
こんばんは
今日はロータスヨーロッパについて
書かせて頂きます
この自動車は私の自動車趣味の
あり方を色々と変えてくれた
とても思い出深い一台です
まず私とロータスヨーロッパとの出会いからお話しさせて頂きます
皆さん良く言われますロータスヨーロッパの出会いは
サーキットの狼と言うあまりにも有名な漫画であると思うのですが
私も勿論その漫画で主人公が乗っているのは分ってはいたのですけど
出会いとまで言うほどの物では無いのでその件は割愛させて頂きます
実車との出会いは私がまだ自動車免許も無い年齢の
17歳の時にまで遡ります
私の家から歩きで5分程度の場所にワークス○藤と言うお店が
その地域の古くからある自動車修理工場の跡地にお店を構えました
そのワークス○藤と言う欧州車専門の修理工場の主は
スーパー7で有名な紀和商会のメカニックを長年務めた後
開業された名メカニックだそうです
元々の自動車修理工場は私が幼い頃からの知り合いのモータースで
そのお店が手狭になり広い場所に引っ越した事で
何かの繋がりによりその跡地にお店を構えたんでしょうね
当時すっかりロータスヨーロッパの事など忘れていた私に
偶然会ったモータースの知り合いが
近所のモータースの人「今うちが引っ越した跡地に面白い自動車屋さんが入ったから
是非見に来なよーヨーロッパって知ってる?その他にもたくさんあるよー」
私「おー!すごーい!でもさー車の免許持ってないよ・・・まだ17歳だし・・・」
近所のモータースの人「いいよいいよーだってスーパーカー好きでしょ?」
私「うーん じゃあ今度の日曜日見に行って良い?」
近所のモータースの人「オッケー それじゃそう伝えておくよー
まあ俺んち裏だからその日俺も行くよ」
ってな具合で ロータスヨーロッパを見に行ける事になりました
ドキドキの数日間を過ごしいよいよ当日 馬鹿みたいに朝9時には現地に・・・
そこには一番手前に黒いロータスヨーロッパSPL
その奥に詳しく覚えていないですけどシルバーのナロー911
中心付近にスーパー7が2台
一番奥に鎮座していたのはブラウンのランボルギーニウラッコ(恐らく250)
ものすごく興奮しました
何も知らないガキンチョな私に親切に説明して頂き
ヨーロッパの助手席に乗せて頂き少しだけ走って頂いたり
挙句の果てにお昼ご飯をわざわざ かつ丼を取って頂き
全く有難い話ですよね
初めての助手席は それはもう今迄体験したことも無い
車高の低さから織りなされる視界
見た事も無いようなセンタートンネル
ベージュの様な色の内装
割と分厚いながらも軽いドア
全てがびっくりの連続でした
その時私は思いました・・・
「今は買えないけど絶対ロータスヨーロッパに乗ろう・・・!」って
そしてただひたすら夕方まで眺め17歳の出来る限りのお礼をして帰って行きました
*因みに今でもこの黒のヨーロッパ(右ハンドル本国仕様)は
私の家の近くで当時のナンバーを掲げたまま朽ち果てています
その思い出から数年の後 私はロータスヨーロッパを中心に
欧州車の販売と修理を行うとあるショップに勤める事になりました
常に販売しているヨーロッパでも4~5台
お客さんのメンテナンスで入場している物も他にもあり
ロータスやその他欧州車に包まれての生活が始まりました
そのお店にはディノ208GT4と言う
当時では割と珍しい車種も販売してたり
広告代理店の方がストラトスで来店されたりして
最初のうちは楽しかったのですが
そう言ったお店にいると現実がどんどん見えてきます・・・
今から24~5年前でしょうか その頃は見かけだけ仕上げた
車両をアメリカより沢山日本に運ばれていた時代でした
当然のようにほとんどが左ハンドルであり
右ハンドルの本国仕様ともなるとアメリカ仕様の100万円以上高と
なかなか手が出せる代物では無かったんだと思います
「今なら買える!」を謳い文句に250~390万円くらいの
買い易いプライスにて販売致して居りました
ですが・・・実際は綺麗な外装とは裏腹に車体周りは酷い物が多く
スポーツドライビングなど危険過ぎて出来ない様な個体までありました
