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かめい堂のブログ一覧

2006年02月24日 イイね!

Round Midnight

Round Midnight村上春樹さんが書いた、ポートレイト・イン・ジャズ
26人のジャズメンの中に、デクスター・ゴードンがいます。
彼は言います。

映画ラウンド・ミッドナイトを最後まで見通すことはつらい。
質の問題以前に、この映画は一つの喪失の記録だからだ。


Round Midnight
フランスのベルトラン・タヴェルニエが監督した人間ドラマ。
50年代のパリ。
ニューヨークからやってきた初老のサックスプレイヤー、デイル・ターナーはブルーノートで連夜、素晴らしいステージを展開する。クラブへ入る金もない貧乏なデザイナー、フランシスは毎晩、店の外へ漏れるデイルのサックスに聞き入る。

彼は神のように吹いたよ。
一人、お留守番をする小学生の娘に、デイルの素晴らしいプレーを説明するフランシス。
そんな日々が続いたある夜。
演奏を終え店から出てきたデイルは、路地に立つフランシスを見つけ、こう言う。

ビールを奢ってくれるか?
急速に仲良くなっていく二人ではあったが、フランシスはデイルの体調を気遣うあまり、時に、厳しく接する。何度となく病院に担ぎ込まれるデイルは、アルコールなしでは生きていけぬ男だったのだ。
初老のデイルを気遣うフランシスは別れた女房から金を借り、献身的なまでにデイルを世話する。そんな友の姿を見たデイルは、ついに改心し、アルコールを断つ。
サックスプレイヤーとしての誇りを取り戻したデイルは、生まれ故郷のニューヨークへと帰る。
しかし、そこに待ち受けていたものは、あまりに哀しい結末だった。


この映画について春樹さんが語った冒頭の言葉は。
主人公であるデイル・ターナーを演じた、デクスター・ゴードンその人に対して、なのかもしれません。

Dexter Keith Gordon
レスター・ヤングの流れを汲むティナー・サックス・プレイヤー。
ディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカーの洗礼を受け、ビバップの第一人者となるも、ドラッグ中毒によるトラブルで投獄。30代のほとんどを刑務所で暮らす。
社会に戻ってきた60年代、時代はソニー・ロリンズであり、ジョン・コルトレーンであった。時代遅れのティナー奏者はヨーロッパへ活動の場を求め、見事に復活する。
故郷に帰った晩年、腎臓疾患が原因で67年の短い生涯を閉じる。

映画の中のデイル・ターナーと、ジャズマンであるデクスター・ゴードン。
その生き様は、ほとんど同じである。
マイルス・デイビスが怒り、訴えた、アメリカの人種問題。
新しい音、技法を追求し、インプロヴィゼーションに心身をすり減らすジャズメン。
クール、ビバップ、モード、と独自のスタイルを創造しながらも、ぞんざいに扱われ、ひっそりと生涯を閉じる黒人プレイヤー。
故国を捨て、遠くヨーロッパで活躍せざるを得なかった、50年代のジャズ奏者。

アメリカという国が犯した間違いを。
ジャズという音楽が内に秘める魂の叫び声を。
映画ラウンド・ミッドナイト、そして、デイル・ターナーことデクスター・ゴードンを通じて。
春樹さんは感じたのか。

この映画が公開された、86年。
僕は、British Leyland 製の mini 1000 に乗っていた。
20代の若造には渋すぎる内容ではあったけど、バックに流れる音楽の素晴らしさは耳に残っていた。
Rover mini に乗るようになった 40代。
再び観たこの映画は、村上春樹の想いも手伝って、あまりに切なかった。
そして、BMW MINI に乗る今。
車内で聞くこのCDに、デクスター・ゴードンの素晴らしさを感じるのである。

ただのセリフとは思えぬ、デイル・ターナーの言葉。
  なぁ、フランシス。
  この世の中には、親切が少ないよ。

デクスター・ゴードン自身が言いたかったことなのかな?
Posted at 2006/02/24 15:46:38 | コメント(5) | トラックバック(0) | Jazz | 音楽/映画/テレビ
2005年12月19日 イイね!

