
NASIOCおすすめパーツレビュー紹介の第九回。
第一回はCosworth製インマニでした。
第二回はステンメッシュホース比較でした。
第三回はインタークーラースプリッターでした。
第四回はカーボンドライブシャフトでした。
第五回はサーモグラフィによるテストでした。
第六回はサーモグラフィ続きでした。
第七回は東名M7760タービンでした。
第八回はボンネットディフレクターでした。
英語版オリジナル記事はこちらです。
★日本のチューニングショップの弱点として、数値でデータを提出しない/出来ないという点が上げられます。
オカルトパーツ販売が今でも続いている原因の一部に、この『数値で性能提示をしなくても良い』という習慣が上げられると考えています。
私は先日
エアフィルターを交換しました。この部品一つとっても、空気の抜け/エアフローは安価な気体の流速計でも計測できます。車両に取り付けた状態での実際の抜けなら、エアフロメーターの数値を拾うことだってできます。抜けと同時に重要となる集塵性能も、エアフィルターの集塵能力の試験方法というのは数種のテスト用のダストの粉末等を利用する方法があります。
エアフィルターの『数値化された』濾過、集塵性能というのは、チューニングショップの持っておくべき当然のデータのように私には思えます。
実際にショップで尋ねてみると分かると思いますが、出てくる返答というのは10何年前に発売された国内チューニング雑誌の記事が提示されるというレベルの物です。実はこうしてストックされている雑誌記事が出てくるショップというのは、相当マシな部類です。
ショップの勧めてくるエアフィルター、その選択の基礎となったはずの性能評価、これがどのように行われたのかは一切分かりません。なぜなら、実際の集塵性能の比較検討の試験は行われていないからです。この記事では北米で販売されているフィルターの集塵試験結果へのリンクは張りません。まずは、行きつけのショップでおすすめのフィルターを尋ねてみてはいかがでしょうか。
(WRX STI用では半分以上のショップでは純正フィルターをすすめてくるはずです)
今回紹介するNASIOCの記事は、北米のチューニングショップがWRX STI用の各種インマニのエアフローを計測した結果のデータベースです。北米のチューニングショップでは、アフターパーツのインマニを販売するための性能評価や、ポート加工インマニの工賃を貰うために、こうした試験結果を公表しています。
インマニのエアフローを計測しない/出来ないだけで無く、どのインマニをどうした理由で選択するのかという裏づけとなるデータ提出も出来ない国内ショップばかりの現実が悲しくなります。
行きつけのショップで、各種インマニのエアフローをどのように評価しているのか尋ねてみると良いのではないでしょうか。
テストされているインテークマニホールドのリストは
純正07 STI
Magnus V1
Magnusの製品サイト
EJ25 SOHC用 プレナム大 ショートランナー
EJ25 SOHC用 プレナム大 ロングランナー
EJ25 SOHC用 プレナム大 ロングランナー 逆転インマニに改造済
Cosworth製 インマニ
EJ25 SOHC用 プレナム大 ショートランナー ASFによるポート加工済
EJ25 SOHC用 プレナム最大 ショートランナー ASFによるポート+75mmスロットルボディ
ポート加工のASFのサイト
★プレナムというのは、スロットルバルブ後の部屋状の部分です。プレナムから4本の吸気ポートへ、4本のランナーという足に別れます。

写真で見ると分かりますが、プレナムという最初の空気の部屋のサイズは色々です。STI純正は極小です。SOHC用はこのプレナムが大きく、サイズも2種類。アフター品のMagnus製は立方体に近い形のプレナムを持ちます。
Oリング、ガスケットはスバル純正。計測器はSuperflow SF-110。計測していないランナー部分とホース用の枝はゴムプラグで穴埋め。成形粘土とテープで補強の穴埋め。
STI純正とMagnus、CosworthはTGV Delete接続。NA用ショートランナーはインジェクターライザーを接続。Forsaは最初からワンピースデザイン。スロットルボディはDBW60mmを使用。

★流速の計測器に取り付けた状態。TGVが見えますが、内部のバタフライは削除済み。素通しになっています。
★CFMというのは風量の単位です。1CFM = 1.7立方メートル/1時間 になります
■07 STI純正 スロットルボディ無し
Runner 1 284 CFM
Runner 2 280 CFM
Runner 3 280 CFM
Runner 4 274 CFM
Average 279.5 CFM
Runner to runner max variation 10 CFM or 3.6%
■07 STI純正 スロットルボディ付き
Runner 1 303 CFM
Runner 2 304 CFM
Runner 3 306 CFM
Runner 4 299 CFM
Average 303 CFM
Runner to runner max variation 10 CFM or 2.3%
★インマニの性能を検討する場合、絶対的な流量以外にも、1番~4番ランナーに均等に分配されているかという点も重要になります。このSTI純正インマニのデータで必見なのは、スロットルボディを取り付けた方が抵抗は増えると思われますが、風量は増えている点。そして1番から4番のランナー間の風量のバランスも2.3%差へと安定しています。