「俺が思い描いていたヨーロッパっていったい何だったんだ・・・」
あれ程までに夢見ていたロータス・・・時間が経った事により
沢山の人の手を介して全くの別の車に仕上げられて
単なる動く懐古趣味に成り下がった個体を前に
幻滅な日々を過ごして行きました・・・
それから暫くの後 当然なのでしょうか やはりこのショップは
どなたからも惜しまれる事も無く 消えて行く事になります・・・
それから数年の後 本当のロータス?に出会う事になります
ここからの話は私個人の見解であり全てのロータス好きの方に
当てはまる内容では無いかもしれませんので先に付け加えて置きます
本当のロータス・・・どんなのでしょうね
私が「本当に」初めて出会ったロータスはまず佇まいからして違いました
54型S2を47GTの如く当時のレースシーンから抜け出して来た様な
全く現実離れした車両が首都高のPAに止まっていました
私はこの当時以前のブログで紹介したポルシェカレラ3.2に乗っていました
自分の車と比較して全くのいでたちの違い 空気感・・・伝えるのが難しいですね
その場に居合せたもう1台はFIAT ABARTH 1000TCR
さらに私の友人のロータスエスプリS1
暫しその異様な空間を私は「すげー!」と言う子供の様な言葉しか
出ないまま ただただ見ているだけでした
それから箱根→山中湖方面に走りに行く予定になっていたので
出発する事になりました
さっきまでまるでモデルカーの様な佇まいだったロータスは
爆音とともに目覚め 公道を走る車としては初めて見たような
何が起きているのか分らない程の走りを披露して首都高を走って行きます
車線を瞬間移動するような車重の軽さが織りなす運動性能
レーシングタイヤにより起因する蛇角修正の度の車体の震え・・・
「す・・・すげー!! これだよー! これが絶対ロータスだよっ!!」
私はその車達が走る後ろ姿を見ながら感動に震えました
その後もその方々のご厚意により何度となく色々な場所に出かける事が出来ました
それから暫くしたある日の事 前出のブログ(ポルシェのブログ)
にある筑波のイベントへお誘いを頂きました
正式名称は忘れましたが確か「スポーツカーの運動会」っぽい名前でした
ノーザンライツスポーツカークラブ主催だかアイドラーズクラブ主催だかのイベントでした
そこにあの日に出会ったロータスは勿論そのロータスを作ったショップが
レースを意識した車両作りの54型のS2を持ち込みました
メカニックがドライバーと何かを打ち合わせながら車両の調整をしています
全くのシェイクダウンの状態でコースに滑り出していきます
皆が固唾を飲んだ状態で見守る中 その美しい車体と低くワイドなボディを
小刻みに震わせながら最終コーナーを立ち上がってきます
レーシングチューンが成されているそのサウンドは差し詰め
当時の47のサウンドに近い物なのでしょう周りに走っているかなりチューンの高い
ポルシェ達のサウンドを打ち消しひと際甲高く筑波のストレートを通過して行きました
その瞬間誰もがロータス乗りで無い他の参加者や観客さえも同じ言葉を発しました
「はえーーー!!」
当時草レースの域だったその手のイベントでロータスが高タイムを出したとしても
それ程のタイムは出なかった時代にそのヨーロッパはシェイクダウンで多少のトラブルを
抱えながらも1分2秒という想像を絶するタイムで周回を重ねました
周りの参加車を何度ラップして行くのでしょう・・・
その後そのショップの当時の社長のご厚意により そのヨーロッパの車載ビデオを
頂きました もう何度見た事か分からないくらい繰り返し見ました
周りの車がまるで完熟走行の如く遅く感じられる相当なショッキングな映像でした
震えが止まらなかったです 私はその時に全てを理解できました
「俺はロータスが好きなんじゃない このお店のヨーロッパが好きなんだ・・・」
それから何年の月日がたった事でしょう
忘れた頃にそのショップから連絡がありました
先代社長が亡くなられた事により連絡の主は現社長です
「良いヨーロッパがあります どうですか? SPLでエンジンはBDエンジンです 色は白です」
