
はじめての洋楽体験は、母が聞いていたダンス天国でした。
ウィルソン・ピケットだったのか、ウォーカー・ブラザーズだったのか、今ではわからないのだけど。
オープンリールのテープレコーダーから流れるダンサンブルでソウルな音は、小学生だった僕にも伝わるものはあったのです。
タイガースとは違うじゃん
スパイダース、テンプターズ、ワイルドワンズ、ブルーコメッツ、,,,
グループサウンズ全盛の時代。
やっぱり原点はビートルズ?
自分の小遣いで初めて買ったドーナッツ盤は、HELP !
針を落とした瞬間から炸裂するジョンとポールのシャウト。
かっこよすぎる。
ビートルズはブリティッシュロックへの入口でした。
深みにはまるように傾倒していく中で知る、Rolling Stones。
ビートルズとは違った、不気味な印象の6人組(当時)。
怪しい。特に、唇の大きな男 ...
冷めた目つきの、決して美しくない、でも、なんとなく魅力的な、この男こそ。
Rolling Stones のヴォーカリストにして実質的な支配者、ミック・ジャガーでした。
イギリスが自慢できるものが二つある。
女王様、そしておれだ。
ビートルズはキリストより有名だ、とジョン・レノンが語り、失笑を買った頃。
ミックは自分なりのイメージを構築するのに必死でした。
女王は魔女の親玉であり、悪の権化である自分も彼女と同類である、ということなのか。
表のビートルズに対し、裏のストーンズを確立したいミックは、ことある毎に挑発的な言動を繰り返します。
ミックの愛車、漆黒のアストンマーティン DB5。
ジョンレノンが乗るロールスロイスを意識した、のかもしれません。
はっきりいって、
おれは美徳のかがみじゃない。
英国を代表するロックバンドの地位を得たストーンズの醜いヴォーカリスト。
ミックの周りには、常に女がいました。
一度見たら忘れられない、あの唇に魅せられたのか。
それとも、女性にしかわからないフェロモンでもあったのか。
女から女へと渡り歩くミック。
後に残されるは、自殺未遂を起こす女性ばかり。
ツアー中はめちゃくちゃやるね。
完全にモンスターになる。
相棒キースと共に麻薬不法所持で逮捕され、
グループの音楽的リーダーでもあり名付け親でもあったブライアン・ジョーンズの謎の死を経て、
ミックは、ストーンズは、紙一重の危うさと共に世界一のロックバンドへと歩み始めます。
悪魔を憐れむ歌を演奏すると何かが起こる。
ミック自身がそう言い、歌った 69年のオルタモント。
50万人の観客とヘルスエンジェルス。
4人の死者を出した悲劇は、ストーンズの将来に暗い影を落とすものと、誰もが思ったことでしょう。
おれの人生すべてがロックンロールってわけじゃない。
そんな人生、ばかばかしいよ。
自らを
悪魔の使いと称していたミックの本心は、実は、ここにあるのではないか。
62年の結成以来、既に、44年間。
数々のトラブルを乗り越え、いまだに活動を続けるストーンズの原動力。
ミック・ジャガー。
経営者としての才能と冷静な判断があってこその Rolling Stones。
ブライアンが、キースが、ロンが、ドラッグやアルコールに溺れ、生きる屍になっても、自分だけは一線を越えることをしない。
ロックミュージシャンとして必要と考えれば LSD も吸うが、己を高揚させるための薬は要らない。
時代がサイケデリックなものを望めば魔術的な装飾をまとい、ラブ・アンド・ピースを望めばバラードも歌う。
実に計算高い男。
アメリカのジャーナリスト、Christopher Andersen がまとめた
ミックジャガーの真実。
全 550 ページにわたる物語は、ミックジャガーという一人のミュージシャンを裸にする。
暴露本?
なのかもしれません。
でも、ミックに対する著者の深い愛情も感じられるのです。
今シーズンのスーパーボウルにおけるハーフタイムショー。
還暦を過ぎたミックのパフォーマンスはどうだったのでしょう?
ブログ一覧 |
book | 趣味
Posted at
2006/02/06 16:38:21