
標高 407m の御岳登山鉄道(ケーブルカー)始発駅、
その真下にある駐車場へと至る道は、歩けば息も上がる
急坂である。その、18% はあるんじゃないかと思われる
エラい勾配の途中で坂道発進を強いられた、黄金週間。
満杯の駐車場に入りきれない車列の最後尾に並んで
停止した瞬間、背中に感じるバックレストの厚み。
211ps の全開加速を試みた時と似たような重み。
もちろんアクセルは踏んでいない。ってことは ...
この背中に感じる加速Gは文字通りの gravity 、地球の中心へと落ちていく力だ。
こんなところで。坂道発進するのぉ~ 
John Cooper を手に入れたばかりの(昨秋の)頃であったなら、そう思ったであろうけれど。
今は大丈夫、なんたって。
ヒル・スタート・アシストが付いてるんですもの

現行型 MINI から備わるようになった
ペダルから足を
離しても2秒ほどブレーキを保持する 坂道発進お助け
機能を当初、ワタシは否定的な面持ちで受け取って
いたんであります。
MT車に乗る者として、
このようなマニュアル操作を
否定する機械主義的なエゴを許していいものか、と。
なんのために左手があるのか?
サイドブレーキを使えばそれで宜しい。
だが、しかし。歌謡曲を J-POP と呼ぶ平成の今
昭和時代の正論も心には響かない。
ならば使ってみようと、マンション駐車場のスロープで試してみたのは昨冬の頃。
坂の途中でブレーキ → 完全停止後ギアをニュートラルへ → ブレーキペダルを放す
おぉっ! 下に落ちない ...
免許取得以来30数年にして初めて味わう(重力を否定する)21世紀的な世界はだけども違和感
ありありで、やはり。機械には人間の気持ちは理解できない、従来通り。サイドブレーキを使おう

... と。そう思っていたんであるが。
半年も乗ってりゃ
習うより慣れろ の格言通り
あるのが普通になってしまったヒルアシスト。
要介護にはまだ早いけど要支援なら喜んで受けたい
自分にとっては誠に有り難き装備なり。
というわけで、この日。坂の上の駐車場を待つ
行列に加わった John Cooper は、もしかすると
唯一の MT車であったかもしれないが、息も上がる
急坂での発進に微塵も不安はなかったのである。
数珠つなぎの赤いテールランプが瞬く。
満杯の駐車場から1台、出庫したようである。
John Cooper の前に停まるクラウンがスペースを
埋めようと発進準備に取り掛かる。ところが。
輝くブレーキランプが消灯した刹那、ズルズルと
坂道を下る車体。慌てたのであろう運転手が踏んだ
アクセルに非線形スロットル分の加速力を加えた
車体は勢いよく発進するも前方に残された余白は
1台限り。
oh my god ! ぶつかっちまうゾ
ストップランプが消えると同時に坂道を下り始める 13代目 S20型クラウン
ヒル・スタート・アシスト機能は付いてるはずだが、どうしたことか ...
トヨタ製高級サルーンでさえも位置を保持できぬこの坂の勾配は確かにキツイ、けれど
パニック的に踏まれたブレーキペダルと結託する前輪は生まれ立ての加速力を強制的に殺し、
荒波を乗り越える漁船のような頼りない有様で前後に揺れるクラウン。
オートマなのに。ヒルアシストもついてるはずなのに ... 坂道発進すら満足にできないの?
いや。ヒルアシストが調子悪い(?)オートマだからこそ、の問題なのか。

ブレーキペダルからアクセルペダルへ
ふたつのペダルを踏み換えるその僅かな間で
クルマは後方へとずり落ちる。
トルクコンバータの流体継手が伝える動力をも
打ち消す重力の法則は、2ペダルコントロールに
慣れきった運転手の常識を覆す。
そもそも。クリープ現象を期待できないところに
停まっているんだという自覚があるのか疑わしいが
前に進むどころか後ろへ下がるのはナンデだ? と
言わんばかりのエンジンの唸り声が哀しい。
ヒルアシストが機能していないなら、なんで。
サイドブレーキを使わんのか?
いや、まて。クラウンにサイドブレーキはない。
あるのは。
足踏み式パーキングブレーキではなかったか?
そこまで推測して問題の根の深さを知る。
このクラウン、パーキングブレーキの解除方法は
なんだろう?
リリースレバーを引く方式ならいいけれど、
もう一度踏んで解除となると少々、面倒な気もする。
運転中は使うことのない左足をパーキングブレーキ
ペダルに乗せ、踏み込んで解除すると同時にアクセルペダル上の右足に力を込める。
しかもこの、極限状態で。
push-push 式パーキングペダルのリリースも高度な技だけど、リリースレバー方式も
その位置(例えばダッシュ右下隅にあるとか)によっては難しいのかもしれない。
手を下ろした自然の位置にある(MINIのような)サイドブレーキがやはり理にかなっている。
Manual Transmission であろうが、Automatic Transmission であろうが
坂道発進には古式ゆかしいサイドブレーキ(ハンドブレーキとも称される)が正論と思われる
安楽さを求めた結果のオートマティック
デザイン優位な足踏み式パーキングブレーキ
近頃のクルマでは標準的なこれらの装備は
急坂での発進を考慮していないんだろうか?
だから。ヒルアシスト機能が付いてるんです、と
メーカーは言うであろうが
もしそれが機能不全だったら、どうする?
左足ブレーキなら問題ないのにナァ、と。
半年前までは2ペダルの MINI に乗っていた
ワタシは思うわけでありまして。
まぁ左足ブレーキについては賛否両論あれど ...
坂の上の交差点、山の上の駐車場、ショッピングモールの駐車場
勾配の厳しい坂道で途中発進を強いられるケースは案外、多い。
ヒルアシストはそんな時のためにあるけれど、もしかして。クラウンの運転手は
その機能を理解していなかったのかもしれない。
車体が下がり始めてから自動ブレーキというシステムもあるようなので
いざって時に慌てふためかないよう、オートマの方も坂道発進の練習をしておいた方が
宜しいかと思うんであります。
(恐らく)メーカーによって味付けの異なるヒルスタートアシスト
その癖を事前に知っておくことはAT車でも大事なことかと思ったり
Posted at 2013/06/11 16:43:05 | |
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