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イイね!
2018年04月26日

ターボ車に関するいくつかの考察

お久しぶりです.

『ブーストコントローラーでブーストアップして純正アクチュエーターだと何か問題があるか』という問題に出くわし,気になって夜も眠れなさそうなので考えてみた.
何かおかしいところあったら何時でもいいので教えて下さい!

まず,一応アクチュエーターの仕事について.

Q.アクチュエーターがそもそも必要なのか?
A.無くても車は動く

じゃあ要らない.という訳にもいかず,ブースト圧がえらい上がる.
どうでもいいが,ワイスピでドムが空き缶のプルタブでアクチュエーターのロッドをぶっこぬいてたのがこの状態.

アクチュエーターの動作に関してはまずこの動画を見て欲しい.



動画の冒頭でごろんと2つ転がされているのがタービンのアクチュエーターである.
こいつらの構造は



こんなかんじ.きったねぇ絵だな…
アイドリングから回転数が上昇し,タービンが回り始めると,インマニ圧が上昇し,ダイヤフラムを押す.
するとダイヤフラムはバネを押し縮めながら右へ移動し,ダイヤフラムと一体であるロッドは伸びる.
ロッドの直線運動はピンによって回転運動とされ,スイングバルブを開く.
スイングバルブが開くと,タービンを通らない排ガスの経路が開くので,タービンの回転数は下がり,ブースト圧が制御される.

とこんな感じ.この辺までは一般的知識っすね.
ここまででよくわかんなかったらググって…

で,考える.たとえばこのバネ.インマニ圧が大気圧である時,つまりはロッドが一番短い時に自然長である(プリロードが0)だとすると,インマニ圧が正圧となった瞬間からスイングバルブが開き始めてしまい,ブースト圧が一向に上がらないと予想出来る.まあ実際は排気量とタービンのサイズとスイングバルブの設計に依るんだろうけど,普通に考えて目標ブースト圧まではスイングバルブが閉じてて,良いところで開いてブースト圧を制御したいのである程度プリロードがかかっている.従って先の動画のようにインマニ圧がある設定圧力に達したとき,ロッドが伸びはじめる.
要するにかけるプリロードを変化させればブーストアップ出来るのでアクチュエーターをぶっ叩いて潰してバネのプリロードを上げてブーストアップという荒技も昔あったとか聞いた.

また,ロックナットを移動させ,ロッドが最長に伸びた時にスイングバルブが何処まで開くかを調整することでブースト圧を変更することができる.

さてここで当然なことであるが,バネの復元力とインマニ圧による力がつりあうので(今はこれで考えて),設定したインマニ圧になった瞬間にスイングバルブが一気に開くという制御は不可能である.
インマニ圧の上昇と共にじわじわとスイングバルブは開いていき,ちょうどよくつりあったところでブースト圧は安定する.
つまり,ロスがデカいのだ.本当は目標ブースト圧になったらバキッとスイングバルブを動かしたい.



その為に導入されたのが過給圧制御ソレノイドバルブである.
インマニからアクチュエーター間の配管にソレノイドバルブを設け,インマニ圧をMAPセンサーから拾って目標ブースト圧となったときにソレノイドバルブを開く(インマニとアクチュエーター間の配管を開通させる)ことで,スイングバルブ開き初めのロスを減らし,鋭いブーストの立ち上がりを実現しようとするものである.
これは180やランサーでは純正の過給圧制御ソレノイドとして見る事が出来るはずである.
先では説明のしやすさからブースト制御の際にソレノイドバルブを開け,通路を開通させるとしたが,純正ソレノイドではインマニ→アクチュエーター間からバイパス経路を設け,その先にソレノイドバルブをつけることで,普段はバイパス経路を解放し,ブースト制御の際にソレノイドを閉じてインマニ圧をアクチュエーターへと与える場合もある.


この純正ソレノイドバルブの代わりの働きをするのがソレノイドバルブ式ブーストコントローラーである.
ちなみに機械式ブーストコントローラーでは,バルブを絞ったり,インマニ圧の一部を廃棄することによってブーストアップを図る.
ソレノイド式ブーストコントローラーではまず能力値設定や目標ブースト圧設定によってソレノイドを動作させるインマニ圧を設定する.次にゲイン補正によってソレノイドバルブおよびアクチュエーターの動作遅れによるオーバーシュート等を補正する(この時多少ピーク値が振れる).

機械式ブーストコントローラーをベースに,インマニ圧を基準にニードルバルブをステッピングモーター制御するのがステッピングモーター式のブーストコントローラーである.
ステッピングモーター式のブーストコントローラーでは,エンジン回転数やスロットル開度(エンジン負荷)などを入力し,細かにセッティングすることが出来るものが多い.



