2012年10月11日
今日はCulb Cinque Cento (C.C.C)の掲示板にブレーキパッドの質問が来てましたので、ちょっと考えてみたいとお思います。
なお、私の経験と知識で書きますので間違いなどがあった場合には是非訂正等よろしくお願いします。
先ずはブレーキとは何ぞやって事ですね。
結論から言うと「運動エネルギーを熱エネルギーに変える変換機である」って事なんですね。
この逆がエンジンで「熱エネルギーを運動エネルギーに変える交換機である」って事です。
エンジンについては又今度書こうと思います。(Jジュールと言う単位で表します)
ブレーキを踏む事で運動エネルギーを熱エネルギーに変えるのでクルマは止まるんです。
もっと正確に言うと運動エネルギーを摩擦力を使って熱に変えてその熱を空気中に放出する事でクルマの運動エネルギーが減って止まるって事なんです。
因みに運動エネルギーはクルマが重くなるかつスピードが速くなるとエネルギーが大きくなる(熱量が増える)ので、その増えた分に見合うだけブレーキの放熱量を増やさないといけません。
コレが俗に言うブレーキの容量(単純には大きくすると放熱量が増える)UPと言う事になります。
さてブレーキの効きの事ですが上記の事を踏まえると単純には摩擦力UPって事になります。
ところがココで問題になるのは摩擦力を増やすと温度が上がりますよね?物質って温度が上がると構成する原子の運動が活発になって体積が増える(密度が疎になる)ので摩擦係数が下がってしまうのです。
よって高温時でも安定した物質でなおかつコスト(コレが一番ネックになるんです)が合う物でブレーキパッドやローターを作製するって事になります。
現在のブレーキパッドに一番使われている(形を作る為の骨材は除き)のが炭素(カーボン)なんです、だから効きにこだわるとホイールが真っ黒になるのです。
モチロン他に色々な物が試されていますが・・・
ノーマルパッドは経年劣化が少ない(熱的に安定してると言う事は酸化にも強い)物としてカーボンを使うんですね。
なのでサーキットや山の下りでガンガン踏んでも効きが変わらないモノはやっぱりカスが出ちゃうんです。
ブレーキパッドを購入する際に確認して欲しいのはそのパッドの適応温度ですね、上の温度が低めのモノはカスが出難いし、高めのモノはカスが出る可能性が高いと言う事ですね。
あと良くコントロール性の事も言われますが、これも混ぜるモノの種類や量で温度が早く上がるか比較的ゆっくりと上がるかをコントロールしているんですね。
ブレーキのタッチは好みの事もあるので、実際に取り付けている方の意見を聞くしかないですね。
余談ですが、ブレーキパッドって意外と同じメーカーの工場で作られている事が多いんです、私が好んで使うエンドレスなんかは自社製なんで信用が出来ますね。
自社で工場が無ければ依頼して造ってもらうのですが、やっぱり製作するメーカーが持ってる材料で造る事が多いので性能が今ひとつって思っちゃうんです。。。
コレはオイルや車高調なんかも一緒です、2~3社が全部のメーカーのオーダーに合わせて造ってるヤツですね。
ここでブレーキローターも簡単に。。。
一般には鋳鉄(雨上がりに錆びてれば鋳鉄です)が多いですね、これもコストとの兼ね合いですがサーキットを走るとしても1t位のチンクなら十分です。
300㌔からのフルブレ-キングなら熱による変形が無いセラミックなんかが良いのですが。。。
ベンチレーティッドディスクは穴から熱が出ると言うよりディスク全体の表面積が増えるので放熱効果が高くなるんです。
あと穴を開けたり溝を刻んだりするのは見た目にはカッコいいですね。
でも穴は本来高温時にパッドとディスクの間に発生するガスを抜く為のモノで、ガスが発生する温度で無ければパッドとディスクの接地面積が減るので効きが悪くなるんです。。。
また高温時に水たまりで水がかかって急激に冷やされるとディスクにクラックが入る場合もあります。
溝はガス抜きもありますが、パッドの表面を削る事で常に新しい接地面で効きを安定させる為のモノです。
コレも余り刻むと接地面積が減りますので注意です。
パッドの交換がサーキットや山で安心して走る為なら、ブレーキフルードも良いものに交換して下さいね。
ノーマル車はほとんどがDOT3が入っています。
これをDOT5(か相当品)に交換して下さい。
ブレーキの熱でブレーキフルードそのものが沸騰してしまうとブレーキが効かなくなります。
ただDOT5(相当品)は吸湿性が高いので1年をメドに交換しないとフルード内の1年分の水分が沸騰して逆に危なくなります。
だいぶん長くなったのでそろそろ終わりにしたいと思います。
最後にサーキット走行での注意点ですが、よくあるトラブルがブレーキが焼けたってヤツですね。
モチロン誰が運転してもパッドの能力を超えれば焼けるのですが、焼けにくくするコツがあります(これはタイムUPにもつながりますが)
簡単に言うと、ブレーキは「ドン!!!」と踏むって事です!
サーキット走行でタイムUPする為には「アクセルを踏んでる時間は長くブレーキは短く」です。
コレは結果パッドが摩擦している時間が最小限で済むので温度が上がりきるのが遅くなるんです。
コーナーの手前で早めにブレーキを踏んでしまうと摩擦している時間が長くなるので温度が上がり易くなりますよね、だから踏む時には「ドン!!!」って踏む様にして下さい。
チンクはABS(アンチスキッド・ブレーキ・システム)が付いてるのでスピンはしません、広い所で後続車が居ない所で一気にABSが効くまで試してみて下さい(但しわだちが酷い所では危ないので)
さて「ドン!!!」って踏める様になればちょっとした応用ができます。
コーナーIN時にハンドルを切る寸前でまだ少しブレーキを少し残してターンINするとフロントタイヤが前のめりの重心でタイヤが押しつけられているので、アンダーが出難くなります。
だらだら書いてしまいましたが、一旦終わりたいと思います。
チャオイタでサーキットを走られる方も多いと思いますので参考になれば嬉しいです。
サーキット走行はタイヤも重要なんで、次回はタイヤ編ですかね~
Posted at 2012/10/11 14:13:22 | |
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