少し前の出来事です。
ソースです。
【スーパー耐久】情熱のマツダ・デミオ。ディーゼル・ターボ車が鈴鹿4時間で初優勝を飾る!
辻野ヒロシ | モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
2016年6月14日 6時55分配信
ツイート
シェア
ブックマーク

スーパー耐久のマツダ・デミオ 17号車 【写真:Garelly Type S】
市販車ベースのマシンが中心となって戦う耐久レース「スーパー耐久シリーズ」の第3戦が6月11日(土)12日(日)に鈴鹿サーキット(三重県)で開催され、12日(日)の決勝レースには予選レースを勝ち抜いた45台が出走した。午後3時15分のスタート前から怪しくなっていた雲行き。天気予報が的中し、レース中は雨が降りしきる中のウェットコンディションのレースとなったが、4時間のレースを終えてみると、45台のうち41台が完走を果たすという完走率の高い大会となった。

ヘビーウェットの中、4時間のレースが行われた。【写真:MOBILITYLAND】
ヘビーウェットの中、4時間のレースが行われた。【写真:MOBILITYLAND】
コンパクトカークラスでデミオが優勝
排気量や駆動方式によって6つのクラスに分かれて、それぞれのクラス順位を競う「スーパー耐久」。その中で最も排気量が小さく、親しみやすいコンパクトカーが戦うクラスが「ST5」クラスだ。このクラスにはトヨタ・ヴィッツ、ホンダ・フィット、マツダ・デミオ、マツダ・ロードスター(新型)など排気量1500cc以下のクルマが参戦。メルセデスやフェラーリのレース専用GTカーと混走する中で「ST5」クラスを戦うコンパクトカーは最もスピード域が低い。実はこのクラスは接戦のバトルが常に展開される激戦クラスだ。
そんな中、そのバトルに混じらずに淡々と自分たちのレースをし、最後には上位フィニッシュを飾るクルマがある。それは新車販売台数のランキングで常に上位にランクインする売れ線のコンパクトカー「マツダ・デミオ」。その中で「ST5」クラスに参戦する「TEAM NOPRO(チームノプロ)」が走らせるデミオは1.5L直列4気筒・直噴ディーゼルターボエンジンを搭載する「マツダ・デミオSKYACTIV-D」である。

17号車「TEAM NOPRO」の集合写真【写真提供:NOPRO】
17号車「TEAM NOPRO」の集合写真【写真提供:NOPRO】
このクルマの最大の武器は、市販車デミオが売れる理由の一つでもある燃費の良さ。3時間の耐久レースなら1回の給油だけで走り切れてしまう好燃費だ。鈴鹿4時間耐久では同チームの17号車「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」(谷川達也/井尻薫/野上達也)が燃費の良さを活かした走りでホンダ・フィットに肉薄。ベテランドライバー谷川達也の攻めの走りも功を奏してコース上でホンダ・フィットをオーバーテイクし、見事な優勝を勝ち取った。
鈴鹿サーキットのレースでディーゼル車が優勝した例はほとんどなく、WTCC(世界ツーリングカー選手権)で外国車のSEAT Leonがベースになったマシンがプライベーター向けのクラス「ヨコハマトロフィー」でクラス優勝したくらい。国内メジャーレースカテゴリーに限っていうと、鈴鹿の公式レースでディーゼル車が優勝するのは史上初めてのことだろう。

優勝したデミオSKYACTIV-D(手前)【写真:MOBILITYLAND】
優勝したデミオSKYACTIV-D(手前)【写真:MOBILITYLAND】
情熱のディーゼル・ターボ
優勝した「TEAM NOPRO」は神奈川県・三浦郡にあるマツダ・ロードスターのチューニングを得意とする専門ショップ「NOPRO」(ノガミプロジェクト)のレーシングチーム。コンパクトカークラスの「ST5」に5年前からマツダ・デミオで参戦を続けている。

