2015年09月27日
スピード メータの秘密
今日は車の速度計について、原理や仕組み、法規制、社内基準、実走行時の誤差についてお話します。
かなり長編ですので結論だけ知りたい方は、最後の方だけ読んでください。
私はどうして速度計について詳しく勉強したかの歴史です。
147アリストターボに乗っていた頃リミカしているのに針が180で止まってしまうのに耐えられなくて、フルスケール280km/hを自作したのが始まりでした。
その後16アリストではインターネットの普及で、皆さんやショップからの製作依頼が殺到しました。
16アリスト用は260,300,320km/hの3タイプ用意しました。
ランクルやレクサスGSやLSも少数ながら作りました。
その他マイナーな車も断りきれずに、1台のみ作ったのが数車あります。
イギリスまで送ったこともあります。
皆さんの希望は様々で、最も多かったのは実速度との誤差を全域で5km/h程度にして欲しい。
次に多かったのは全域で誤差ゼロというもの。
その次はノーマルと同じ (これは少数派)。
それぞれに応えるために、まずノーマルはどうなっているかを徹底的に調べました。
特に皆さんが気にする“誤差”は他車や外車も含めて、雑誌のテスト記事やその車の整備書に書かれている数字等を調べ上げました。
法規面では改正毎に、誤差の幅は小さくなっています。
最近では平成19年1月1日以降に製造された車から、誤差範囲は小さくなりました。
4P車速パルスとかOBD2からの車速信号の説明は後にして、実速度とメータ表示の誤差について説明します。
誤差の大きさ、
1. 法規面の誤差は最も大きい(甘い)。
2. 次は整備書等の社内基準。
3. 実車の誤差は最も小さい。
1.の法規では、誤差の許容幅が大きすぎて話になりません。
100km/hで誤差の上下幅は21km/h、180では33km/hなんて計器とは言えませんよね。
2. は、もう少し厳しい社内基準を整備書に載せています。
整備書の基準を満たせば、絶対に法規に違反しないというものです。
整備書の一例ですが180km/hでは、9~16km/hも余計に振らないと許容範囲に達しないことになります。
幅としては7km/hですが、シビアな目で見れば196km/h出てると思っても180km/hですものね。
逆に180km/hの時に188km/hしか上がらないメータは不合格の整備不良です。
純正メータはかなり上を差すのが正しいのです。
3. は、さらに出荷される車は、法規は勿論のこと社内基準にも外れないように、2.よりもシビアに作られています。
皆さんが知りたいのは、この3.の実車の誤差ですよね。
以前は有名な小野ビットという実速度計測器でメータとの誤差を測っていました。
今は私も持っているような、英国製のGPSを利用した測定器を使います。
http://item.rakuten.co.jp/taiya-taro/10001860/
ベストモータリングのサーキット走行の車に取り付けられていた、お馴染みの機器ですね。
これはカーナビやレー探のGPSの分解能の10倍のサンプリング能力で、速度の測定誤差は0.1km/hというものです。
実際の車は40km/hで走行時に、メーターは40km/h~45km/hを指すのが殆どです。(車検対応)
高速側では、自動車評論家の鈴木直也さんが纏めたものでは、
メーター表示180km/hでは、ほぼ全車の実測値は165から170km/hです。
輸入車でも240km/hのメーター表示では実測220から230km/hです。
(フェラーリ、Mercedes、ポルシェ等々)
さらに“輸入車は250Km/hあたりから上は誤差が多かった”という結果ですが、私の考えでは輸入車を擁護するのではないですが、国産はリミッターと180km/hスケールの関係で高速側のデーターが乏しいだけで、国産も100km/hよりは200km/h、200km/hよりは300km/hと速度が上がるほど誤差は増えていく筈だと思いました。
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ここまで読むとメータって結構誤差が大きいと思うでしょうが、実は今のメータはどの車も物凄く正確なのです。180km/hの各車の表示のバラツキは5km/h以内の狭い範囲に収まっていますから。
正確に狂っていると言って良いのか(^o^)。
昔のようなワイヤーを回して針を振らせるアナログ式では色々な誤差がありました。
今はアナログ式に見えても、実はデジタル式とも言えるものです。
車速パルス(デジタル)を演算して、ステッピングモーターを動かす信号はデジタルだから、針はそれに対応したステップ数だけ正確に上がります。
速度の表示は針と数字の違いはあっても、制御はどちらもデジタルです。
試しに35Rでデジタル表示にして、針と比べてみるとほぼ同じ数値を指す筈です。
この両方の値はCPUが“この車速パルスなら○○km/hを表示する”ように出力信号を作っているので、表示方法が針でも数字でも同じにならなければメータの故障です。
近年OBD2というものの認知度が高くなりましたが、これは車からの各種信号を取り出す通信手段の規格のことで、信号の正確性とは無関係です。
OBD2で取り出すのと車のCAN通信から取り出すのとで、信号の値や品質に違いがあればおかしなことになりますね。
35Rの数字での速度表示はCAN通信で行っています。
OBD2で取り出しても同じ値を表示します。そしてこの値はCPUが正確に作った誤差を加えた値です。
だから車側からは実速度を示す信号はないのです。
またタイヤが擦り減って外径が小さくなり実速度が変わっても、CPUは同じ値しか出してきません。
ここまで追求して作った私のメータは、300km/hでも誤差5km/hというのはあり得ない精度の整備不良品ですよね。
これについての判断は、ワンオフの超正確なメータとして許されるのか? メーカーなら当然ダメなのでしょうが・・・。
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以前にも書きましたが、実速度で300km/h以上で走った人は稀です。純正のメータでタイヤ外径ノーマルでは310出たとか320出たと言っても大抵は200km/h台です。
私の11yで312.3km/hを記録した時も、メータの針はかなり前から310km/hを通過していました。
確認はできなかったですが、車速の伸びからメータは330くらいは出ていた感じでした。
でも、あの超正確な測定器のピークホールドは312.3でした。
とは言っても、今の車の誤差そのものは正確だから、ブジの直線で270だとか280に上がったとかお友達と比べてもそれはそれで信頼できます。
いちいち実速度は何か?と追求する必要は無いですね。
それでも自分の車の実速度を知りたい方は、私の測定器をお貸ししますからメータとの差を確認してください。 クロネコで送ります。
0-100km/hや0-400mも超正確に計測できます。
結果はSDカードに記録されているので、後でゆっくり検証できます。
取り付けは簡単で、シガーライターから電源を取るだけです。
長文、お付き合い有難うございました。
2,3回繰り返し読んでいただけると、更に嬉しいです(^o^)。
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Posted at
2015/09/29 11:31:22
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