
愛犬ミルが2月9日、16年の生涯を終え永遠の眠りにつきました。
弱い私に寄り添い、私の心や状況を推し量り、支え、きっと一番の理解者であり、私もこの子の為に頑張ろうと気力を奮い立たせてくれる存在でした。
彼女との思い出をここに残したいと思います。
ミルとの出逢いは前に飼っていたゴールデンレトリバーの雑種モク造が7歳で亡くなり、毎日毎日涙に暮れていた私に主人が、また犬を飼おうよと言ってくれたのがきっかけでした。
当時は二度とこんな辛い思いはしたくないと思っていたのですが、ある日、保護犬の里親募集のサイトを見ていたら一匹の仔犬が目に留まり、主人に見せた瞬間、俺この子が良い!!
その日のうちに里親募集に応募。
沖縄県で保護されていたミルは、飛行機ではるばるやって来ました。
無邪気で人懐っこく、仔牛の様な見た目に魅了され、悲しみしか無かった私の心を暖め、前向きに生きる気力を取り戻してくれました。
ミルはすくすく成長。
私の心は満たされ少し心の余裕が出てきた頃、保護犬の活動に少し役に立てばと預かりボランティアをやってみる事に。
私の様に幸せになれる人や、ワンコが増えればいいなと。
最初は生まれて間もない子犬を多く預かっていて、生後半年以内のワンコはすぐ里親さんが決まり我が家を巣立って行きます。
預かっていた仔犬がゼロになったタイミングで、福岡県の保護犬ボランティアの方からお話があり、年齢はミルとおそらく同じ1歳くらい。
野良犬の家族を捕獲して保護されたうちの一頭で全く人馴れしていなくて、3回トライアルに出たが失敗して戻って来た子。
ビビリが激しく、ケージから出て来ない。
ケージから出しても部屋の片隅で置物の様に動かずずっと震えている。
人と目を合わせる事が出来ない。もし目が合ったらその場でオシッコ、ウンチを漏らしちゃう。
ごはんも人の前では食べない。
お散歩に連れ出そうものなら自転車を見るだけで大パニック。
常に脱走する事を考えている。
かなり手が掛かる子、主人は大反対でしたが私が押し切り預かる事に。
元野良っ子は我が家へ来て2年経っても人馴れせず。
人には心を開かない子だけどミルにはいつも引っ付きべったんで、ミルが一緒だと落ち着いている。
一方ミルは、いつもべったり引っ付いて来るのが少々迷惑そう。そして自分よりその子に私が手を掛けている事にヤキモチを妬く事もしばしば。
だけど、その子が急性膵炎で入院するとミルは途端にごはんを食べなくなり、見舞いに一緒に連れて行くと意識のないその子を心配そうにそわそわ落ち着かない様子で見つめていました。
命を取り留めその子が家に戻って来ると、ミルは安心したのかごはんを残さず食べる様になり明るく元気なミルに戻りました。
その子はもう3歳くらい。
うちで預かって2年、一度もトライアルの話もかかりません。
私としては、もうこの子も家族。
保護犬のボランティア団体さんに返す選択肢もありましたが、主人を説得し正式にうちの子として譲渡してもらいました。
その子が真っ白い方のパンナです。
パンナはお散歩も出来ないけど、ドッグランに連れて行ってリードを放しても走りません。
貸し切りのドッグランなのにリード付けて引っ張ると恐る恐るついて行く感じ。
そんなパンナに
ドッグランで走る事の楽しさをミルが教え
人間は危害を加えない。大丈夫って教え。
写真を撮るとお母さんが喜ぶよと教え
お散歩だって楽しいって教えてあげました。
ミル小包みが届いたら必ず、早く開けてと催促して、中身より箱の収まり具合を確かめるのが好き。
車でお出かけ大好きだったミル。
ピョンと飛び乗るミルを見てパンナも車に乗れる様になって、一緒にあちこち行きました。
