
紅葉を見るため、酷道界の横綱「国道157号」を走ってきました。
先週、たまたま大阪の帰りに国道308(暗峠)を通ったので、、、
はからずも、2週続けての酷道になってしまいました。
今回のルートは、国道157号で岐阜県本巣市→温見峠→麻那姫湖青少年旅行村の三叉路で右折して福井県道230号で九頭竜湖方面へ→箱ケ瀬橋→国道158で美濃白鳥へ、です。
谷汲の道路沿いで柿を買ってから、根尾川沿いに北上しました。
有名な「落ちたら死ぬ!! 」の看板跡ゲートを通過すると、雰囲気がガラッと変わります。
ガードレールの無い区間が増え、そこでハンドル操作を誤れば・・・
谷底へまっしぐらです。
転落死亡事故もたまに起きているそうです。
ちなみに、狭いところは、体感的には自動車学校のS字やクランク(幅3.5m)とほぼ同じか、それ以下です。
狭いうえにグネグネ曲がってるので、すれ違いのために何十メートルもバックとなれば確実に転落リスクはあります。
運転技術はもちろんですが、メンタルの強さもかなり要求されます。
道路には枯葉に紛れて石もたくさん落ちていますので、それらにも注意しないと足周りを損傷します。
スマホの通信エリアも、ここから福井県の麻那姫湖青少年旅行村までの約40kmの区間は、電波が全く無くなります。
外部との連絡が一切できず、故障、脱輪、体調不良など、緊急時の助けが呼べません。
できる方法としては、電波エリアまで何十キロも歩くか、たまたま通りかかった善意の第三者に連絡を頼むくらいでしょうか?
それとて、谷底に落ちてたら無理ですが。
ちなみに、私がこの40km区間ですれ違った車両は、軽1台(80代半ばくらいのご夫婦)とバイク1台のみ、でした。 少なっ。
なので、ここへ行かれるのなら単独行動は避けて2台以上の車両での行動が無難です。
私も念のため、車中泊できる装備と飲食物は携行しました。
洗い越し。 5連発。
そんなこんなで、楽しい楽しい洗い越しゾーンで遊びつつ、なんとかかんとか温見峠を越してからも、相変わらず修行のように辛い崖っぷち道路は続くのでした。
このガケの向こうは・・・
地獄? 天国?
折れたポールがいい味(絶望感)出してます。
落ち武者に刺さった矢みたい。
途中、普段あまり見る事の無いヤマドリ(手塚治虫の火の鳥のモデル)にも遭遇しました。
長時間の酷道ドライブで疲弊した私の心を、癒してくれました。
その他、立派なツノを持ったオス鹿2頭にも遭遇しました。
道路の真ん中に悠然と立ってたので、ちょっと怖かったです。
猿の群れもけっこう見ました。 子ザルがかわいかったです。
その後、麻那姫湖青少年旅行村の三叉路で右折して、福井県道230号で九頭竜湖方面へひた走ります。
伊勢峠にて。
途中、廃村マニアにはちょいと知られた存在である「伊勢集落跡」に立ち寄りました。
なぜかって?
それは、、、、
私の父親が伊勢集落の出身者で、中学校を卒業するまで(70年前です)住んでいました。 長男ではないので就職のため村を離れました。
なので、「伊勢」は私のルーツでもあります。
1960年代に九頭竜ダム建設で伊勢集落は奥地過ぎて水没はしないが孤立集落となるため廃村になり、村人達は離村し各地へ散らばりました。
父が住んでいた頃の伊勢集落の暮らしは、電気・ガス・電話・水道は無く、谷川の水を飲み、診療所・村役場・郵便局・商店は徒歩で10kmの所(ダム水没地区ですね)まで歩かねばならず、村で病人が出ると戸板に乗せて大八車(リヤカーみたいなやつ)で10km運んだそうです。
冬は積雪2mの豪雪地帯であり、非常に自然環境が厳しい伊勢集落の方々にとって、ダム建設で廃村になるのは寂しい事ですが、当時の山奥集落では決してなしえない「現代的な生活」を送るためのターニングポイントとしてはちょうど良い機会だったのでは?と思います。
かつて伊勢集落にあった伊勢皇太神宮や樹齢1500年?とも言われた巨大な杉の御神木や当時の集落の生活の様子などの写真(父が昭和30年代に撮ったもの)も、うちには多数あります。
父から聞いた伊勢集落の生活の話、私自身が幼少の頃から何度か父親に伊勢集落跡へ連れて行ってもらった時の思い出とか、語り始めると非常に長くなりますので、今回は省略させて頂きます。
伊勢集落へは、いつもは美濃白鳥方面から箱ケ瀬橋を渡ってくるのですが、今回は国道157号を走りつつ逆方向から来てみました。
路肩にプロボックスを停め、作業着・長靴・手袋・クマ鈴で武装し、鬱蒼と茂った森の中を実家があった住居跡へ向かい、土手を登って突入です。
離村のさいに村民が杉を植林し、それが60年間で高く高く成長し(一部は枯れて倒木してる)地上に日光が当たらないのでシダやコケが生えまくっており、昼間でも薄暗いです。
いざ森の中に10mも入ってしまうと木々が生い茂っており人工物も無い為、どちらの方角を見てもまわりが同じ景色に見え、初めて来た人は「迷いの森」になるので要注意です。
私は何度も来ているのでもう慣れましたが。
廃村あるあるですが、このような「コンクリート製の肥溜め」が生い茂ったシダ類に隠れて足元に口を開けてますので、要注意です。
あと、村民が去った後の住人達・・・つまり、野生動物にも注意が必要です。
これはヌタ場(イノシシやシカなどの動物が、体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びるぬたうちを行う場所)ですね。
泥についた足跡が意外にかわいいです。
ツキノワグマが杉の樹皮を剥いだ「クマハギ」。
まるでバナナの皮をむいたみたい。 やばいよ。
ツキノワグマの糞もありました。
けっこうデカくて、スイートブール(山崎パンさんごめんなさい)くらいあります。
まだ新しそう。 怖いよ。
そんなこんなで実家跡にたどり着き、周辺に異物は無いかウロウロし、ぶじ散策を終えました。
集落跡をぐるっと見た感じ、杉の手入れもしてないし、たぶん最近は誰も来てない雰囲気です。
岐阜に住んでいる私の従兄(本家の跡取り)に去年会った時も「ここ数年、伊勢には行ってない」と申しておりました。
60年経過しているので離村した方々も徐々にお亡くなりになり、その子供達も「いまさら杉の手入れしても・・・」という感じでしょうね。
あと数十年もしたらこの杉達も枯れて、大昔のような雑木林に戻ると思われます。
帰り際、奥九頭竜湖の淵で素晴らしい紅葉をパチリ。
西洋絵画みたいで素敵ですね。
瀬戸大橋のプロトタイプである箱ケ瀬橋。
ここまできたらスマホも繋がるし、もう安心。
あとは、安全運転で下道をトコトコ帰ります。
いや~、何事もなく無事に行って来れて良かったです。
とくに国道157号は緊張しました。 さすがに崖っぷち道路をMTで2時間も走ると徐々に疲れてきて集中力が無くなり危険でしたが、なんとか走り切りました。
危険なうえにグネグネ道なので終始2速でスピードも出せず、想像してたより遠い遠い道のりでした。
12年落ち10万キロ走行のMTプロボックスも、途中でトラブル等なく頑張ってくれて感謝です。
ランクルと同じく「どこへでも行き、生きて帰って来られる」車ですね。