野上敏彦【写真提供:NOPRO】
野上敏彦【写真提供:NOPRO】
チームオーナーの野上敏彦はルマン24時間レースへの挑戦などで知られるマツダ直系のモータースポーツ企業「(株)マツダスピード」の出身。ロータリーエンジンで耐久レースに参戦を続けた同社で活躍し、独立。プロドライバーとしてステアリングを握ってレース活動を行い、チューニングショップも営んできた。しかし、「NOPRO」はレースを休止していた時期もある。
活動再開の転機となったのは2011年の東日本大震災の直後。「世の中が色々な意味でとても暗い時期で、チューニングショップ業界も突然暇になりました。ちょうど息子(野上達也)が3年働いた大手量販店を退職し、自社で仕事をするようになり、息子と一緒にレース業界をもう一度学ぶのは良いことかもしれないと思い、レース活動を再開しました」と父・野上敏彦は語る。自らの技術力、クルマに対する知識を植えつけてくれたレース業界に復帰し、近い将来、会社を継ぐであろう息子にもレースを戦うことで技術を身につけてもらおうという親心なのだろう。
2012年から「スーパー耐久」ST5クラスに参戦を始めた「TEAM NOPRO」は軽さを武器にした先代のガソリンエンジンデミオ(DE)の持ち味を活かし、参戦2年目の2013年富士7時間耐久レースで早くも初優勝。マツダ車としてはかつてスーパー耐久ST3クラスをロータリーエンジンのRX-7が席巻した時代があったが、マツダ車としても久しぶりの優勝だが、レシプロエンジン搭載車としてメジャー耐久レースでは史上初優勝となった。
燃費を武器に、誰もやらない挑戦を
昨年から、現行モデルのディーゼル車、マツダ・デミオ(DJ)を選択。ディーゼル車でのレース参戦というのは海外ではアウディ、セアトなどメーカーとしての挑戦と成功の例があるが、「TEAM NOPRO」は単なるプライベートチーム。デミオ・ディーゼルの選択からして「レース車としての速さは論外のところから始まった」と野上は語る。
直噴ディーゼルターボの現行モデル、マツダSKYACTIV-Dを搭載したデミオを選択した「TEAM NOPRO」。エースドライバーでSUPER GT/GT500クラス優勝の経験をもつプロドライバー谷川達也は「とにかく燃費がいい。ディーゼルターボはアクセル全開でパワーの出る回転は4200回転から4300回転くらい。音が静かすぎて、(回転数表示の)メーターを見てないとわからないほどです。ヘルメットを被って居ると、街乗りよりも静かかもしれません」とその特徴を説明する。

コンパクトカークラスを争うデミオSKYACTIV-D【写真提供:NOPRO】
コンパクトカークラスを争うデミオSKYACTIV-D【写真提供:NOPRO】
燃費の良さはディーゼルターボの武器だ。燃費の強みを活かしてライバルよりもピット回数を減らすことで特に長時間レースでは勝機が見えてくる。ただ、ネックとなるのはエンジン重量に起因する車重。いくら低回転で燃費の良いベース車両といえども、レースを戦うクルマとして車重の重さはデメリット。タイヤにかかる負荷が大きくなり、第1戦のツインリンクもてぎ5時間耐久レースではタイヤがバーストし、あと一歩のところで勝てなかった。
ST5クラスの争いでレースをリードするのはホンダ・フィットRS(フィット3)。フィットはレース仕様のモデルも市販されており、ワンメイクレースに長年取り組んできたホンダは積み重ねたレース車両製作のノウハウを持っており、ユーザーたちは少なからずその恩恵を受けている。しかし、マツダは国内での主だったレース活動を長年行っておらず、ホンダやトヨタといったレース活動やレース車両の販売に積極的なメーカーとはスタンスが異なるのだ。プライベーターとして自らクルマを仕上げ、唯一のディーゼルターボ車で参戦する「TEAM NOPRO」を取り巻く環境にはクルマのポテンシャル以上の違いがある。
そんな中でも少数派の車種で参戦する理由を野上敏彦はこう語る。
「デミオはすごく売れている人気車種です。でも、ディーゼルターボのレース車両づくりは未知の世界。誰もやっていないことをやるのが好きなんですよね。ディーゼルはガソリンエンジンと違う難しさがあります。でも、今はディーゼルと付き合っていくノウハウを培っていきたい。レースを通じて学んだノウハウをディーゼルターボ車に乗るお客様にフィードバックできるようにしたいですね」
燃費の良さを活かした走りという意味で、同チームは9月の第4戦・富士9時間耐久レースでの優勝を狙っていた。しかし、ディーゼルターボ初優勝のチャンスは第3戦・鈴鹿で巡ってきた。レースがウェットコンディションになったことで、スピードで勝るライバル車との差が縮まるだけでなく、タイヤの負担も減り、さらに4時間耐久と長いレースであることからライバルは我慢の燃費走行を強いられることに。セーフティーカーが入ってライバルが燃費をセーブできるようになったのも序盤の1回だけ。マイペースで走行を続けて着実に順位を上げ、「TEAM NOPRO」は燃費を心配することなく最後の勝負に出ることができた。

