
今晩は
溶接屋のおじさんです。
溶接屋を名乗っておりますが、溶接ネタを1度も書いてきませんでした。
たまには溶接ネタ投下したいと思います。
自分の記事の中で一番アクセス数を稼いでいます。
ありがとうございます。
まずは、おじさんの好きな溶接は
炭酸ガスアーク溶接で通称【半自動溶接】と呼ばれる溶接です。
上の写真は某重機メーカー部品になります。
2層3パスの溶接や3層5パスなどの厚板の多層盛り溶接が好きでした。
面倒な仕事だと
作るのは楽しいけど、現場作業が不随するとキツイ仕事でした。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題。
面白い話ではなく、技術的な話や毒話になりますので、興味の無い人はスルーして下さい。
それでは、おじさんの腕前の証明からしないと信じてもらえませんね。
実際の溶接では、おじさんの腕前より上手い人は沢山いました。
自分で言うのもなんですが、中くらいの溶接レベルと思って下さい。
一般的に上手いと人に言われるレベルで中くらいのレベルです。
一般的な溶接屋さんは、下向きの溶接しかやらないのが普通です。
求人情報誌で有資格者求むと書いてあっても、
SA-2Fなどの中板下向き裏当金有りの資格で通ります。
SA-2Fの資格で大きな顔をしている方が見受けられますが、
溶接屋として必要最低限の資格と思って下さい。
持っていて当たり前の資格です。
逆に溶接屋でSA-2Fの試験を受けて不合格となるひとは、
場慣れしていない人(手が震える)か、もっと上達しないといけない人だと思います。
毒を吐いたところで、溶接技術の話。
相模原にキャタピラー三菱(現 キャタピラージャパン)が在るのですが、
毎年下請け企業の技術向上と親睦を深める為に、
取引先溶接コンテストが行われていました。
過去形なのは、キャタピラージャパンがOEM製品を残して
国内から海外へ生産移管を行ってしまったから。
コンテストは13回を最後に無くなってしまいました。
コンテストの内容は、以下になります。
たった紙切れ1枚。
『ほぼ自由に溶接して下さい』レベルしか読み込み出来ません。
それでは時間の都合で下側のSN-2Fの解説をしていきます。
SN-2Fは、普通両側開先裏当金無しの突合せ溶接です。
両側開先の為、、ルート間隔2mm開ければ簡単に裏波を出す事が出来ます。
問題は溶接電流の設定です。
100A・120A・140Aなど教えてくれる人によって様々な意見があります。
おじさんとしては、3つとも間違えた数字では無いと思っています。
ルート面に多少左右されますが、3つとも試してみて溶け落ちるギリギリで溶接して下さい。
完全融合すれば、曲げ試験で割れる事は有りません。
運棒を速くするか、遅くするかの違いだと思っています。
おじさんのおススメは、ルート間隔2mm・ルート面0.5mm(アークを安定させる為)
1層目の溶接電流120Aくらいがやりやすかったです。
2層目や3層目は180A~200Aでつけていました。
話は戻りコンテストの課題は、片側開先裏当金無しなので、
熱量の問題で開先を取っていない方の板が溶け辛くなっています。
開先の取ってある方は溶けやすく、溶け落ちが発生しやすくなっています。
溶接電流の設定に悩み、4回コンテストに出場して2回曲げ試験不合格となりました。
そこで、mixiの溶接コミュニティで質問して教えて頂きました。
板厚10ミリ レ型突き合わせ開先 30°
当て板無し
ルート2,8ミリ
ルート面0,5~1ミリ
初層裏波 138A 15,6V
二層目 200A 20V
ルートは2.8mmに出来なかったので、
アーク溶接の3.2の溶棒を使い、3mm位を狙って溶接しました。
電流電圧は、教えて頂いた通りに溶接。
最初の2回は、会社の先輩の言う通り120Aで溶接して不合格。
3回目は138Aで溶接して、外観検査2位・曲げ試験合格。
4回目は140Aで溶接して、外観検査1位・曲げ試験合格。
たった18Aの差で、今まで合格出来なかった曲げ試験に合格出来ました。
溶接は奥が深いですが、諸条件さえわかればある程度の人なら誰でも合格出来ます。
その条件を探すのが上手い人は、神様レベルに溶接の上手い人です。
コンテストのテストピースの写真をのせておきます。
溶接ワイヤーがDS11のクロビュール溶滴用なので、見た目は悪いです。
本来は、DS12の短絡移行のワイヤーで溶接する電流条件です。
テストピースなので、裏波の一部が乱れていますが、勘弁してください。
SN-2Vの溶接もチャレンジしてみました。
溶接条件と運棒さえわかれば、欠陥がありますが、
初めての溶接でこれくらいつけることが出来ます。
アクセス数が多いのでオマケを書き足します。
上り溶接・カチ上げなどと言っていますが、一層目で浦波を細く出して二層目は開先に沿って三角を描くように溶接します。
三角を描く間に冷えて固まる時間を稼ぎその冷えた鉄の上に三角を描きながら延々と重ねていく感じで溶接します。
上手く半自動溶接をつけるコツは、良い師匠にめぐり逢い、沢山練習してください。
緊張からくる手の震えは、場数を踏めば慣れてきます。
追記
溶接工と言う生き物あるある
自分が1番溶接が上手いと思っている人が多いです。
教え魔が多いです。
自分の経験の無いやり方は悪と思っています。
厚板薄板それぞれで、溶接の仕方が違います。
その会社のやり方など基本は一緒だけど違いは多いです。
例え違うと思っても逆らわず従いましょう。何故なら溶接には正解が無い世界だから、強いて言えば製品の寿命まで溶接が剥がれないのが正解だから🤪
追記
最後までお読みいただきありがとうございました。
溶接が上手くなりたくて、10社以上転職して修行しました。
お世話になった企業様、ありがとうございました。
精密板金から重機の厚板溶接まで、
板厚を選ばない溶接屋を目指して
そんなおじさんの今は、薄板溶接工に戻りました。
すっかり初心者に戻っております。
おやすみなさい。。