共有して、ハム太郎の仕草に娘の笑い声が聞こえて来たり、その面白画像を見せてくれたり‐と、セラピストとしての癒し効果は抜群でした。
勿論、ハム太郎だけではなくて、娘を沢山の旧友たちが支えてくれたことにも救われました。
様々な周囲の支えと共に、娘は自らの強い心によって困難に耐え、乗り越えたと思っています。
あれから2年、、ハム太郎が来てまもなく1年半です。
ハム太郎は娘だけではなくて、娘を想う過程において心労から逃れられなかった私達親の心も癒してくれたと思うし、むしろ今では子離れせざるを得ない??私達のセラピストになっている感じです。
嫁さんは毎日欠かさず新鮮なブロッコリーとキャベツを用意して、私は毎日欠かさず部屋掃除をしてカレンダーにウンコ粒の数を記録し健康把握したりしています。
娘が学校の間は、ハム太郎の生活環境を見守るのが日課です‐最近は娘の部屋ではなくてリビングが定置場になって、寒くなってからの夜間は夫婦の寝室の適温環境に移動しています。
そう言えば、夏は独りだけエアコンの効いた部屋を独占していたっけ・・・
Going Mywayな小さな王子殿は、日中の大半を寝て過ごし、もはや横で掃除機をかけても起きて来ない位、警戒心を解いて野生を捨てています。
丹念に毛づくろいをして、ふかふかベッドの巣を作って、気が向いたら歩き回り、好きなモノだけ食べて、嫌いなモノはしっかり残す。
夜になったら飽くことなく回し車の上を走り続けている。
実に‐平和な日々を送っているように見えます。
人生には辛い時や悲しい事もあるものだ。
その時は、やるせなくても必ずその経験が糧になって、より強く、優しく、人として大きくなっていくのです。
自分を取り巻く状況をポジティブに考えて挑むのか、ネガティブに考えて自己消耗するのかは本人次第だと私は思う‐
娘に降りかかった災いは、人生で経験する必要が全く無い悪しきことだけの試練だったと感想するけれど‐
それでも私から娘に確信して伝えられるポジティブな事がありました。
“悪しき事柄が無かったら、父さんはハム太郎を迎えようとは全く思い至らなかったし、きっと君もハム太郎を必要とはしなかった事だろう。だから父さんは君に礼をいう、人生の中でハム太郎と出会わせてくれてありがとう”
娘はニッコリ笑いながら、ハム太郎に会えたことの方が、辛かったことよりも何十倍も嬉しいことだから私も感謝しかないよ‐と返してくれた。
嫁さんは、まったくその通りだと笑顔ではらはらと涙した。
3人に1匹が加わって、穏やかな日々が戻って来た。
本当に良かった。
そしてこの先は、きっと良いことが目白押しの筈。
もう一つ、人のエゴかもしれませんが、きっとそうだと思うこともあって‐
誰かの所へ迎えられなければ生きて行けない宿命を負った彼は、娘に迎えてもらって、この家の一員になれたことで幸せを満喫しているのではないかと思う。
大きな部屋、快適な室温、清潔な室内、彼は自分の家の中も我が家全体の中も、ほぼ知り尽くして外敵など頭の片隅にも無い位、安泰な日々が世界の全てです。
栄養価高いゴハン、大好物なブロッコリー、部屋んぽに出かける時は、にぼしのおやつ、帰って来たらオリゴ糖デザート、どれも毎日与えられ、飢える心配も、探す手間も必要ない、
気が向いた時に、気が向いた場所で、気が向いたことをする、安泰な日々が世界の全てです。
ハム太郎は娘に迎えてもらったことで、どの家に暮らす仲間達も羨む位、快適で幸せに生きているのではないだろうか。
誰かの喜びに、幸せに、関与できた時、辛いことだって辛く感じられなくなる。
それがたとえ、小さな生き物の幸せに見える姿であっても、同じだと思う。
齧歯類の生涯は長くて3年位だそう。
ハム太郎くん、この先もどうか長生きして我が家で快適に暮らし続けて欲しい。
Posted at 2022/11/30 23:08:45 | |
トラックバック(0) |
小話-車無し | 日記