Live Around the World

Live Around the WorldMiles Davis
怒れる黒人

ユダヤ人はドイツで何が起きたかを繰り返し世界に言い続けている。だから黒人も世界に向かって、合衆国で、いや、合衆されていないこの国で、何が起きたか、起きているか、を語り続けなくてはいけない。

Miles Davis
奮闘するジャズマン

古い音を聴きたかったらレコードを聴いてくれ。俺自身はもうそこにはいないし、彼らのために演ってるわけじゃない。自分にとって一番いいように生きなくてはいけないんだ。

Miles Davis
孤独のトランペッター

演奏し創造したいという切迫感は、昔よりもはるかに激しい。
呪いみたいなものだ ...


マイルス・ディヴィス
1926年、イリノイ州に生まれる。
チャーリー・”バード”・パーカーのもと、ビバップの若き旗手として期待されていた1949年、
アルバム Birth of the Cool にて方向転換。自身が築き上げたこのクールジャズを手始めに、ハードバップ、モードジャズ、フリージャズへと変幻自在にスタイルを変え、80年代以降は、ロック、ソウル、フュージョン、ラップなどジャンルにとらわれない音楽を創造し続け、年齢、性別、国籍を問わず多くの友人を持つ。
1991年、その波乱に満ちた生涯を閉じる。

40年以上も第一線で活躍したマイルスには、当然、多くのリーダー・アルバムがあるのですが、最近の僕の愛聴盤がコレ。
  Live Around the World
88 ~ 91年、各地で行われたライブの未発表テイクを1枚のCDに納めたアルバムです。
若き旗手だったマイルスも、既に大御所。
ご老公一行様の演奏旅行ようなライブ公演集。
衰えた肺活量をミュートの多用で補ってみたり、ハウリングが起きるほどにマイクを増幅してみたり、...
晩年の演奏だけに、往事を知るものには辛い音も、確かにあるのです。
しかし、全てを達観したような魂の音も、同時に吹き込まれているのです。

マイケル・ジャクソンの美しい曲 Human Nature におけるマイルスの気迫のプレイに驚き、
自身のナンバーである TuTu が こんなにもカッコよかったか とまたまた驚き、
シンディ・ローパーのヒット曲 Time After Time に至っては、うかつにも涙がこぼれるほど感動してしまう、
そんなアルバムです。

一枚の銀盤に納められたこのマイルスが、夜の都会を走る MINI にピッタリだと知ったのは最近のこと。
一人でドライブできる時は、必ずこのCDをかける僕なのでした るんるん
Posted at 2005/12/19 16:45:30 | コメント(3) | トラックバック(0) | Jazz | 音楽/映画/テレビ
2005年12月09日 イイね!

Chet Baker Sings

Chet Baker Singsチェット・ベイカーが歌う、アルバムです。

それがタイトルとなってしまう訳には、この繊細な面持ちの青年が本来はトランペッターであるから、という事情があります。
ちょうど同世代のエルビス・プレスリーやジェームス・ディーンを連想させる、母性本能をくすぐる甘いマスクが、能なしのアイドルやゲイ(当時はホモ?)と間違えられる不幸もあったようですが、正真正銘の実力派ジャズ・ミュージシャンです。

1950年代、ジャズの世界ではマイルス・ディヴィスという途方もないトランペッターの存在があって、チェット自身、己の限界を感じたかどうか ... ???
いずれにせよ、56年に発表されたこのアルバム以降、歌い手としての名声が高まったのでした。
もっとも、トランペッターとしても素晴らしく才能があって、東海岸のマイルスに対し、西海岸にチェットあり! と言われていたようです。

晩秋から初冬にかけての、この時期。
毎年のように、もの憂げで中性的な彼の声を聴きたくなります。
先生も走るほどに忙しい、師走に。
目の前にある何もかもを放りだし、ひとりでも、或いは、大切な人と一緒でも、贅沢な時間を過ごしたいなら
  Chet Baker Sings です。

さて、実はこのアルバム、モノーラルなんです。
マルチチャンネルだの、5.1ch サラウンドだのが当たり前のこの時代に、ステレオフォニックでさえない、単音源です。
でも、これがいい。
単音源(モノーラル)は立体音響(ステレオフォニック)に比べ、音の広がりを失う代わりに、定位がしっかりとします。加えて音圧も強くなるので、意外と侮れないわけですね。

