この辺の風景は、もうまったく日本的でない。
少なくとも私がこれまで一度も見た事のない景色だ。
これはむしろスイスか、さもなければスイスの幻想だ。
《日本美の再発見》
桂離宮に心酔し東照宮を醜悪とした青い目の建築家
ブルーノタウトの言葉である。
1935年にこの地を訪れたドイツ人の驚きは
80年近くを経た今も、僕の目にも伝わるんであって。
岐阜県、庄川流域。世界遺産、白川郷。取り囲む山々に溶け込む茅葺きの屋根。
その屋根は一方向へと並び毅然とした美しさを景色に加える。
厳しい風雪を耐え抜いてきた家屋と青々とした田畑の対比は涙を誘い、マスも泳ぐ用水路に
自然の豊かさを感じ入る。
そして。(アルプスの少女)ハイジも納得する、空の広さである。
高い建物と電線がないだけで。こんなにも景色が気持ちよくなるってことを忘れてたなぁ ...
屋根に当たる風の抵抗を最小限にするため全ての茅葺き屋根は東西に面す(建屋は南北)
建屋に入る風の経路を塞がぬよう家と家の配置は(微妙に)ずらしてあるのも先人の知恵

収まるべき所に軽トラが駐まる(日本の)世界遺産の日常。MINI では絵にならない(と思う)
マスの群れが悠々と泳ぐ用水路。自然の生け簀(?)が軒下に流れてるなんて驚き!
実るほど頭を垂れる稲穂かな ... には、ちと早いけど。
手入れの行き届いた田畑と茅葺き屋根に涙するのは昭和生まれの観光客なり
これらの家屋は、その構造が合理的であり
論理的であるという点においては、
日本全国を通じてまったく独特の存在である。
《日本建築の基礎》
白川郷を訪れたブルーノタウトが
独特の存在 と
称した合掌造りの家には、入館料を払って中に
入ることができるんでした。
イヌがいるんですけど ... ?
抱っこでなら。構いませんよ
管理人さんの粋な計らいで、250年続く旧家の客犬となったムスメ。
まんまると見開かれた瞳に映るは江戸の昔より住み着く座敷童子かしらん ...
座敷童は遠野物語でしか知らない、ブルーノタウトの著作も1冊しか読んだことのない自分は、
合理的であり論理的な点はどこにある? と探し歩くも、わかったような、わからなかったような。

柱、桁、梁で構成される軸組(一階部分)は合掌造りの基礎であり、主人の暮らす空間なり
ウスバリ(シキゲタ)で分離された上の部分が合掌屋根の小屋組であるそうな
その小屋組の内部、合掌屋根の内側には、60度の急角度で天を目指す合掌材と
横に走るヤナカ、筋向かいに交差するハネガイが縄一本で結ばれ強度を上げる
釘を使わず縄で固定された合掌材とヤナカとハネガイ
こんなんで? と思うが。100年持たない建売住宅よりはよほど丈夫なんである

主人が一服していたであろう囲炉裏の間と使用人が寝起きした中二階
居心地の良さそうな主人の間に対し使用人の部屋は押し潰されそうな閉塞感が漂う

窓の外には田園風景が広がり、外から窓を眺めれば中には座敷童子?
合掌造りの屋根裏(小屋組)は子供部屋かと思ってたら、立派な作業場だったんでした。
村の基幹産業は養蚕業。丈夫な蚕を育てるには、空間(3層~5層の階)とお日様(南向きの窓)、

それに、風通し(風の流れに沿う家々の配置)が
必要である。
冬には大雪の積もる白川村では雪の重みから
家屋を守る仕組みも入り用である。
屋内空間を確保しつつ雪落とし効果も見込める
合掌造りはまさに論理的である、と。
現金収入の少ない村であった。
大工に頼むにゃ家が大きすぎる。だから
技術の必要な軸部と
村民の協力でなんとかなる小屋組とを分け
建築費を浮かす合理性もあった、と。青い目の建築家は感動されたんですね、たぶん ...
そう言われないと、そういう目で見ない素人には、気付かぬことですが (^^;
世界遺産、堪能されましたかぁ~? 

白川郷まで来たら。
白山スーパー林道を抜けて石川県へっていうのが
John Cooper の進む道である、けれども。
金沢の、イヌと泊まれる宿に空きはなかった ...
従って。John Cooper が針路を取るべきは来た道、
つまりは再び、高山を目指すのであるが、しかし。
本日のお宿は高山ではない。岐阜を突き抜け
長野にあったりするから、事は急ぐ。果たして。
夕食時間には間に合うのか?
続く ...
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dog life | 旅行/地域
Posted at
2013/08/31 11:22:14