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イイね!
2010年02月12日

[Argentina] Nostalgic Heroといえば、Torino。

[Argentina] Nostalgic Heroといえば、Torino。 第1弾第2弾に続く、遅々として進むシリーズ第3回です。

最近こそBRICsを初めとする新興国でようやく各メーカーが母国ラインナップ外の「独自モデル」を作るようになってきましたが、「グローバル化」が進んだ80~90年代は発展途上国の自動車史に於いて概ね不毛な時期だったように思います。 60~70年代にそれなりに育って栄えた各市場独自のモデルたちが、もちろん合理的な理由があってのことながら、その時期どんどん消えていきました。アルゼンチンでも、60年代半ば、既に約20万台に達していた全需を背景に花開いた「国産車」たちが、後継車に恵まれることなく一生を終えていきました。

そんな「アルゼンチン国産車」の中で、クルマ好きな人たち(オヤジたち?)に今でも語り継がれている"Nostalgic Hero"の筆頭に挙がる(と私が思う)のは、Renault Torino(ルノー・トリノ)です。

え、何それ? ルノーにそんなモデルあったっけ? それにトリノって言えばイタリアだしフィアットの本拠地だし、仏ルノーのモデル名としてあり得ない! ・・・ごもっともです。 でもあったんです、そういうクルマが。

                              + + +

デビューは1966年。 当時、仏ルノーと米カイザー(後AMCに吸収の末、消滅)の合弁だったIKAルノー社が、米向けランブラー・アメリカンをベースに開発したモデルです。 ボディは、なんとピニンファリーナによるリデザインで、ランブラーとグリーンハウス部を共用しているにも関わらず、元が凡庸なアメリカ車だったとは思えない軽快でスポーティなスタイルに変貌(さすがPininfarinaです)。 バリエーションは4ドアセダンと2ドアクーペの2種が用意されていました。

 Torino
 Renault Torino Coupe TS ('73頃) posted by (C)corno4

 Torino
 Renault Torino S ('73頃) posted by (C)corno4

インテリアも、いかにもイタリアンGTらしいT字型インパネ(木目とシルバーの2種があった)をはじめ独自デザインを採用。 人口より牛の頭数のほうが多い^^アルゼンチンらしく、牛革をふんだんに使ったトリムも用意されました。

 Torino Grand Routier
 Torino Grand Routier ('76頃) posted by (C)corno4

一方でエンジンはランブラー用のOHVに代えて、ジープ向けに新開発された(Wagoneer用として1963年に登場)OHC・直6・3.0L/3.8LのTornadoエンジンを国産化して搭載。 高性能仕様はウェーバーの2バレルキャブレターを3連で用いて215馬力を発生、ZF製4速MTとの組み合わせで最高速205km/hを誇ったそうな。

これらにより、主にイタリア人とスペイン人をルーツとする(それぞれ人口の約40%)アルゼンチン人にとって、Torinoは「我が国のオリジナル車!」と誇れる国産GTカーとなり、長く愛されることになったのでした。

 Torino Grand Routier
 Torino Grand Routier ('76頃) posted by (C)corno4

逸話として、フィデル・カストロ元議長(キューバ)、カダフィ大佐(リビア)、故ブレジネフ元書記長(ソ連)がこのTorinoを愛用していたという話が残っているようです(wikiによる)。「非西側」のVIP(=米や西欧のクルマに乗るわけにはいかない)の目から見て、高級高性能車として一定の評価を得ていたということなのでしょう。 また、1970年の大阪万博においてもアルゼンチン館に展示されていたんですって。 その1台はどこに行ったのか?

さて、デビュー以降、1970年、1974年、1978年にマイナーチェンジを重ねた後、Torinoは1981年に生産を終了、惜しまれながら15年に亘るモデルライフを終えました。 累計生産台数はセダン約4万台+クーペ約6万台の計約10万台で、クーペのほうが多いところにTorinoらしさを感じます。 当時からチューニングパーツは豊富で、今でも人気は高く、国内での位置づけというか人気具合は「アルゼンチンのスカイライン」とでも形容できるかもしれません。

 Torino ZX
 Torino Coupe ZX ('80頃・最終期) posted by (C)corno4

そんな人気を物語るのが、小規模コーチビルダーによる数々の改造車の存在です。 下に写真を挙げる2つがその代表でしょう。 ひとつはワゴン。 そしてもうひとつはフロント・リヤともに外板を大幅改変、低く構えたワル顔に大型ガラスキャノピーが特徴的な迫力のチューンドカー。 子供ながらに、「これかっこいい~!」と思った記憶があります。

 Torino Zafari
 Torino Zafari posted by (C)corno4

 Torino Comahue
 Torino Comahue posted by (C)corno4

日本のスカイライン(R34までの)がそうであるように、こういう「Nostalgic Hero」的なクルマは現代というより「ちょっと前」のものであり、これから出てくることはもう無いだろうなと思います。 20~30年後、現代のクルマを我々はどう懐かしんでいるでしょうね。

■ フォトギャラもアップしました:
Renault Torino (1) - 街角で見かけたTorinoたち
Renault Torino (2) - 当時切り抜いた雑誌広告より、他

■ おまけ(1):
Torinoのエンブレムはトリノ市の紋章をモチーフとした雄牛です。 後ろ2本脚で立ち上がったその姿は、フェラーリとランボルギーニを足して2で割ったようにも見えるのがちょっと笑えます(^^)。

