987ケイマンが10/27に納車になりました
素の2.9L PDKモデルです
週末を含めて4日間乗ったので、現時点でのインプレッションを書いておきます
納車されたばっかりなので駐車場は後ろがWRX STI、手前がケイマン
■エンジン
ケイマン
2,892cc 水平対向6気筒
DOHC24バルブ
192kW(265PS)/300Nm(30.6kgm)
WRX STI GVF
2457cc 水平対向4気筒ターボ
300ps(221kW 296hp)/6200rpm
35.7kgm(350Nm)/2800-6000rpm
吸排気+ECUで320PS程度だと思われます
加速は誰が乗ってもすぐに気づくと思うレベルで差が有り、GVFが上です
トルクの差も大きく、GVFはどの回転数で踏んでも加速が始まりますが、ケイマンはPDKがシフトダウンし、回転数が上がってから加速が始まります。GVFと比較すると、加速が始まるまでのタイミングが1テンポも2テンポも遅れます。
体感できる加速G自体もGVFが圧倒的に上です。ここはやはりターボ。
25.LターボのEJ257はフラットトルクな上に低回転時のトルクが素晴らしく、アクセルを踏むと即座に前から引っ張られたように速度が上がります。
左側車線から追い越しの右へ車線変更しながら同時に一瞬で加速するような場面では、GVFの素晴らしさが本当に良く分かります。
高回転でもやはりEJ257が上回ります
伸びもあり、パワーもあり、エキマニを等長化しているのもありますが、サウンドも申し分無し
ポルシェの水平対向6気筒はNAだけにレスポンスは良いですが、パワーの盛り上がりに欠ける思ったより眠いエンジンです
6気筒だけに高回転でのサウンドは良いです
ただ、純正エキマニの形状のせいなのか、多少排気干渉の音があります
■ボディ
GVFのボディは本当に素晴らしく、超高速でもボディに不安を覚える事は一切ありません。必要十分なレベルを完全に超えたボディだと思います
987ケイマンのボディはさらに上を行きます
内装のキシミ音が一切無く、2シータークローズドボディのおかげもあり、車体のねじれ感もほとんど無い、一個の塊の中心にいるような感覚です
実際の数値的なボディ剛性と、運転者が感じるボディ剛性感は別の物だとは思いますが、ケイマンのこの剛性感はすさまじいです
似たボディ形状のFD3Sのゆるいボディと比べると、同じクーペ形状の車両とは信じられないレベルです
このボディのおかげで、ケイマンの超高速域での安心感はGVFを上回ります
その速度に至るまでの加速がGVFに劣るのが残念ですが、速度がのってしまえば安心してクルーズできるのはケイマンの大きな美点です
■足回り
GVFの純正の足回りは180km/hまでの物だと思います
それ以上の速度域では車体の上下の揺れの収束が遅く、不安を感じます
100km/hまでの速度域では快適性が保持されていて、大きな段差を乗り越えたりしても、突き上げは柔らかく緩和されます
この足回りの設定は、他の人を乗せる場合には本当に助かります
ケイマンの純正ショックアブソーバーはビルシュタイン製だそうですが、この出来の良さにはびっくりさせられました
ダンパー初期から減衰力が発揮され、路面の突き上げはそのままドライバーに突き刺さってきますが、それも40km/hを超えれば問題なし
速度が上がれば上がるほど、このショックアブソーバーの設定の良さが体感できます
このボディとショックアブソーバーの組み合わせのおかげで、超高速域でのGVFとケイマンのクルージング性能を比較すると、大差でケイマンが勝っています
もっとケイマンに加速力があれば……と思わされます
ケイマンの純正ショックアブソーバーの初期部分の固さは、同乗者はまず間違いなく文句を言ってくるレベルですし、下手すると気分が悪くなるのでは無いか?と心配になります。少し速度が上がれば大丈夫なので、ケイマンは渋滞している大阪市内向きでは無いと思います
■ハンドリング
四駆GVFとミッドシップのケイマン。
対照的な動きをします
四駆のGVFは高速コーナーでは安定感が有り、コーナー途中でのステアリングの切り増しや戻し、アクセルのON OFFに破綻無くついてきます
4輪の接地感が失われる状況は皆無で、購入から5万km使用してテールが流れるような事が一度もありませんでした
どれだけラフな操作をしても、公道上では破綻する事が無い安定したハンドリング
車側の上限がドライバーの自分の上限よりずっと上にあるので、ワインディングロードでも楽しく、スポーティかつ安全に走る事ができます
基本的にGVFは直進しよう、直進しようとしてくれるので、曲げる時はぐいっと捻じ曲げるようなイメージ
ミッドシップのケイマンの美点は、GVFとは完全に逆
ステアリングを回すと即座に回頭が始まり、きった分だけ素直にフロントが回りこんで行く感覚は四駆GVFとはまるで別物
フロントの入り方はFRのFD3Sの曲がりと良く似ています
FD3Sとケイマンの曲がりの違いは、ケイマンは曲がりながらもスタビリティが維持される点
FD3Sは街中の交差点で曲がる時でさえ、どこかのタイヤが滑り始めるためにアクセルONするのに躊躇します
ケイマンは回頭性が良いのに破綻感が無く、限界が高いのでコーナーをアクセルONで抜けられます。これは楽しい
ケイマンはステアリングセンター付近の遊びが少なく、操作に対する車の反応が素直なので、GVFよりもずっと一体感が感じられます
軽快感では
FD3S >> ケイマン >>>>>> GVF
といった感じです
■現在の感想
GVFを手放さなかったのは大正解でした
絶対的な速さではやはりGVFです
GVFを売ってケイマンのみにしていたら、GVFの速さが欲しくなってイライラする場面がきっとあると思います
■ケイマンは楽しい車
楽しいというのは車を運転する時の大きな美点です
GVFよりもずっと低い速度でコーナーを曲がるだけで楽しい
GVFを楽しいレベルに持っていこうとすると、一般道では相当な速度まで持って行く事が必要で、その速度は社会的にはちょっと許されないレベルです