毎日のように年老いたクルマに乗っていると
あとどれくらい走れるかな、って思う。
事情通に「25万キロはいけるんじゃない?」って言われたけど
割り算すると、そこまで走るのに4年とかからない。
え、あっという間じゃん。
それ以来、「寿命」って言葉が気になっております。
寿命には、「生理的寿命」と「生態的寿命」ってのがあって
クルマで例えるなら、いや、寿命をクルマで例えるのもどうかと思うけれども
博物館で大事にしているクルマの寿命は、前者にあたる。
一方、後者は、普通に使い続けていて尽きる命のことだ。
天然のアユは、一年でその生涯を終える(生態的寿命)けれども
海水で大事に飼うと2年生きる(生理的寿命)。
わたしのスプラウトは、「生理的寿命」を追うタイプではない。
日々使い倒してどこまでいけるか、「生態的寿命」を問うことになるんだろう。
そんな訳で、「寿命」って言葉が頭の隅にこびりついて離れないので
いっそのこと、ステッカーにして、スプラウトに貼っておこうと思った。
じゃん。デザインは、これ。
元ネタになったのは、「ブレードランナー」って昔のSF映画。
原作は、F.K.ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」って小説だ。
「寿命」って言葉から、どうしてもこの作品をイメージしてしまうのは
こんなシーンがあるからです。
映画の終盤、自らの死期を悟ったアンドロイドの男は、
自分を殺しに来た主人公にこう独白する。
「俺は、お前たちが想像もできないものを見てきた
オリオン座の近くで燃える宇宙船
タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ
だが、そんな思い出も消えていく
雨の中の涙のように
…死ぬ時が来た」
映画史上に残る名セリフだと思う(これがアドリブというのだから驚き)。
この映画で、アンドロイドたちは、人間と区別がつかないとされている。
ただ違うのは、人間よりも能力が高いことと
寿命が『4年』と短く設定されていること。
だから、アンドロイドたちは、逃亡して、創造主を探して、問う。
「おれたちは、いつまで生きられるのか」と。
ステッカーには、原作のタイトルを、映画のフォントであしらった。
「Do Androids Dream of Electric Sheep?」
そして、かの名台詞の一節も刻んだ
「All those moments will be lost in time, like tears in rain.」
ヒツジのイラストの左上が赤いのは
死んだアンドロイドへのオマージュだ。
レプリカントのロイの左顔は、血にまみれている。
ここに刻んだ言葉のように
雨の中の涙みたいに、いろんな記憶が消えていく日が、やがてくる。
だから、それまでは、スプラウトでいろんな景色を見てみたい。
オリオン座の近くで燃える宇宙船や
タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラなんかは
見られないとしても。
ステッカーは、来週にはできあがる。
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♪Tears In Rain Vangelis
Posted at 2015/11/28 21:14:39 | |
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