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本屋さんで何気なく手に取り、立ち読みで冒頭の２ページを読み、即(小走りで)レジに持っていった本。

今宵もまた何十回目かの再読を行ったが、難解で有名なバタイユの著作だけに、安易な解釈をはねつける手強さ。

冒頭２ページを紹介してみましょうか。

１ページ目──

もしきみがものに怯えているなら、この本を読みたまえ。だがその前に、聞きたまえ。もし笑いだすとすれば、おびえている証拠である。書物は、きみの前に、生命のない品物に見えるだろう、無理もない。だが、かりに、まんがいち、読むすべを知らなければ？ 恐れるわけがあろうか……？ きみはひとりぼっちか？ 寒気をおぼえているか？ きみは心得ておるか、人間はどれほどまでに《きみそのもの》であるか？
　愚かで？ そして裸であるか？


２ページ目──

おれの苦悩はついに至高の玉座にのしあがった。
廃されたおれの王位は街路にさ迷い出た。
追手を尻目に──周囲には墓場の沈黙──恐ろしい何物かを待ち伏せ──だがこの悲しみは一切を笑いとばす。



娼婦マダム・エドワルダとの一夜の物語。
全編がメタファーで埋め尽くされ、30ページ程度の短い小説ながらも、濃厚な読後感を残す。

今夜はなかなか寝つけそうにないな、こりゃ。