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キアロのブログ一覧

2015年09月13日 イイね!

約束の橋





虫干しも兼ねて久々、東京湾を下った。

雨が続いていたし、スプラウトのタイミング・ベルトを替えてからこっち

自由に走る機会もなかったし。

カメラだって持ち出す機会が少なくて

錆びたりカビたりしちゃうぜ、このままじゃ。

ひとの気持ちだってたぶんそう。

いくら防湿庫に入れてたって、たまには風を通さないと。














ということで辿り着いたのは、中の島大橋というところ。

東京湾を平仮名の「ね」の文字に例えると

くるっとまわるところの、ちょっと上らへんにある。










この場所は、深夜のテレビ番組で知った。

アンガールズのあまり気持ち悪くない方が

真鍋かおりとロケをしていた。

何でも恋愛成就のポイントらしいっす。








実際に来てみると、橋以外なにもない。

観光地なんだろうけど、自販機もろくにない。

来てるのは、釣をするか、橋を渡りに来た人だけだ。


橋の上から望む景色は、でも、悪くなくって

工場地帯が見えたり、湾の向こう岸が見えたり

振り返れば、アクアラインも見える。









恋愛成就のポイントってことで

やたらに鍵がぶら下がってる。

神社の木々のあちこちに

おみくじが結ばれてるみたい。

みなさんここで、いまの気持ちだとか

来るべき未来だとかをロックしたんだ。








でも、この橋の周りにはお店がない。

土産物屋なんてない。

ここに来て気が向いても、ふたりの気分が高まっても

その気持ちをロックする鍵を買う術がない。

ってことは、この鍵たちは、用意されてきたものなんだ。

女の子は持ってこないでしょう。用意するのは男だ。

あらかじめ、どっかのホームセンターで買っとくんだ。

週末のドライブを思い描いて、この鍵を。

健気だなあ、男って。






橋の向こう側に渡ろうかと思ったけど

どうも、小島があるだけで、何もない気配がする。

何かに使う建屋と、釣り人が少し。

渡り切る必要のない橋なんだなあ。

なんて思っているうちに日が暮れてきた。












日が暮れると、来る人の数も増える。

橋のあたりにまとわる空気の、テンションもがぜんあがる。

同じ所にいっても撮れる風景が変わる。





















この橋のあちこちには、恋人たちの誓いの文字が刻まれてる。

日付と名前と、誓の内容と。

約束の橋だ。


渡ったところでどこに行ける訳でもなくって

上がったテンションを、海風に冷まして、元のところに戻るしかない。

約束をするだけの橋。













日が暮れて、海風が優しくて

久しぶりにいい時間を過ごした。

太陽はあっという間に沈んでいく。


この誓いの鍵は男が買ってきた。

けど、ガチャリとロックしたふたりの気持ちを解除する

キーを持って帰ったのは、男なのか女なのか。









夕日の残光に富士山の姿が浮かぶ。

スプラウトにキーをさして

エンジンを回して帰った。

---

♪約束の橋 佐野元春



Posted at 2015/09/13 12:44:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | カプチーノ | 日記
2015年09月06日 イイね!