で、MINI です。(って、無理矢理 MINI の話題にしてる?)
配置されたスピーカーに対し、中位に座れないのが運転席と助手席。
自らの走行音はもとより、脇をすり抜けるバイクや対向する車両のクラクションなど、実に雑音が多いのも車内という空間です。
この、音を再現する場としては最悪に近い環境で、僕らは音楽を聴くとなると ...
当然、単音源でしょう ウッシッシ
試しに聴いてみてください、モノーラル盤の旧いジャズなどを るんるん
# 原盤の音質が悪い場合は、それなりの音しか聞こえませんので、あしからず (^^;
Posted at 2005/12/09 17:33:54 | コメント(3) | トラックバック(0) | Jazz | 音楽/映画/テレビ
2005年11月19日 イイね!

the Look Of Love

the Look Of LoveDiana Krall、この美しい女性がエルビス・コステロの奥様 ... だなんて、誰が想像できましょう exclamation&question
あっ、コステロもオシャレでイイ男なんだけど、ね 冷や汗

とにもかくにもこのジャケット、スリットから覗く脚線美に思わず手にした男たちも多いとは思うのですが、はっきいり言って「買いなさい」、です。
ダイアナ・クラール嬢、カナダ出身、幼少よりクラシックピアノをたしなみ、バンクーバー・ジャズ・フェスティバルの奨学金を得てバークリー音大へと進んだ才女、'92年アルバム・デビュー、'96年にはアルバム "All For You" が、ビルボード・ジャズ・チャートで1位となる、,,, 。

美人でスタイルの良いボンドガールのような女性にジャズなど歌えるか?
と思っていたのも、彼女を聴くまでの話。
考えてみれば、ヘレン・メリルも、アニタ・オ・ディも、うら若き頃からジャズシンガーだったわけで。
天は「二物」を与えてしまった、のね。

恋の面影がコステロとは(かなり)羨ましすぎますが、
そんなゴシップな話は抜きで浸ってください、ぜひに♪
Posted at 2005/11/19 15:48:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | Jazz | 音楽/映画/テレビ
2005年11月17日 イイね!

Waltz for Debby

Waltz for Debby今朝の東京は寒かったですね。
(自転車通勤なので)この時期は体が慣れるまで一苦労なのですが、空気が澄み切って気持ちいい、のはありがたいです。
そんな凛とした晩秋に聴きたくなるのが、この一枚。

Waltz for Debby / Bill Evans

1961年 "Village Vanguard"(ジャズクラブ)でのライブテイク。お客さんが談笑する声や食器の触れ合う音が何とも言えぬ良い雰囲気で、生の演奏を一緒に聴いているような素敵なアルバムです。
 ... と、つい最近までは思っていました。

というのも、我が家のハイエンドシステムが文字通りの「廃エンド」になってしまったため、嫁入り道具のひとつであるミニコンポでこのCDを聴いてしまった、からなのです。
このミニコンポ、嫁が独身時代から愛用していた(いわゆる)ラジカセ的コンポで、CDもMDもカセットも使え、おまけに、再生中は七色のイルミネーションが素敵なヤツ ... (^^;、なのですが。

1曲目の My Foolish Heart。
もの憂げで哀愁に満ちたエバンスのピアノ、誰が聴いても綺麗なあのトーンが、キレイでない
ピアノとベースとドラム、絡みつくような3人の演奏も緊張感がまるで感じられない
なんなんでしょう、これは げっそり
あまりに平坦というか、音に広がりがないのです。

ミニコンポが悪い訳ではないのです。
「いまどき」の音楽を聴いてる分には何の問題もないんですから ...
ただ、ちょっと旧い音楽は苦手みたいなんです。
うすうす感づいてはいたんですよ、Jazz の再生には役不足だろう、と。
ハイエンドシステムがジ・エンドした時、「新しいシステムを買ってくれ!」と、お願いはしてみたんですが ...
「音が聞ければ他に何の問題があるの?」とばかりにこのミニコンポを指さす嫁には、わからん話なんです。

せめて、Bose West Borough くらいは欲しいところなんです。
でもでも、この七色くんが壊れるまでは無理な話なんでしょうね。
こうなると希望の星はミニ。
果たして、どんな Bill Evans となることやらるんるん
Posted at 2005/11/17 15:25:19 | コメント(3) | トラックバック(0) | Jazz | 音楽/映画/テレビ

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東京の下町で暮らしております。 ノスタルジー香る街並みに巨大な電波塔が完成し 足下の住民は悲喜こもごもでありますが ... 昭和の情景にも平成の風景にも違...
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