2013年06月07日
ジャパンマネーとマークⅡとタイガーマスク
もう、20年以上前のお話。
1.バブリーなジャパン
時はバブル全盛期、ジャパンマネーなる言葉が躍り
そのころ入社4年目のペーペーサラリーマンの私でさえ
賞与は100万円だった時代。
社会人なりたての新人さんにいたっても、企業に優遇されていた。
人材確保のため入社前の研修会は海外で実施。
これは、自社に入社させたいと考えた企業が、
学生さんを国内で就職活動をさせないために
研修という名のもと、海外で時間を浪費させることが目的だった。
このため、社会全体を軽視する若者が急増。
入社前から優遇され、入社後も人材流出しないよう
能力以上の給与もあれば、勘違いするのも無理はない。
なかにはろくな仕事もせず、ただただ時間と金を浪費するものまでいた。
私はというと、そのころ広島から富山へ転勤。
この事業所には3人しかいない。
私の他は所長と女性の事務員。
舞い込んでくる仕事を片っ端からさばく毎日。
遊びたかったけど、なぜか我が社には人員の補充がない。
そう、学生さんは待遇の良い企業を求めて
うちの会社へは来なかった。
遊ぶ時間もなかった。その頃は車も保有していなかった。
散財する暇もなく、仕事はてんこ盛り、人材は優良企業へ。
そんな時間が2年ほど続いたかな~。
気が付けば自分の預金通帳は300万円を越えていた。
忙しかったが、労働に見合った成果であった。
その後ブラックマンデー、バブル崩壊へと続く道を
日本は進んでいったのは、もう少し先のことだった。
その時、勘違いしたまま無駄に時間を過ごした社員は
次第に淘汰されることとなる。
2.マイカーの購入
バブルがはじける少し前に私は広島勤務に戻った。
広島の事業所には人も多く、少なからず自分の時間が持てた。
本来は車好きであったため、ほどなくしてマイカー購入にいたる。

ホンダビート
オープンカーがいいなーなんて思っていて、
買っちゃいました。
でも、本当はこっちが欲しかった。

ロータスエラン
スポーティタイプだけど駆動方式はFF、
英国車だけどエンジンはいすゞ製。
こんなネガなところが市場には受け入れられず、
販売は不調だったらしい。
でも、欲しかった。
けど、高かった。
ホンダビート手放したのは、購入してから半年後。
楽しかったけど、大きな車が欲しくなり、
わずか半年で買い替えをすることに...
今思えば、贅沢だった。
でも無駄使いとは思っていない。今でも。
そして、新たに購入した車は、

トヨタマークⅡツアラーV
このころは、バブル崩壊後だったけど
貯えもあってキャッシュで購入することができた。
24歳ころだったかな。
価格は300万円オーバー、
ショールームでトヨペットの担当さんと交渉していました。
価格も折り合いが付き、契約もいよいよ大詰め。
支払方法についての打合せに入りる。
担当さん「では、支払い方法は...」
私「現金で...」
担当さん「.....」
汚いジーンズをはいた24歳の若者と
支払い方法が現金であることが、担当さんの中では
結びつかないようだ。
担当さん「どこかで、借入するんですか?」
畳かけるように、
担当さん「トヨタでも低金利のマイカーローンがありますよ。」
私「現金で...」
担当さん「........」
私「銀行に預金があります。」
直後、担当さんが奥の部屋へ...
上司と話でもしているのか?
どうも、みすぼらしいカッコの若者が
300万円オーバーの車を現金で購入する際の
接客マニュアルはなかったようだ。
営業のトヨタと呼ばれて久しい形容詞だが、
この瞬間だけはそれがなかった。
まあ、こちらにも汚いカッコをしていた落ち度はある。
車の契約に、Tシャツとジーンズではだめなんだなと悟り、
次からは、タキシードで臨もうと思った。
それが、相手への礼儀なんだろうと真剣に考えていたら、
担当さんが奥の部屋から戻ってきた。
そして、何事もなかったかのように契約の最後の儀式、
はんこを押して完了となる。
余談ではありますが、マークⅡのほかにも欲しい車がありました。