At Seventeen

スプラウトの17万キロ超を記念して

所有者であるキアロ氏に

17文字で世界を表現する俳句を詠んでもらった。

そのいくつかを選評とともに紹介する。








『タイベルを 換えて見上げる 雨月空』


【選評】

平成4年式のカプチーノのタイミングベルトを交換した際の

心の機微を詠んだ句である。走行距離は17万キロ程度。

おそらく、前回は8万キロ弱で交換しているので二度目といったところか。

車歴としても作者の人生も、秋雨降る初秋にさしかかったことが伺える。








『障りある 窓の向こうに 露時雨』

【選評】

カプチーノのパワーウィンドウが故障した寂莫とした感じが

よく出ている句である。

運転席側が故障し、下りたまま上がらなくなった。

無理やりガラス窓を上げて、養生して何とか持ちこたえる日々なのだろう。

修理費用が貯まるまで、辛抱の日が続く。

秋の雨のように作者の心も時雨れている。




『春に耳 鳴りて尿道 痔アレルギー』

【選評】

春に軽度の突発性難聴を患い、積年の尿道の痛みの原因が

製造不良にあることが夏前にわかり、更に盛夏には痔を患った。

そして果物アレルギーを発症。リンゴ・梨・イチゴが食べられない体になった、

その悲劇を自嘲的に詠んでいる。

いずれも軽症ではあるが、消耗パーツがヘタる年齢なのだろうと

自身に言い聞かせている句である。




『眼鏡を 彼岸に失せし 送り盆』

【選評】

お盆の時期に痛飲し、終電で愛用の眼鏡を紛失してしまった。

その失望感を詠んだ句である。

こないだ買ったばかりなのに。

限定品で出に入らないのに。

ああ、なんで。

眼鏡は、お盆に彼岸に帰ってゆく死者が持って行ってしまったのだろうか。

失ったものを思い続ける切なさが滲む。


「お母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね」という

西條八十の詩に通じるものがある。








『不釣り合い 浴衣夏空 丸眼鏡』

【選評】

眼鏡をなくしたので、不似合を承知で

以前より気になっていた丸眼鏡を購入した。

これが家人に大不評。

しかし眼鏡持ちならだれもが一度は、丸眼鏡を試し掛けしたことがあるはずだろう。

外観の印象など、しばらくかけていれば慣れてくるものだ。

この丸眼鏡、鼻あてがなく、モダンが長くシンプルで

クラシカルなしつらえが良いのだ、という作者の思いがストレートに表現されている。






『ベルトかえ エンジンかろく 虫しぐれ』

【選評】

タイミングベルトを換えたら、殊の外エンジンが軽やかに回る。

そんな効果があるのかないのか、気の迷いなのか。

さらに以前は、エアコンをつけるととても重かったエンジンフィーリングも

とても軽くなった気がする、ということを初秋に軽やかかに鳴く

コオロギの声に準えている句である。








『齢重ね 老いゆく若菜 秋時雨』

【選評】

スプラウトという名を冠していても、齢を重ねれば老いてゆく。

老いてなを若いという名前の矛盾はらみつつ、秋の雨にぬれる。

ああ、錆が心配であることだなあ。

ーという作者の心の叫びが聞こえてくる。



---
♪ At Seventten ジャニス・イアン



Posted at 2015/09/06 17:49:47 | コメント(2) | トラックバック(0) | カプチーノ | 日記
2015年08月08日 イイね!

通報されるくらいに





さんねんまえの今日くらいにカプチーノに乗り始めて

記念日だっつーことで、今年もお参りにやってきた。

夜も明けやらぬ成田山。

月のあかりと、少し橙色の東の空と。


夜と朝のはざかい。













ちょっと早く来すぎたので、ぼうっとしながら

朝いちばんの護摩祈祷を待ってますと

寺男がやってきて、掃除をしたり、常香炉に火を入れたりし始めた。

蝉の声もおおきくなって、ようやく一日が始まったかんじがする。













三年前のあの日、

カプチーノで初めて走り出したときの景色を良く覚えている。

フロントガラスの向こうには、赤いボンネット。

そのゆるやかな曲面を見て

ああ、スポーツカーだなあ、って思った。


それまでスポーツカーには、ほとんど興味はなかったし

きっと一生縁がない乗り物だろう、って思っていた。

それがどうだ。こうして走らせてる。


窓ガラス越しの、丸みを帯びたボンネットを眺めてると

女の子の胸元を覗き込んでるみたいな気分になった。

黒い二本のワイパーは、鎖骨みたいだ。

曲面はゆるやかで、ぺちゃぱいだけど、それがいい。








そんな不遜なことを思い出しながら護摩祈祷を受けた。

中興第二十一世橋本照稔大僧正のありがたいご祈祷。

これで今年も一年、無事に過ごせそうな気がする。








お護摩が終わって、外に出ると、出待ちをしている人たちがいた。

まるでロックスター。

老人も子供らも、貫首に挨拶されるのを待ってる。

あたまに数珠を付けられると、それまで神妙に手を合わせていた

年よりも子供らも、魔法が解けたみたいに動き出す。

こうして夏の一日が始まって、スプラウトとの四年目も始まった。










帰り道、SIONってひとが歌ってた歌を思い出した。

その昔、彼はだみ声でがなってた。



早くはない 遅くはない 始めたら始まりさ

何度でも 何度目でも 始めたら始まりさ



私とスポーツカーとの暮らしも、3年たったけど、はじまったばかりだ。




---
♪ 通報されるくらいに SION



Posted at 2015/08/08 00:36:57 | コメント(2) | トラックバック(0) | カプチーノ | 日記
2015年02月13日 イイね!