 Torino Logo
 Torino Logo posted by (C)corno4

■ おまけ(2):
TVCMの動画を見つけました。 この70年代っぽさ、何とも言えません。



ブログ一覧 | coches argentinos | クルマ
Posted at 2010/02/12 10:58:05

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この記事へのコメント

2010年2月12日 13:07
>低く構えたワル顔に大型ガラスキャノピーが
特徴的な迫力のチューンドカー
一瞬ジェンセン・インターセプターかと思いました。
雰囲気がよく似てますね。。。(笑)
コメントへの返答
2010年2月12日 18:29
おお、確かに!
あんなに上品ではありませんけど(苦笑)。
個人的には、イソ・グリフォあたりも
Comahueのモチーフになってる気がしてます。
2010年2月12日 21:26
>デビューは1966年。


ウフフフフ
コメントへの返答
2010年2月12日 22:43



ククククク。
2013年11月11日 19:07
渋い!!
アルゼンチンの1960-1979年まで続いた「完成車輸入全面禁止」の産物ですね。
1970年代にホーリー製キャブ3基で215ps.....最高速205-215km/hを発揮した同車「IKAルノートリノ」380W/TSX/GSはまさしく同時期のBMW528i/733i、メルセデスベンツ280Eに勝るとも劣らない高性能ぶりでヨーロッパ車を買いたくても手にすることが出来ない同国の特権階級に絶好の受け皿を提供していたことは想像に難くありません。
この他ルノートリノ・シリーズには4ドアセダン「トリノ・グランルーティエ」もありこちらはグロス180ps/ネット140psで185km/h、同時代のベンツ250やBMW525と同等の性能でクラウンやセドリックの2800/2600よりも確実に一回り速かったものです。
さて同時期隣のブラジルにはオペルレコードCのボディ/シャーシを利用して4093cc/6気筒・153psネットのパワーで最高速205-210km/h(ジャガーXJ6 4.2や前記ベンツ/ビーエムと同等!)を誇った「シボレーオパラ/コモドーロ」のシリーズがあり、ルノートリノと全く同様の経緯から現地支配階級に熱烈支持された中型高級車がありましたがそちらのアップもぜひお願いします―大国に向けて飛躍する南米の「工業化政策」の歴史の重大な生き証人だと信じて疑いません!
コメントへの返答
2013年11月17日 16:07
はじめまして。当時の南米車に詳しい方がいらっしゃったとは嬉しい驚きです。

書かれたトリノ・グランルーティエ時代はまさに在住していた頃でした。TVCMで確か「ドイツにはメルセデス、イギリスにはジャガー、そしてアルゼンチンには・・・トリノがある」と、それらに伍する存在であることをアピールしていたのを「ホントかなあ・・・」と子供心に多少疑いつつも誇らしく?信じていた記憶があります。

さてお隣ブラジルのシボレーオパラ系のこと、残念ながら一度旅行で訪れた際によく見かけたことを覚えている程度の記憶しかなく、記事に出来るほど詳しく存じないのですが、60年代から90年代初頭まで生き延びた長寿さ(化粧変化度合いの大きさを含む)や幅広く乗られた実用高級車としての側面から、アルゼンチンで言えば別記事にしたフォードファルコン的な存在と捉えていました。と同時に、2ドアクーペや4リッター版の存在など、トリノに通じるスペシャリティ要素も併せ持つわけで、台数規模も含めてその存在感が絶大だったであろうことは想像に難くありません。

輸入代替としての国産化政策が堅固だった70年代までは他にも中大型車が複数存在した伯亜両国において、80年代まで生き延びた数少ないモデルは、やはり(他に選択肢がない状況は勿論として)そうするに足る支持を得られるだけの特長があったからこそなのだろうと改めて思いました。
2013年11月17日 19:16
ドイツにはメルセデス/イギリスにはジャガー/アルゼンチンにはルノートリノがある.....涙ぐましくもいじましい国民心理を突いたCMですね!!!!
それと全くよく似た要領で1980年代のブラジルには「ベンツ450SLC」「BMW528i」の二台と並べて現地生産の「アルファロメオ2300」を出す雑誌広告が、現地Quattro Rodas誌に掲載されていたことがあり、メーカー側としては「ヨーロッパ車を買いたくとも輸入禁止で手に入らない/古いベンツやジャガーを使っている特権階級への絶好の受け皿として」自信満々に売り込んでいる様相が強く伺えるものです。
このアルファロメオ2300の正体は当時一世代前になっていた1968-76年製造の「アルファロメオ1750/2000ベルリーナ」をベースとしたものであり、同時期の本国の最新型たる「アルファロメオアルフェッタ2000」よりも時代遅れの設計でした―それでも旧式の設計で無駄ばかり多いアメリカ車ベースの「ダッジチャージャー」「フォードギャラクシー」よりもずっと高度で洗練された「高速性能重視」の設計であった上、GM製「シボレーコモドーロ250S(4100cc)」よりも卓越したコーナリング性能と言う点でブラジル産「最先端マシーン」として特有のファン層を掴んでいた点は見逃せません。
PS(あとがき)
ガラリと変わって場所は近年の日本、では「ドイツにメルセデス/英国にジャガー/我が国にレクサス」なんて果たして言い張れるか、どうにも半信半疑ですね。
自身も愛用の2009年式レクサスIS350の直進安定性の据わりの悪さにとてもじゃないけど参っている最中なので。
コメントへの返答
2013年11月17日 20:31
アルファロメオ2300ですか。それはまた明らかに意欲的かつ特徴的なモデルだったことでしょうね。

隣同士の国でも全く別のものベースに国産車を作って発展させていた、というのもまた面白いものだなと思います。

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