九州に帰省したり、
動物病院はいつも2頭一緒。
近場のオフ会にも参加
ミルの長い舌で、大好き大好きベロベロディープキスの犠牲になった参加者さんも数知れず。
ごめんなさいね🙇♀️
人間大好きなミルも、この巨大な顔の人には後ずさり。
時には悪い事も教えました。
人間のオヤツは犬用のオヤツより美味しいって事も。
穏やかに暮らしていた岡山から犬2頭も一緒に広島に引っ越して10年。
激動のこの10年、ミルがいてくれたから。
環境も仕事も一変し、職場まで遠いので朝早く出て帰りも毎日残業で遅くなる。
毎日仕事の夢を見て、朝起きたらグッタリ疲れてる。
平日にお散歩に行く気力も体力も無くなって、犬達には罪な事している事も辛かった3年間がありました。
犬の飼い主として資格がない私を、毎日ミルは大喜びで出迎え、そんな健気なミルの顔を見て涙が溢れ出すコトも度々。
そうするとミルは遊びたい、ごはん食べたい、お散歩行きたい、って言う自分の欲求をスッと抑えてただ静かに私に寄り添い、優しく涙を拭ったり手を置いたり。
そして3年で体力気力共に限界を迎えた頃病気になり入院手術。
私も辛かったけど、犬達にも更に辛い思いをさせました。
退院して程なく仕事も退職。
犬達との時間が増え、体調も戻りまた穏やかな生活が始まった頃です。
主人が信号無視の車に衝突されてケガをしました。
当時はドライブレコーダーを付けておらず、相手の加害者は信号無視を否認。
証言が食い違って一時はどうなる事かと思いましたが、目撃者の証言によりこちら側が青で相手方が赤だった事が認められました。
それから、倉敷と広島に豪雨災害。
夜中じゅう雨が酷いし雷なのか轟音が轟くが外は真っ暗闇。
外がどうなっているのか全く分からない。
翌朝カーテンを開けるといつも緑の山なのに山肌が見えて茶色。
我が家まであと数メートルまで土砂が到達していた。
周辺の道路は寸断。
コンビニやスーパーから食べ物が消え、1週間完全に陸の孤島と化した。
ライフラインは大丈夫だったので、どうにか家にある食品で我が家は大丈夫でした。
災害後、初めてヤマザキパンを買えた喜び、忘れません!
ヤマザキパンのトラックを見つけ、運転手さんにお礼を言いました。
ヤマザキパンの工場周辺も災害が酷かった地域ですが、工場は無事だったそうで出勤出来た人で稼働させて、こんな時こそパンを届けなくてはと、高速道路や国道も寸断されている中、通常通らないが通れそうな山道を探しながらここまで運んで来てくれたと。
感謝です。
災害が落ち着いた後は、犬達とゆっくりまったりとした時間を過ごしました。
海でボーッとしたり
色んなお散歩コース歩いたり。
お金はないけど贅沢な時間を過ごしました。
新しい仕事も自宅のすぐ近所で見つかり、老犬の域に入ってきた2頭の様子も昼休みに見に帰れるので安心。
犬も私も健康に過ごせていると思っていた頃、健康診断で全く自覚症状の無い病気が見つかり、また入院手術。
またあの子達を不安にさせてしまいました。
もう健康不安も無く、あの子達を不安にさせる事は無い!と思っていたら、今度は怪我で入院手術に。
4ヶ月もの間会えませんでした。
再会した時には2度ともう離れない。
私もミルもそう誓いましたし誓ったと思います。
15歳の老犬には環境が変わる事って大きなストレスになるそうです。
それが引き金になったのか、
ミルは4ヶ月前には何も無かったが再会した時には見て分かる程の大きな癌が。
パンナはかなり進んだ認知症(痴呆症)になっていました。
ミル、今手術をしなければ排泄が出来なくなり、かなり辛い苦しみが間もなくおとずれる状況だそう。