highway,highway



こないだ、テレビのチャンネルをひねって

CSの音楽番組にあわせたときのこと。

この歌詞がすごい、ってコーナーがあって

ゲストに出てた有名なアーティストが

ある曲を褒めていた。



ゲスト:「それで最後に『車はいらない』って言うんですよ」

司 会:「うおー。なるほどー」



コーナーの終わり、30秒くらいしか見なかったけど

その最後のフレーズがちょっと、いや、すごく気になって

『車はいらない』って歌詞をたよりに曲を探した。

で、見付けたのが、阿部芙蓉美さんの「highway, highway」って唄。







こないだ、ハイウェイもどき(自動車専用道路)を飛ばして

久しぶりに朝の海に行った。

辿りついた砂浜にも、ハイウェイもどき(砂の轍)があって

ああ、って、この曲を思い出しました。

とても、それはそれは、素敵な歌詞ですよ。











 highway, highway
 
 heartbreak, heartbreak


 車に乗りたい

 あなたを隣に乗せて


 走って行くどこまでも

 俺は車持ってないけど





 highway

 もし入り口でケンカをしても

 あなたを帰せない

 しばらくは帰せない



 ふと視線を交わした

 春の嵐のような瞳のあなた


 …俺が本当に平気とおもうの









 ずっと遠く続く highway

 いつも地上を踏みしめて

 見上げているだけ


 息を切らして伸びる highway

 その先の未来がうんざりするほど

 バラ色だって








 馬鹿な俺の夢をさ highway

 悪いけどねどっか愉快な場所まで

 運んでくれよ


 馬鹿な俺のことをさ highway

 来いよ行こうぜっていつか、

 いつか誘ってくれよ


 車はいらない







わかるなあ、って思った。

男ゴコロをよくぞ、まあ。

そんで、たしかに最後の

『車はいらない』が効いてる。

でも、スパッと、さらっと

『車はいらない』って割り切れるのは

やっぱり女子だなあ、って思ったり。





PVを見返したら

阿部さんは、砂浜に轍を書いていた。

シンクロニシティ。




---
♪ highway, highway 阿部芙蓉美

Posted at 2015/02/13 22:27:12 | コメント(1) | トラックバック(0) | カプチーノ | 日記
2014年11月30日 イイね!

いつか見たかげろう





前の晩は、とてもとても深い霧だった。

こんな晩の終わりは、もしかしたら

きれいな朝日になるかもって、海に来てみた。






いつもより少し足を伸ばした、堤防のあるばしょ。

前に来たのは、一眼のデビュー戦だったので

ほぼ一年振りかな。







いつもは釣り人がいるのに、今日は無人。

しばらく海を見てたけど、写真を撮りにきた人と

物思いにふけりに来た人を見かけたくらい。

朝日もいまいちで、海も小荒れで、どうもいまひとつな感じ。







少し離れたところで火を焚くおじさんがいる。

近づいたら、「よお」って、笑顔で迎えてくれた。

「一年ぶりだな」って。

おじさんは、去年、カメラのデビュー戦のときに

海辺で火を燃してた人だ。

覚えててくれたんだ、びっくりしたな。












「今日は日の出はイマイチだな。まー、あたってきなよ」

洟水を手の甲で拭きながら、おじさんは言う。


おじさんは、暇に任せて、毎朝この海辺に来ては

流木を燃しているという。

去年焚いていた場所からは、だいぶ離れてる。

ゴミを片付けるつもりで少しずつ燃してたら

ここまで移動してきたって笑う。

「少しはきれいになったべ」







そうこうしているうちに

雲の向こうにお日様が昇る気配がした。

まー、これはこれで、いいですね。

おう、これはこれでな。

って日の出を褒め合う。

「こういうのにも感謝しないとな。

太陽がなかったらあれだぞ、大変なことだぞ」

おじさんは、さらっと深いことをいう。







「こないだ、あそこにあるユンボで

首を括ったやつがいてな。

夜明けの海に来てると、よく見るんだ

そういうの」


海岸線に沿ったずっと向こうに

工事現場とユンボが霞んで見える。



「あれだな、日本中の海辺っリで

どんだけそういうことする奴がいるかと思うと

こりゃ相当な数だな」

おじさんは、さらっと怖いことを言う。















陽炎ごしの日の出を撮る。

ゆらゆら、ゆらめく太陽を見る。

去年もおじさんの焚き火にあたらせてもらって

こうして陽炎みたいな海を見てた。

一年なんて、あっつーまだ。







「日の出は早いよ、あっつー間だ」

そう、あっつー間に昇りきる。

その後のことには、みんな関心がないけど

そのスピードのままぐんぐん昇って

ずんずん暮れていく。

あっつーまに一日が終わり、一年がおわる。

そうして人生も暮れる。

首を括って終わりにする人もいる。







帰りに、向こう側の堤防で

求愛している鳥を見た。

がんばって、何遍も羽根を広げてる。


缶コーヒーを飲んで、一息ついて

さて帰るかって時に、も一度見たら

今度は女の子の方が、羽を広げてた。





---
♪ いつか見たかげろう HARRY


Posted at 2014/11/30 17:57:29 | コメント(3) | トラックバック(0) | カプチーノ | 日記

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