
ペダルの踏み間違えなど交通事故リスクの高い高齢者(75歳以上)こそMTに乗せるべき、という意見があります。
たしかにMTの安全上のメリットは絶大ですが、何十年もATしか乗ってない高齢者をマルチタスクのMTに乗せる事が現実に可能で、果たしてそれが良い事なのでしょうか?
「MTに乗せさえすれば安全」なのでしょうか?
まず、杖をつかねば歩けないようなご老人も含めて多くの高齢者が公道でATを運転できているのは、彼らが生活のため日常的にATを運転しているからで、もし1年間も運転しなかったら運転操作をかなり忘れてしまうでしょう。
ましてや、いくらATを常に運転しているとはいえ、30~40年間もMTに乗らなければ・・・、
若い頃のMT経験があれば何十年たっても運転できるという意見もありますが、そろそろATの運転でさえおぼつかなくなっている方達に、両手両足を個別に使う複雑な操作ができるでしょうか?
なんとか運転できたとしても、MTの操作に気を取られて安全確認などが疎かになり逆に危険です。
MTの運転に何十年もブランクがある後期高齢者がどれだけ練習したところで、路上で安全に運転できるレベルに到達するのはかなり厳しいでしょう。せいぜい、50~60歳代までが限界ではないでしょうか?
MTの操作はそこまで簡単・単純ではありません。
私も風邪で熱がある時など、ぼーっとした頭でMTを運転して病院へ行こうとは絶対に思いません。
MTにお乗りの方々はご承知だと思いますが、ギアチェンジは楽器の演奏と同じく 「音」に頼ってます。
私は毎年ユーザー車検を受けに行きますが、車検場内はトラックの騒音や検査機器が大音量で、自車のエンジン音はほぼ聞こえません。よって、テスト時はメーター類を見てギアチェンジしますが、これが本当に難しいです。
高齢者は耳の遠い方が多いと思われるので、その点でもMTの運転は無理があります。
もう一点、MTの運転は右手での片手ハンドルが必須です。
もちろん自動車学校では両手ハンドルが基本と習いますが、公道でのMTの運転は曲がる際にハンドルを切りながらのシフトチェンジが必要です。
ATで両手ハンドルの習慣になってしまっている高齢者には無理があります。
色々考えると後期高齢者をMTに乗せるのはほぼ絶望的ですが、踏み間違えを防ぐために他に対策があるのかと言えば、次の3択でしょうか。
①絶対に車を運転しないようにする。(これが一番実現不可能っぽい。)
②ガチガチに安全サポート機能を搭載したATに乗る。(なぜかサポカーでも事故は起きているので効果的に疑問だが、とりあえずお金で安心が買えると思えばありか。)
③50~60歳代のうちにMTに乗り替える。(これが一番理想だが、MTへの興味や思い入れがないと難しい)
何十年も前から現役でMTに乗り続けておられる後期高齢者の方(100人中1人もいないと思うけど)は問題無く、今後も体力的・認知能力的に可能であればMTに乗り続けるべきと思います。
極端な例ですが、自分が横に乗せてもらうとしたら、どちらを選ぶでしょうか?
①ガチガチに安全サポート機能を搭載したATに乗る後期高齢者。
②何十年も前から現役でMTに乗り続けてる後期高齢者。
私なら②です。現役でMTに乗り続けてる時点でとりあえずボケてないだろうと判断します。
そもそも初めて免許を取得するような若い人でも、マルチタスクが苦手・頭の回転が遅い方、MTに全く興味が無い方達はMTに向いておらず、ATのほうがスムーズ・安全に運転でき周りの迷惑にもなりにくいと思います。
「MTに乗れば誰でも安全」ではなく、どちらかといえばもともと車の運転が好きで運転に集中できる人(ながら運転などしない)がMTに乗り続けている事例が多い、そういう人はどちらかといえばヒューマンエラーも少ない、だから安全、のような気もします。
よって、MTは使いこなせる人が乗れば最強のアイテムですが、不向きな人が乗ったらギクシャクするだけのアイテムかもしれません。
ATの「踏み間違え事故」は一撃必殺のレールガンの如く破壊力がハンパないですが、自動車事故全体で見るとその他の原因のほうが多いので、やはりリスクはトータルで考えるべきでしょうか。
私個人的には、もっとMTに興味を持つ人が増えて、結果的に事故が減ることを願っているのですが。
とりあえず結論。
『何十年もATしか乗ってない後期高齢者をMTに乗せるのは無理。手遅れ。』
Posted at 2025/01/14 07:25:34 |
トラックバック(0) | クルマ