「東陽軒跡」室蘭市
多くの文学を生み出している街、室蘭。
日本の社会主義文学の中で最も芸術的にすぐれた作品といわれる葉山嘉樹・著「海に生くる人々」大正15年作に出てくる東陽軒という菓子店が実際にあったところです。
作品から↓
『室蘭製鋼所のある反対側、桟橋を上って右の方へ大通りを淋しく歩いて行くと、道が、上中下三段位に別れて、山の側面へ各々の家の並びを持って並行についている。その中段の通りへ、東陽軒と云う、この町で見付けた初めビックリしたほど、立派な「文化的」な構えと「文化的」な菓子とを売っている店があった。硝子製の立派な箱が十五六、その広い舗に並べてあって、その中には、外国人がクリスマスに食べるようなパイや、その他種々な生菓子が並べてあると、一方の棚の中には、栗饅頭や、金つばや、鹿の子などと云う東京風の蒸菓子が陳列してあった。その店の間から靴を脱いで、階段を昇ると、二階二間がホールになっていた、入って左側のは、大テーブルが一つと椅子がいくつか置いてあった。右の室は日本室で六畳であった。』
私が大人になった頃も、まだ存在していたようですが、いつのまにか無くなっていました。
風情のある建物があった時は何にも気にならないものですが、無くなってみると非常に淋しいのと同時に惜しい気持ちが沸いてきます。
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