「エントリーフィー出したるって言ったら、ラリー出る?」――― 元全日本ラリーストであるOBさんの、そんな一言がすべての始まりでした。
1年半ほど前から、数年ぶりにラリー車を作ったそのOBさんを筆頭に、部内でSSラリー参戦の機運が高まっていました。
が、ラリー出場のためにはロールバー点数や吸排気系を車両規定に合わせた上で消火器なども装備しなければならず、クルー装備品への初期投資も、最低でもヘルメットとレーシングスーツで安く済ませても10万円近く、それに加え1度エントリーするのに、エントリーフィーと保険料だけで10万円前後。 さらに勝負用の新品タイヤなども考えると、貧乏学生が出場するにはあまりにハードルの高いものでした。
仕上がったラリー車であるいーけーを譲り受けた僕も、心の中ではラリー参戦を夢見ながら、車両代で消えてなくなった全財産をゆっくり復活させていくだけで精一杯。 車検代すらもろくに捻出できず、とりあえずじーてぃーでジムカーナでも出るかと考えていました。
そんな中で冒頭の話が伝わってきて、思わず耳を疑い (゜Д゜;)←こんな顔をしながら「はい出ます!」と即断。 昔はよく一緒に走っていた同期をナビに起用し、計画始動。
まずは資金集め。 普段のバイトに加えて短期バイトを繰り返し、とりあえず車検取得。
そして運転の練習ですが、ペースノート云々以前に、いーけーの挙動に慣れるところから始めなければいけません。
同じFFながらじーてぃーとは異なる性格に、ずっと戸惑いっぱなしでした。 鼻は入るし高速コーナーでの安心感もあるのですが、VTECを外した途端に加速が残念なことに…。 それまでいかにターボパワーに頼っていたか、いかに6速ミッションで誤魔化していたかを思い知らされました。
また、そもそも本気で全開走行をすること自体が、およそ1年ぶり。 ビックリするほど衰えていた…というよりも未熟な自分のドラテクに、落胆は隠せませんでした。 本番の3週間ほど前からはほぼ毎日のように走り回りましたが、 結局じーてぃーのキロ3~4秒落ちという悲惨な状態のまま、1週間前には車両保全のため整備に専念することに。
今回のラリーはターマック/一部グラベルのミックスということで、車両購入時のままのダート足、そしてアンダーガードを装着し、仕上げにスポンサーやショップのステッカーを貼り付けてラリー仕様に。
ちなみに我々のチームからのエントリーは、
DE-6クラス
・Oさん(GDB)…今回の発起人である元全日本ラリーストのOBさん
・Mさん(GC8)…7回生にして5台目のインプを駆る先輩
DE-5クラス
・Hさん(DC2)…いーけーの前オーナーであり新たにDC2を購入したOBさん
・O2さん(DC2)…僕と同じようなホンダ車スランプ(?)を乗り越えた1コ上の先輩
・僕(EK9)
といった感じ。
この中では僕なんて「え、お前も出るの?」と言われかねないほど下手っぴで、総合で誰かに勝とうなんてとても言えたもんじゃない状態ですが、SS1本だけでもO2さんに勝ちたいなー、、、というのが個人的な目標でした。
それから、最低限完走して、その中でもクラス内ビリは回避しようというのがもうひとつの目標。
そして当日。
時期が時期だけに覚悟はできていたのですが、土曜日は雨が降ったりやんだりで路面はウェット。。。
そんな中でまずはレッキ。
コースは4種類で、
①ターマック超高速セクションからのグラベル
②峠道
③ゴルフ場のカートコース
④ゴルフ場のカートコース逆走
昨年からえげつないと聞いていた③④のゴルフ場は、案の定えげつなかったです…。 幅2mほどの舗装に両脇が軟質ダートでクネクネしてるなんて、もはやどんな走り方がいいのか分かりません。。。
③のレッキ中に、インカットできそうな沼地があったので突っ込んでみたら見事にスタックして、チームの皆さんから「スたっくん」の称号をいただいたり(^_^;)
そして本番。
まずDAY1はSS1、オーガナイザー自慢の逸品というコース①のみ。
前半の超高速セクション、純正ミッションのいーけーですら4速に入りましたが、最後の方はさすがに怖くて無駄なブレーキなど踏んでしまいました…。 速度域的にはブラインドコーナーになるのですが、ペースノートを信じて踏み切ればよかったと激しく後悔。。。
そして後半のグラベルですが、このラリーにはっきりしたグラベル区間があることが発表されたのが3日前。。。 そこからグラベル練習なんてしようものなら刺さってDNS必至なので、完全に初めてのグラベル走行となってしまいました。 仕方ないので弾丸くんでの雪遊びと同じ感覚で走ってみました。 ブレーキングで横向けたりしながらそれなりに楽しくは走れたのですが、やはり適正スピードが分からず、コーナー途中でグラベルインのようなポイントでは減速しすぎました…。
このSS1では、完全に予想外でしたがHさんに1秒勝つことができました。 またクラス内では中の下ぐらいだったので、当初の目標が無茶なことではなかったと一安心。 が、クラス2位のO2さんには4秒ちぎられて、壁の高さを再認識。
タイム…1:53.8 / SSクラス順位…5/8
続いてDAY2。
この日のスタート時に、DAY1つまりSS1のタイム順に、スターティングリストが並び替わります。 O2さんは遥か前方へ…。 ちなみにOさんは当然のように1番ゼッケン…(;・∀・)
この日は、朝こそ霧雨が降り路面も濡れていましたが、やがて雨はやみ気温は低いままで、エアコンなんてなくてもすごく快適なリエゾンでした。
SS2、②の峠1本目。