腎臓がステージ3の高齢犬、麻酔で術中死のリスクもあると聞いたが、私は手術を受ける事を決めました。
これから痛い事、怖い事、退院まで家に帰れない事が始まるとも知らず、看護婦さんに連れられ素直に入って行きました。
手術を決めたこと、
手術に送り出してしまったこと、
またひとりにしたこと、
とても心が痛かった。
ごめんね、ミル。
手術は成功。
麻酔にも耐えたミル。
麻酔が切れた術後の痛み、退院後も痛い痛いと鳴いていました。
私も3回手術したので、術後の麻酔が切れた後の痛みはよーく分かる。
腎機能の低下でこれ以上痛み止めを使う事が出来ず、私はただ体をさすってあげる事しか出来ない。
ごめんね、ごめんね。
痛みの峠を越え、お散歩出来る迄に回復。
ただし、抗がん剤治療が始まったので、抗がん剤で更に腎機能低下も進む。
病院で血液検査を受ける度に悪化。
数値的にはごはん食べたり歩いたり出来ないレベルだそう。
確かに食べる量は減ったし、食べる物もその日によって違うが、お散歩には行くし私の前では至って元気。
入院を勧められたけど、長くない命なら少しでも一緒にいたいし自宅で看取りたいので、毎日通院で頑張ることに。
12月くらいから更に食べる量が減り、同じドッグフードは食べない。
真新しいものは食べる。
色んなドッグフード、国産に限らず海外のもスゴい数揃え、今日食べてくれるものを探す。
1月に入るとドッグフード完全拒否。
オヤツなら食べる。
さつまいも、みかん、りんご、ボーロ、と点滴。
オヤツと点滴だけなのに表情は元気。
お散歩にも毎日行くの。
1月31日、初めてお散歩に行けなくなった。
2月1日、もう自力では立てなくなった。寝たきり状態に入り、病院の配慮で自宅で私が点滴できる様にしてもらいました。
同時にオヤツも食べなくなりました。
最後に口にしたのはサツマイモ。
ずっと寝てる。
時々目を開ける。
2月3日、主人が岡山からミルに会いに来た。ずっと起きてるし元気。
話しかけると起きようとする。
2月4日、前日主人と会えて嬉しくて寝なかったせいか、今日はずっと寝てる。
2月5日、時々痙攣。腎不全の兆候。
2月7日、夜中の1時から朝4時まで痙攣。薬で治った。
2月8日、夜中の2時から痙攣。薬使っても止まらず。病院で注射してもらって治まるも、家に帰って2時間で痙攣始まる。
家で座薬と注射4本打ったが効果無し。
夜9時に時間外だったが抗てんかん薬の注射してもらって落ち着きました。
穏やかな顔で、ぐっすり寝ています。
2月9日日曜日の朝、まだ薬が効いているのかぐっすり寝ています。
お昼過ぎ、少し呼吸が浅くて早くなっていますが穏やかな顔で眠っています。
15時半、目を開けたので起きたかまたはこれから発作が始まるのかと身構えましたが、呼吸をしていません。
心臓も動いていません。
咄嗟に心臓マッサージしようと肋骨を3回押しましたが、息を吹き返すことでミルはまた痙攣に苦しむ。これ以上頑張らせたくないと思って手を止めました。
そしてミルのまだ温かい体を撫でて、ミルはよく頑張ったよ!ミルはいっぱい頑張ったよ。今までありがとうっていっぱい褒めました。
ミルは私の子になって、寂しい思いをたくさんしたかも知れない。
甘えん坊なのに、パンナが来て私を独占出来なくなったし。
私は聞き分けの良いミルで助かると言い訳して、手のかかるパンナに構ってばかり。
私が人生の節目の決断を下す度、ミルには我慢を強いてた。
自分を責めだすとキリがないくらい。
ミルにまた会いたい。
お母さんは、手のかかるパンナがいるからまだ頑張らないとね。
赤の乗り手さん、漫画でミルとパンナそっくりに描いてくれてありがとう。