
近所のネッツ店に話題のアクアが試乗車として入っていたので、試乗してきました。
まずは全体を眺めてみたところ、写真で見るよりも外装が複雑な曲面で構成されているのが印象的でした。
サイドミラーやリアコンビランプに付いているボルテックスゼネレータはさすがに大した効き目はないと思いますが、これもデザインには一役買っている印象です。
そして、今時のクルマとしては全高が低いですね。
軽自動車も軒並み1500mmを超えた今となっては新鮮な感じがしました。
周りを一通り見てからクルマに乗り込んでみました。
アクアのインプレッションでよく “内装が安っぽい” というのを目にするのですが、勘違いしてはいけません。
アクアは100万円台のクルマであり、100万円台のコスト管理で設計 ・製造されているのです。
ユーザーが勝手にフルオプションにして込み250万円をオーバーしたなどと言って200万円クラスの質感を求めるのが間違っているのです。
公平な視点でコメントをするのであれば、『100万円台のクルマとしては一般的な質感』 を持っていたと報告できます。 ヴィッツクラスとして、良くも悪くも平均的でした。
計器類はセンターメーターです。
僕はこの形式が好きではないのですが、スピードメーターなどの運転に必要な情報が目一杯運転席側に寄せて表示されている事もあって、意外にも気になるほど悪くはありませんでした。
⇒僕のようにセンターメーター嫌いの人でも、自分の車になれば慣れる範囲だと思います。
一方、なんと言っても好印象だったのはサイドブレーキが(安全性からも最悪な)足踏みのプッシュ/プッシュタイプではなく、ドライバーの左にハンドブレーキ形式で付いていた事です。
「やっぱりこうでなくっちゃ。」 と感じました。
肝心の走行性能については…、まぁトヨタ的ハイブリッド独特の世界感ですね。
エンジン車のなかでもとりわけ素直なマニュアル車乗りの僕としては、加速から回生ブレーキまでだいぶ慣れが必要だと感じました。
出来が悪いのではありません。率直な印象として「とても良く出来ている」と感じました。
何というか、“クルマが裏で色々な事をやっている感” が気にならなくなるまで、慣れが必要という意味です。
ハンドリングは悪くなかったのですが、ツーリングパッケージが付いていた為にサスとタイヤが変わっており、参考程度にしたいと感じました。
というのも、
ツーリングパッケージの足回りが良くなかったのです。
タイヤ幅が(どう見てもオーバースペックな)195だったり、16インチで重量が重いホイールや扁平率の低いタイヤが原因と思われるバネ下のドタバタ感とショック吸収の悪さに閉口しました。
⇒試しに40km/hくらいで(小さめの)キャッツアイを踏んでみたところ、ドカン!という音と衝撃がダイレクトに伝わってきて、いわゆる履きこなせていない足回りその物の残念なフィーリングでした。
何も無い所を走っていても、常に細かな凹凸を拾ってゴトゴト跳ねる乗り心地はバランスを欠いたセッティングだと言わざるを得ません。
正直、こんな足回りのクルマに長時間乗っていたくないと感じました。
いずれサスとタイヤがノーマルな試乗車を探して乗ってみたいです。
⇒ボディーの剛性感や、重心の低さなど素性の良さを感じるところも多かったので、最終的なインプレッションは保留にしておきたいと思います。
ところで、このクルマは169万円からという低価格が売り文句の一つですが、多くの装備がセットオプションになっているので経済性で購入する場合は注意が必要です。
・スマートエントリーくらいは欲しいな。
・ハイブリッドだし、メーター内に付くカラーTFTディスプレイで色々な情報を見たいな。
・先進的なLEDタイプのヘッドランプも付けたいな。フォグランプも付いてくるし。
・車内消臭にも効果が高いというナノイーがあったら良いな。
こんな調子ではオプションだけですぐに30万円程度の出費になってしまいます。
何か一つを選択すると色々付いてくる為に、個々の項目が高額だからです。
また、一番下の “L” グレードには後席パワーウインドウが付いておらず今時手回しハンドル仕様ですし、リアワイパーも付いていません。
そのほかにも、このグレードだけ残念な仕様になっている所が多々あります。
某ライバル車を意識した値付けにする為に相当のコストダウンが施されている印象があります。
⇒勝手な想像ですが、トヨタでグレード間差別としてパワーウインドウを省くようなコストダウンは珍しいので、 “L” グレードはだいぶ原価に近いのではないかと思います。
つまり、ガッカリ装備の理由は “あまり売る気が無い or 売りたくない” という本音の表れなのでしょう。
セットオプションが多く、その価格が高い事も予想を裏付けていると思います。
話の入り口として、 “L” グレードの価格があるけれども、蓋を開ければ「殆どの人は選ばないだろう」という内容…。
だたし、謳い文句の40km/Lを達成しているのは “L” グレードのみという微妙さ。
(ハイブリッドは大体こういう図式ですけどね。)
まぁ、トータルで考えると安いクルマではないという事が分かりました。
そうなると、“込み250万円近いクルマなのに内装が100万円台の質感” という現実に直面して、そこに目くじらを立てる人が出てくるのかも知れませんね。
『オプションを付けなければ込み100万円台で買える車』 この車を語る時にはぜひ思い出して頂きたいフレーズです。