■
Sheet Metal Magnus V1
Runner 1 314 CFM
Runner 2 301 CFM
Runner 3 264 CFM
Runner 4 273 CFM
Average 288 CFM
Runner to runner max variation 50 CFM or 16%
★アフター品。風量は増えていますが、ランナー毎のばらつきが16%もあります。

■
EJ25 SOHC Big Plenum Short Runner
Runner 1 306 CFM
Runner 2 303 CFM
Runner 3 303 CFM
Runner 4 306 CFM
Average 304.5 CFM
Runner to runner max variation 3 CFM or 1%
★風量がある上に、ばらつきが1%しかありません。

■
EJ25 SOHC Big Plenum Long Runner
Runner 1 304 CFM
Runner 2 304 CFM
Runner 3 304 CFM
Runner 4 300 CFM
Average 303 CFM
Runner to runner max variation 4 CFM or 1.4%
★ロングランナー、ようするに4本のランナーが長いわけですが、TGVの部分まで鋳物のランナーがそのまま伸びているのが分かります。

■
Modified EJ25 SOHC Big Plenum Long Runner
Runner 1 314 CFM
Runner 2 303 CFM
Runner 3 308 CFM
Runner 4 314 CFM
Average 309.75 CFM
Runner to runner max variation 11 CFM or 3.5%
★上のインマニの改造品、逆転インマニ仕様。ロングランナーなので、TGV部分までランナーが伸びています。

■
Forsa Industries Rear Entry Sheet Metal Manifold
Runner 1 329 CFM
Runner 2 326 CFM
Runner 3 314 CFM
Runner 4 295 CFM
Average 316 CFM
Runner to runner max variation 34 CFM or 10.3%
■Forsa Industries Rear Entry Sheet Metal Manifold スロットルボディ付き
Runner 1 352 CFM
Runner 2 343 CFM
Runner 3 324 CFM
Runner 4 324 CFM
Average 335.75 CFM
Runner to runner max variation 28 CFM or 8.3%
★400hpクラスのヘビィモディファイの車両でよく使われているインマニです。これもワンピースなのでTGVは無し。
■
Cosworth Cast Intake Manifold
Runner 1 303 CFM
Runner 2 299 CFM
Runner 3 299 CFM
Runner 4 314 CFM
Average 303.75 CFM
Runner to runner max variation 15 CFM or 4.8%
■Cosworth Cast Intake Manifold スロットルボディ付き
Runner 1 333 CFM
Runner 2 318 CFM
Runner 3 318 CFM
Runner 4 314 CFM
Average 320.75 CFM
Runner to runner max variation 19 CFM or 5.9%
★注として、スロットルボディ付きの方が1番~4番ランナー間のバラツキが増えています。他のインマニには見られない現象。
■
EJ25 SOHC Big Plenum Short Runner ASF Porting Stage 0.5
Runner 1 318 CFM
Runner 2 310 CFM
Runner 3 322 CFM
Runner 4 310 CFM
Average 315 CFM
Runner to runner max variation 12 CFM or 3.7%
■EJ25 SOHC Big Plenum Short Runner ASF Porting Stage 0.5 スロットルボディ付
Runner 1 354 CFM
Runner 2 354 CFM
Runner 3 337 CFM
Runner 4 331 CFM
Average 344 CFM
Runner to runner max variation 23 CFM or 6.6%
■EJ25 SOHC Big Modded Plenum Long Runner ASF 75mm スロットルボディ付
Runner 1 376 CFM
Runner 2 362 CFM
Runner 3 396 CFM
Runner 4 389 CFM
Average 380.75 CFM
Runner to runner max variation 34 CFM or 8.9%
★75mmスロットルボディが大きく効いているように見えます。

★ちなみにこの写真にあるように、逆転インマニ改造品のロングランナーはインマニの下の空間を大きく取れるようにしてあるので、3インチのインレットホースを通す事ができます。STI用インマニの下にスペーサーを入れて持ち上げる場合も多いですが、前置きICではこのロングランナーの逆転インマニ採用のケースも多いです。
Posted at 2013/01/05 23:58:08 | |
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