12A型水冷2ローターエンジンを積んだサバンナ RX-7 が華々しくデビューし、
元祖デートカーのプレリュードが街を滑走し始め、
エントリーモデルではあっても高嶺の花の Mercedes Benz W123 が路上に君臨していた、1978年。
Van Halen はデビューしたんである。 You Really Got Me
The Kinks の歴史に残る名曲をメタルな音で焼き直したヴァンヘイレンのデビュー曲は衝撃的
であったけれど。アルバムタイトルがいけてなかった。なんたって ... 炎の導火線 ですよぉ 続く、2nd、3rd にしても、伝説の爆撃機、暗黒の掟だもの。 "Close to the Edge / 危機"
"Brain Salad Surgery / 恐怖の頭脳改革" "Atom Heart Mother / 原子心母" と訳した
プログレ界の語学センスがメタル陣営には宿っていなかった、とはいえ。
時代は、丘サーファーにハマトラである。公園通り、スペイン坂、ファイヤー通りには
グリズリーの旗が掲げられた西海岸風のカフェやセレクトショップが建ち並び、
Boz Scaggs や Bobby Caldwell や Steely Dan の、甘く切なく渋い音が流れる、そろそろ
大人の恋を彷徨ってみようじゃないか的トーキョーに、導火線や爆撃機は重装備であり過ぎた。 ギターヒーローは Jimmy Page で卒業よ ... な、はずだったんだけど。
オープニングを飾った Unchained からして総立ちの
アリーナ席(と、1F スタンド席)
意外や意外
'80年代は男気に溢れていたのかもしれない。 Disco Sound や Adult Oriented Rock はウンザリだ
メタルこそ俺たちの心の拠り所なのさ
夢と希望に満ちた渋カジ時代をヴァンヘイレンと
共に過ごした僕らに 衰え の二文字は似合わない。 行くぜ、野郎ども!
ステージ上の4人。
ベースの Wolfgang Van Halen(エディの息子!)を除き、Edward Van Halen、Alex Van Halen、
David Lee Roth の3人は、還暦間近の50代後半。そんな彼らの疲れを知らぬプレイに
同年代の俺らが座って見てては 失礼極まりない と考える日本人だから。
'80年代を知る者達のライブは、若者のそれとはビミョ~に異なる空気感のもとに進む。 老眼の始まった目はステージを確認できず、難聴気味の耳はビートを捉えきれず、
ヘルニアを患う腰はリズムを作れず、つまりは。ただ、立っているだけ ...
炸裂する Eddie 爆裂する David 破裂する Alex
まさに。導火線、爆撃機、暗黒の、Van Halen!
それにしても。この音圧はどうだ!
音響的にサイテーの東京ドームで、(過去に記憶がないほど)バランスが悪い PA システムを
ものともしない、ヴァンヘイレンが持つ、内なるパワー。
やはり、このバンド。ライブで楽しむのが正解だったんである。 ドラムやヴォーカルのバランスが多少悪くとも熱気で押し切ってしまうところが
この手のバンドの醍醐味であり、レコードの類いでは再現仕切れないメタル魂である
エディの、宙を舞うライトハンド奏法に痺れた、東京ドームの夜
既成概念へのカウンターカルチャーとしての存在を失いつつあった、'80年代のロックに
東西冷戦やベトナム戦争の頃と同じようなメッセージ性は求めるべくもなく、だから
Van Halen の楽曲に6分を超えるフォーマットは少ない。
4 ~ 5分に収まるコンパクトさが MTV 世代のロッカーたる所以であり、そのあたりに
Jimmy Page とは世代の異なるギターヒーローを見るんである。 例えば。
3ヶ月前に涙した '60年代の大御所 Santana に比べるとフレーズはポップでキャッチー
同じチョーキングにしても、御大 Carlos Santana ならアマゾンの熱帯雨林だけど
Eddie RIGHT HAND PLAYING Van Halen だとアリゾナの砂漠 ... 、って感じ。
車検二回分に及ぶ、我が家のクラブマン物語。
停滞する4年の中で起爆剤となったのは John Cooper Works のバッヂとアイスブルーの存在である。
もっともアイスブルーの実在は目の前を通り過ぎる ハッチバックで知ったのであり、その色を着たクラブマンは
Configurator が創造した虚像でしかなかったわけで、さて。
アイスブルーのクラブマンとは、どんな感じ?
211ps の咆哮へと傾倒する夫にブレーキをかけ続けた吟味役の、心の琴線に触れた青。
胴長のボディを上品な青磁の壺のように装飾するであろう、独特の味わい。
ADO 15 時代のサーフブルーにも通じる(ものがある)レーシーな、アイスブルー。
その、色。
失墜の灰色を身に纏う John Cooper と行動を共にするようになってからも気になる色では
あったんだけど、実物を見かける機会には恵まれなかったんである。
例えばクラブマンが集う安曇野でも。アイスブルーな1台を見ることはなかった ...
ホントは、クラブマンに。その設定はないんじゃないのかぁ? な~んて疑い始めていた
John Cooper 3度目のオフ会で、ついに。アイスブルーのクラブマンと出会ったんである。