さて,ここまででやっとアクチュエーターとブーストコントローラーが分かってきた.
ここからタービンそのものをちょっと考えたい.
というより所謂”高回転でブーストが垂れる”という現象について考える.

これにはいくつか原因があると考えられるが,とりあえず2つ考えてみた.
まずは『タービンの限界』
タービンの回転数がエンジンの排気ポートから出てくる気体の流量(体積流量?質量流量?わかんね)に比例すると考える.フルブーストかかって,スイングバルブが開いた状態で回転数が上昇する排気はさらに流量が増え,タービンは更に回転数を増す.するとコンプレッサインペラは更に多くの空気を送り出す.たとえそれが足りなくてブースト圧が下がったとしてもスイングバルブが閉じてくるのでブースト圧は上昇する.

あれ?垂れなくね?

しかし,そううまくいかないらしい.というのもタービンの回転数を無限に上げていくとコンプレッサインペラ手前のハウジングが真空に近くなり,そもそも空気が吸えないということが起きる.また,コンプレッサインペラの羽と羽の間を流れる流体が音速に近くなり,抵抗値が急激に増加する.
要するにタービンは回転数をバンバン上げて吐出量を多くすると効率が下がってくる.(下図)



出典:https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/pumpkiso_0303/

直感的にも同じ流量を得るためにも小型ポンプをぶん回すより大型ポンプを適正回転数で使用する方が効率が良いのは何となく分かるだろう.

これを解消するにはラムエアダクトやファンネルでタービンへ吸気をさせてやる,もしくはタービンのサイズを大きくする事があげられる.


次にタービンの限界ではなくアクチュエーターが原因で高回転でブーストが垂れることを考える.
これは気付いてしまえば割と単純で,排圧によってスイングバルブが押されて開いてしまうのである.ここで最初の動画をもう一度見てもらえばよく分かるが,スイングバルブはフロントパイプ(タービン後)側からバイパス経路を蓋するようについている.フルブースト状態ではアクチュエーターのバネ復元力が,ダイヤフラムに作用するインマニ圧による力と排圧がスイングバルブを押す力の合計とつりあっている訳だ.この状態で回転数の上昇によって排気が増え,温度が上昇し,排圧が増加するとスイングバルブが更に開いてしまい,ブーストが垂れる.

このとき強化アクチュエーターではどうなるか.
プリロードを大きくした強化アクチュエーターではバネ定数が変化する訳ではないので,ブーストの垂れについては対策にならない.一方バネ定数を大きくしたバネを組み込んだ強化アクチュエーターでは同じ排圧の上昇幅であってもスイングバルブの移動量は小さくなり,ブースト圧は安定する.
同様に,インマニ圧の変化に対しても強化アクチュエーターの方が外乱に強い(応答が悪いとも言い換えられるが)と考えられる.
そして当然アクチュエーターのバネ定数をあげると設定ブースト圧は大きくなる.ここで(元)貧乏大学生はアクチュエーターのロッドに追加で別バネを良い角度で引っかければよくね?とか思いつきましたが昔からやってる人居るみたいです.誰か試してww

また,アクチュエーターとスイングバルブによる方式ではなく,大気開放外付け型ウェイストゲートに交換することでも対策出来ると考えられるが,これもしっかりとしたものでないと結局排圧が漏れていくので意味が無いので注意.




さてまとめ.

ブーストコントローラーによるブーストアップで純正アクチュエーターを使用した場合.エンジンがぶっ壊れるなどについてはブーストアップによる弊害が考えられるが,アクチュエーターを強化したことでそれは改善されない.しかし,高回転でのブーストの垂れが酷くなる場合もある.ブーストが垂れる場合は単純にタービンの限界なのか,アクチュエーターによるものなのか十分に考察する必要がある.この時アクチュエーターロッドを追加バネで引っ張って強化アクチュエーターとすることが考察のヒントになると思われる.

ちなみに最近のブーストコントローラーでは自動補正などがあるようだが,純正アクチュエーターでは自動補正のフィードバックに対応できないロッド移動量となり,ブースト圧が安定しなかったり,垂れたりすることもあるようだ.

また,当然これらはエアクリやマフラーが適正な抜けを確保している事が大前提である.エアクリきったないのにブースト圧がーとか強化アクチュエーターがーとか言わないように...


なので多分純正エンジン,純正タービンで行くのであれば,強化アクチュエーター(プリロードでなく,バネ定数の上がるもの)でブーストピーク値を調整し,ブーストコントローラーで立ち上がりやオーバーシュートを調整する.これが割と良いセットなんじゃないかなと思います.

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Posted at 2018/04/27 11:50:59

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