ST5クラスの表彰式。中央が息子の野上達也【写真:MOBILITYLAND】
ST5クラスの表彰式。中央が息子の野上達也【写真:MOBILITYLAND】
「レース車をゼロから作って走らせて、息子には人間関係を含めてレースから経済的、政治的な事も学んで欲しい」とレース活動再開の理由を語った父・野上敏彦。ナイトチェッカーの後、投光器に照らされた鈴鹿サーキットの表彰台にはドライバーの一人として参戦した息子・野上達也の姿があった。ディーゼルターボ車初優勝を成し遂げた息子が見た、表彰台からの景色は格別なものだったに違いない。なかなかスポットライトが当たることが少ないコンパクトカークラスのレースにも、やりがいのある挑戦と他には代え難い勝利の喜びがあるものだ。
ツイート
シェア
ブックマーク
辻野ヒロシ モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットで7割以上のレースで実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。ポータルサイト「All About」のモータースポーツガイドを担当。
hiroshitsujino
tsujino.racingnews
引用おわり。
結構ガソリンっぽい性格を与えられたマツダの乾坤一擲クリーンディーゼルはS耐にて国産車公式レースで前人未到のクラス優勝を達成、しかもチームはワークス系なんかじゃなく、マツダスピード出身のプロショップが達成という快挙です。
ディ-ゼルらしからぬ高回転型が災いしATの制御がトルクの出る千肆(4)百回転シフトなので、町乗りでは肆(4)速までしか使ってくれず実用燃費では他社ハイブリッド車は勿論、ガソリンフィットやヴィッツにすら負けてしまい、燃費重視だったらはっきり言ってDJデミオを選ぶ必然性は壱切ありません。
また、ボディ剛性の高さから車重もかなり重く、しかもE/G自体もかなり重いので、ゼロヨンダッシュをすればGE6(弐代目のフィットの千参百ccモデル)にすら叶わない上に、近距離で使うとE/G内部にカーボンが堆積し、大幅に性能低下を招くなど、運動性能と実用性で比較すれば価格に見合った価値は無いと判断していたのがDJ+クリーンディーゼルと言うのが私の解釈でした。
事実、緒戦ではフロントヘビーが災いし、タイヤバーストの憂き目にあっている辺り、コンパクトカーに運動性能とディーゼルが両立が難しく、まだまだ国産車は欧州車には叶わないのが現実です。
ただ、裏を返せば肆千参百回転で最高出力をたたき出すユニットと漆(6)速MTとの組み合わせはパワーバンドを外す事は少なく、ライン取りの自由度は非常に高いと言え、いざとなれば多少強引なライン取りから先行車を追い越すことが出来るので、タイヤコンディションさえよけらば結構無理が利くのと
ブン廻さず速いユニットは勿論燃費も良く、ピットイン回数が少ないぶん耐久レースでは極めて有利な条件が、こたびの快挙に繋がったと言えます。
DJは値段もコンパクトカーの常識を遥かに上回り実用的とは言い難いですが、あのボディサイズのなかでは欧州車にひけはとらないどっしりした走りが得られると言う意味では良いのではないかなと思います。
個人的にはDWの「軽量高機動」っぷりと比較すると、長いホイールベースもあいまってガソリン車ですら町乗りでは重たく、やや曲げにくい感じがしてしまいますが^^;
あと、ディーゼルでフルオプションだとまさかの参百万、価格まで欧州車なみか下手すればそれ以上、つかもう少し足したらFD買えるじゃん(売っていないけど)

Posted at 2016/09/07 22:33:35 | |
トラックバック(0) |
ニュース | クルマ