魚を泳がせて魚を釣る。最初はだれもがそんな馬鹿な!と疑心暗鬼にな
ったはず。ところが一度釣れてしまうと,こんな面白い釣りあったんか
いなとはまり込む。鮎の友釣りは魔性の釣りです。しかもシーズンが短
いのでせっせと行ける時に無理してでも行かなくては釣行回数が減りま
す。道具も他の釣りよりも遥かに繊細さを追求します。何せエサを食わ
すという一般的な本能利用法ではなく,縄張り侵入者を追い払う習性を
利用して掛けバリに接触っせて釣るといったこれまた変わった釣法で
す。たかだか20㌢ほどの魚が2匹になってけっこう強い引きに翻弄される
というのもやった者でないとわからない。何よりも私自身の思うこの釣
りの魅力は,周りの山々の木々,目の前の水の流れ,可憐な草花たちの
決して人工では造り出せ得ない美しい自然の中にどっぷりと浸かり,こ
れまた自然の一部であるお魚さんに遊んでもらうというところにあると
思います。いやあホント日本に生まれてよかったなあと思います。気に
なるのは,10年前よりも水が汚れて,鮎の世界にも異変が起きているこ
とです。冷水病なんて昔もこんなにあったんだろうか?もっとたくさん
鮎が川に遡ってきたのになあと懐古してしまいます。ダムを造り,河口
堰を建設し,いったいどこまで我々日本人の心の故郷とも言える原風景
を壊せば気が済むんだろうか?