ランドローバーディスカバリー
雑誌で見ていて(当時はインターネットなんて便利なものはない)
欲しいなーなんて思っていて、真剣に検討していました。
実は、マークⅡ折衝前に、こちらの販売店へ来ました。
ショールームの中でのこと。
営業員らしき年配の男性にカタログが欲しい旨を伝えると
かなりけげんそうな顔を隠すことなく、ぶっきらぼうに
カタログをくださいました。
輸入車販売店はこんなにも敷居が高いのか...
などと、Tシャツ&ボロボロジーンズの私は思った。
こちらは、真剣に購入を考えているのに、
まともな話にならない。
営業員さんに「他に何か検討しているのか?」と
聞かれ、マークⅡであることを告げると、
「全く違うジャンルですね」みたいなことを
おっしゃいました。
...いいジャン
最終的に同じジャンルの車で迷うこともあるだろうけど、
この時はまだどっちもイイなーなんて思っていたころ。
寿司も良いけどステーキも場合によってはラーメンなんかも
食べたくて迷うことだってあるだろう。
入店して10分経っただろうか?
ほどなくして、ショールームをあとにしました。
あとから考えるとTシャツで料亭のお寿司はご法度なんだと思いました。
この後、マークⅡ契約にいたります。
契約書にはんこを押した翌日、トヨペットの営業さんから
連絡がありました。
担当さん「通帳のコピーをください」
私「はい?」
担当さん「車購入額相当の額面のコピーをください」
私「...はい、わかりました。また、お持ちします。」
車の購入って大変だな~なんて
後日。真面目に担当さんへ通帳のコピーをわたしました。
失礼だろ
支払能力の確認だろうけど...
契約は、信用だろ。信頼関係だろ。と心の叫びを
よそにしばらくして納車のはこびとなりました。
まあ、これも経験です。
世の中、理不尽なことが多いのでね~
3.タイガーマスク降臨
マークⅡは長く乗りました。
ビートは半年で手放しましたが、
マークⅡは9年間乗り続けました。
当時、国内自主規制枠最大の280PS
ツインターボで胸のすくような加速がやみつきになるほど。
そんな車をいつもきれいにして乗っていました。
ある日の朝の出来事。
その日は、休みの日だったのかな、
家でまったりしていると、外からにぎやかな声が聞こえてきました。
若い女の人の声、こどもかな、それも大人数。
マークⅡを停めている駐車場の方からその声は聞こえます。
当時の家はコーポの2階。
なんだろうと、窓を開け駐車場の方を見ると
女子中学生が、大挙していました。
なにやら、みんなラケットを持っています。
テニス部かバドミントン部か、そんな集まりのようです。
おそらく、コーポの中に引率する人でもいたのか、
駐車場は集合場所のようでした。
そのなかの1人がラケットを私のマークⅡに立てかけていました。
車の価値観は人それぞれです。
単純に移動するための道具と感じる人と、
いつもきれいに大事にする人とその差は歴然です。
私はマークⅡを大事にしていました。
ラケットを立てかけられたぐらいでは何ともないと、その女子中学生は
思っているのでしょうが、私には我慢ならない光景です。
場合によっては、キズもつくかもしれません。
私は2階の窓から注意しました。
ラケットをどかしなさいと。
団体の女子中学生はみんな、こちらを見ました。
そして、少しの沈黙の後1人の子がラケットを取りました。
特に謝ることもなく、でもなぜか不思議そうな顔をしている子や
顔をそらす子も...
なにかしらの違和感のもと窓を閉め部屋に戻りました。
その時自分の着ている服を見ると

こんなTシャツでした。
........とても、
とても外では着ることのない、
タイガーマスクのTシャツ...
なぜ、こんなTシャツがあったのかわかりませんが、
当時捨てることもなく、着ていました。
ただ、こんなプリントなのでとても外で着る勇気もなく
部屋着として使っていました。
さっき見られたな...
ラケットをどかしなさいと真剣に注意する
タイガーマスクのTシャツを着たおっさん...
変な空気、妙な違和感の原因は、
間違えなくタイガーTシャツだった...
はずかしい~
4.TPOをわきまえよう
その空間に合わせて着るものを選ぼう。
ボロボロの服装で高額な現金契約を希望してはならない。
相手をいたずらに惑わせてしまった。
ボロボロの服装で、輸入車ディーラーに行ってはならない。
自分から敷居を高くしてしまった。
あの時そのまま、窓を閉め部屋に戻るのであれば、
タイガーマスクは不要だった。
私も恥ずかしい思いをしただけだ。
しかし、タイガーマスクを生かすためには
その空間とタイガーマスクを融合させる必要がある。
私は、プロレスのリングさながら、トップロープから降りるがごとく、
2階の窓から飛び降り注意することが正解であった。
それが彼女たちへの礼儀であった。
場違いな服装は、時として人を惑わしてしまう。
身に着けるものはよく考えよう。
そして、身に着けた服装に合わせた行動をしよう。
いいのか、このブログ...
いいや、これで。
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Posted at
2013/06/07 01:52:06
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