やはり峠道だけあって、雰囲気はどこか六甲山とも似ていて結構好きなコースでした。 去年も走ったO2さんはあまり得意ではないらしく、経験の差はありますがDAY1での遅れを取り戻したいところ。
しかし結果は、O2さんの7秒落ち…。 この時点で、O2さんに勝つのは1本も無理だとほとんど諦めていました。
タイム…4:21.7 / SSクラス順位…7/8
SS3、④のゴルフ場逆走。
レッキで「こんなとこ攻めるとか無理無理!」なんて思ってましたが、いざ走ってみると意外と楽しめました。 抑えぎみではありましたが、タイムもビリではありませんでした。
タイム…6:27.4 / SSクラス順位…4/6
ちなみにクラス順位の分母から分かるように、このSSでクラスから2台散り、完走すれば入賞は確実に。 しかも僕よりも上位の2台だったので、棚ぼたで僕の順位も浮上。
SS4、②峠2本目。
自分的には1本目より慣れて攻めたつもりでしたが、逆にそのせいで2ヵ所ほどドアンダーが出てしまいました。
タイム…4:20:3 / SSクラス順位…5/6
そしてガスコンとサービスを挟み、セクション2へ。
この時点で僕のクラス順位は5位で、6位のCJとのタイム差はおよそ1分半。 普通に走れば、5位は濃厚でした。
反対に、4位のDC2とのタイム差が6秒。 このインテ、②の峠コースがエボインプ勢にぐいぐい食い込む(3本目に至っては総合ベスト)ほどべらぼうに速くて、僕もSS2とSS4でどちらも10秒ちぎられていました。 一方で、④のゴルフ場逆走では16秒ほど僕の方が速かったので、セクション2のSS6の②で10秒持っていかれるとして、SS5と7の③ゴルフ場順走で④と同じペースで離せたら、、、なんて皮算用をしていました。
そして自分なりに改善点が思い浮かんだ②のコースに関しては、少しでもSS6のタイムを縮めるため、サービスの時間にオンボード動画を見返してペースノートを修正。
そうして迎えたSS5、③ゴルフ場順走。
1コーナーまでは我ながらいい感じに全開で通過。 が、まず序盤のジャンクション鋭角でサイドを引いたところでサイドレバーがロック。 そこで焦ってしまい、とっ散らかりながらしばらく走って、落ち着いてきた頃に今度はギャラリーコーナーでロックして小刺し。 その場はそのまま脱出して再び走ってたんですが、いつの間にか片輪しか駆動してないような感じが。 どうしても完走したかったので無理に走り続けたのですが、フィニッシュ50m手前でいよいよウンともスンとも言わなくなり、クルマを脇に寄せてリタイア。。。
刺さってリタイアならともかく、マシントラブルというのが悔しすぎて、広大な草原で「クッソーーー!!!」と10回ぐらい叫んでました( ̄v ̄;)
ちなみにいーけー、前オーナーのときも、近年のラリー参戦5回のうち、4回はマシントラブルによりリタイアかDNSという結果に終わっています…。
今回の最大の敗因は、タイムを意識しすぎたことですね。
最初は完走するのが目標で、他の人のタイムも聞かないようにしようと思っていました。 が、結局は他のドライバーのタイムを見聞きして変に上の順位が見えてきたせいで肩に力が入りすぎて、身の丈に合わない走りをしようとしてミスり、それでさらに焦るという悪循環に。
仮に駆動系トラブルが無かったとしても、SS5のような走りではロクなタイムは出てなかったと思います。 何の意味もないたらればの話ですが、あのままペースを保って自分の走りをしていれば6台中5位で当初の目標をしっかり達成できたのに、欲を出したせいでこんな結果に終わり、後悔してもしきれません。。。
ちなみにチームの結果としては、O2さんがなんと、ぶっちぎりのクラス優勝!! 弱冠22歳にして地区戦優勝という快挙を成し遂げました。
またHさんは3位入賞! 長いブランクがありインテに乗り換えてから練習も全然できていないのに、SSを追うにつれてみるみるタイムが伸びていて驚きました。 O2さんも、「もしHさんがしっかり練習していれば、優勝は持っていかれてた」と。
総合優勝確実と目されていたOさんは、残念ながらタイヤ2本バーストによりリタイアを余儀なくされましたが、チームからクラス優勝者が出たことで、大盛り上がりでした。
今回のラリー初参戦は、僕にとってすごくいい経験になりました。
今シーズンが始まったぐらいからスランプ続きで、いーけーに乗り換えてもタイムがガタンと落ちたまま一向に復活せず、ずっと悩んでいました。
今回の出場を決めたときも、全SSビリに終わり「何しに来たの?」てなることも考えるぐらい自信がなかったのですが、走ってみると意外とそんなこともなく、もうちょっと頑張れば(SS4までで単純計算してあとキロ1秒縮めていれば)表彰台もチラッと見えてくるぐらいの位置には行けたので、これからもこの世界で頑張りたいと思います!
余談ですが、今回コドラをしてくれた同期は、ラリー経験も今回が2度目なのに、練習も含めてほぼロストせず、読むタイミングもちょうどよくリピートまできっちりついてきて、個人的にはベストコドライバー賞をあげたい気持ちです。
そしてこの同期とも話していましたが、お互いが学生である今年のうちに、もう1戦ほど出場したいと思います!
そしてO2さんに少しでも近づいて、いずれは下剋上を起こすのが目標です。 もっと言えば、O2さんが5度目のラリーで初優勝を果たしたので、4度目までに優勝するのが、究極の目標です!
このブログ、出場が決まってから少しずつ書いていたのですが、いま見返すと4000字を超えていて自分でもビックリしました(汗) 画像もあまりない中、最後までご覧頂いてありがとうございましたm(_ _)m
ではまた!