かめい堂のブログ一覧

2010年　秋の終わり

いいなぁ～ JCW
と、気軽に話を切り出せる夫婦関係ならば。
2回目の車検を迎えることなくクラブマン・オーナーに
なっていただろう我が家であるからして、
6年目のクーパーSに乗る自分は当然の姿であるけど
それを哀れむことはないのである。

待てば海路の日和あり
Road to Clubman 改め、Road to Clubman JCW とできたのは、あの日、あの時。
首を縦に振らなかった妻のおかげであり、その氷河より冷たい判断に感謝するのが
良き夫の務めなんである。

そもそもは。
ゲンコツ一個分の余裕ができた後席であれど、そのアクセスが容易ではない点から
ケチがつき始めた我が家のクラブマン計画。
間延び感漂うセンターコンソールのデザインとトリム類の質感の乏しさが
さらなるマイナスポイントを生み出し、320 touring、C5 tourer などへと
迷走するはめになってしまったわけで。

しかし、JCWを知った今。自分の五感の直結するクラブマンを知った今。
ユーティリティに優れコンフォータブルの塊であるようなクルマは還暦を過ぎてから
乗ればいいじゃん、と。思うに至ったんである。

とはいえ。通帳と銀行印を持たぬ僕に進むべき迂回路は残されていない。
あるのは。次回車検までの24ヶ月という長いようで短い時間だけである。
さて。どうしたものか？

乗り越えるべき障壁は依然として目の前にあるけれど
内に秘めたる情念は徐々に形となってきた2010年、秋の終わりであった。

2010年　秋の始まり

自動車とは縁遠い生活を送っていた僕はクラブマンに
新しいモデルが誕生したことを知らなかったのであり。
見ただけでは違いのわからぬクーパーSのオーナーに
John Cooper Works なる冠が付けられたクラブマンが
どれほどのものであるか？ を
まずは乗ってみてくださいよ、 と。
試乗車へ誘う担当氏の笑みが不気味な雨に濡れる2010年、秋の始まり。

深夜の住宅街ではどうかと思う排気音に心を躍らせつつ国道14号へと
片道4車線の大河のような直線へと矛先を向けた僕は
自分の右足と直結するエンジンの躍動に脳幹が痺れてしまったのであり。
これが。JCWチューンなのか？
はたまた。マニュアルトランスミッションの成せる技なのか？

トルコンスリップに慣れ親しみすぎた身体には刺激の強すぎる加速感を
（存分に）味わう間もなく、目前の信号が黄色へ移り変わるのを認める。
アクセルペダルからブレーキペダルへと踏み換えた右足は、いつもの踏力よりも
遙かに少ない圧で急激に減速する事態へ驚嘆するのであった。
赤いキャリパーは伊達ではないのねぇ～

大河のような国道から運河のような都道へと左折。
260Nmのトルクを伝達するクラッチに法外な重さはなく日常生活に耐えられそうと知った
左足は安堵の溜息をつき、
2速のゲートに吸い込まれる左手は自分の意思でギアを変える歓びを思い出す。

あぁ、これだよ。これっ

愛しき君を見つけた、雨の夜だったのである。

2010年　夏の終わり

愛しき君に振り向いてもらえなかった時は
愛しき君に代わる愛しそうな君を見つけるか
愛しき桃源郷から遠く離れた寂しき仙境に身を置くか、が
自分の人生経験から得た解決策だからして
クラブマンへの道が絶たれた2008年の秋から僕は
仙人のような日常を過ごしていたんである。

そもそも。C5や320へと目線が移るようでは
クラブマンがホントーに愛しき君であったのか
我ながらはっきりしていないのであり、ここは
じっくり時間をかけて（真の）愛しき君を見つけようじゃないか、と。
四季折々の東京を車窓に眺めながら走っていたら、
いつの間にやら2回目の車検を迎える頃になっていたのである。

車検制度とは新しいクルマを買わせるための自動車業界が編み出した
小賢しい制度と思われるが、その仕組みに迎合するのも悪くないクラブマンへの道。
しかしながら。
それを欲しいと思う気持ちは立ちはだかる障壁よりも強いのかどうか
いまひとつ確信の持てぬ2010年、夏の終わり。

実車を前にして、情熱の導火線は再び点るのだろうか？
はたまた。円満解決できる（つまりはクラブマンでない）自動車を
僕は選ぶべきなんだろうか？
揺れ動く心を確かめるべく訪れたディーラーで。
それを見てしまった、のである。

MINI Clubman JCW
え”～　クラブマンにもJCWってあったのぉ？