内容説明もあまり聞かないまま私は
「分りましたお話だけ取り敢えずお聞きしに伺います」と返事をして電話を切りました
もう個体の程度だとか詳細とか根掘り葉掘り聞き出す必要が無いからです
その週末だったと思います 当時一緒に遊んでくれた懐かしい仲間と
現社長が温かく迎え入れてくれたショールームのカウンターに
その車の写真アルバムがありました・・・
数時間それを眺め 多少の話をして 胸の中でほぼ決定していた回答をその場では避け
確か家路に着いたんだと思います
当時としては私には高額だったし他にもフェラーリ308を所有していた事もあり
金策の方でかなり悩んだ末 車両を購入する決意を伝える連絡をさせて頂きました
まあ購入までに色々あったんですけどその辺りは割愛させて頂きます
もうお分かりの方もいらっしゃると思います
このロータスのスペシャルショップこそ”テクニカルショップハッピー”です
私の所有車などにガラスにシールが貼ってあるので隠しようが無いですね
私はヨーロッパを所有して乗る前の想像が 生まれて初めて現実になり
思い通りになった自動車であった事は言うまでもありません
見た目は割とおとなしくリアフェンダーが少しだけワイドになっている車体
その中身はレーシングエンジンとクロスミッションが織りなすフィーリング
それに合わせた高剛性なアーム類 それに基づいた補器類 仕上げの美しさ
音もハンドリングも大げさでは無くフォーミュラーカーを彷彿とさせてくれる物でした
この様に私の理想のロータスは遠く昔見たレーシングに程近い感覚の物なのです
車種やメーカーによってはオリジナルが最高と言われる物があると思います
私もそう思う自動車は数多に存在致します
ですが強烈なインパクトを私に与えてくれたこのショップのロータスは
その様な事などどうでも良いって思わせてくれるだけの知識と技術を持って
全てのお客様に惜しみも無くフィードバックしてくれます
こんなオイルパン見た事ありますか?(ベルハウジングよりも底面が遥か上にある事に注目!)
オイルクーラーはこのサイズが2個必要なほどレーシングエンジンは熱を発します

(その他は過去の愛車でご覧下さい)
当然の如く私のヨーロッパも中ら手を入れる所も無いくらいにまで発展して行きました
運転するのがとにかく楽しく運転している時だけは私もレーシングドライバーでした・・・
そして勿論このショップの車に乗ると沢山の方々に出会う事が出来ます
ショップの社長はもとより優秀なスタッフの皆さん方
お客さん達が集まって出来たG.L.J.Rと言うクラブ
年2回春と秋に大規模なツーリングがありますが常に40~50台以上のヨーロッパや
エスプリやエランなどが元気に参加されます
その他にもニューイヤーミーティングやOLD NOWやジャパンロータスデーなどにも
積極的に参加して完成度の高いロータスを披露しています
その中でも特にショップの看板的レーシングカーであるロータス47の走りは全てが超次元です
私が「本当」のロータスに出会った個体達は全て今でも元気に
素晴らしいコンディションで仲間が色々な場所に連れ出し最高の走りを披露してくれています
その車両達の一部は過去にあったムック本「LOTUS FILE」と言う本に紹介されています
もしも見る機会があったらご覧になって下さい・・・
いや・・・今のその現車達はもっと進化しもっと美しく仕上がって当時よりも良いのかもしれない
こんな素晴らしいロータス 沢山で走ると益々楽しいです やはり自動車趣味は
人との付き合いも大変な楽しみの一つになってきます 大事な事ですね
そして公道のツーリングにLOTUS47が2台も3台も来るのを見た事がありますか?
ここはそんな所なんです 最高です
では、なんでそんな大事なヨーロッパを手放したんだ?って
今は愛車一覧にあるエリーゼに乗らせて頂いています
こんなアフォにお金では買えない様な車両を提供して頂いた事に感謝の極みです
うまい事伝えたい事もロクに伝えられない文才の無い私の文章ですが
長文にお付き合い頂きまして有難う御座います
それでは近いうちに今度はエリーゼの事でも書いてみようか・・・