
昨日はキャンバー測定方法について述べた。
その精度についてはホイールの直径が440mmの場合にはホイールと基準の糸との距離に1mmの誤差が生じた場合にはキャンバー測定値に0.13度ほどの誤差が生じるが、比較的測定しやすい場所なので測定誤差を1mm以下とすることも難しくないだろう。
キャスターアングルについては本来はターニングラジアスゲージで車輪を左右に20度きった状態でキャンバーを測定する。
5円玉を使った方法でもハンドルを適当に左に切って右フロントのキャンバーを測定すると直進時よりもネガティブ方向へ変化しているのがわかる。
さらにハンドルを適当に右に切ると右フロントのキャンバーはポジティブ方向へ変化する。
それぞれのホイール上端下端と垂直線との距離を測定し変化量からキャスターを割り出そうと試みたところ5度弱の数値になったが、4輪アライメントテスターの測定値は4°15′だったので大きな誤差で数値そのものはあまり意味が無いものになった。
しかし車輪の切れ角を左右等しくする工夫をすれば左右差の参考値くらいは測定できそうである。
アライメントテスターを使った場合でもDIYの場合でもハンドルを切ってキャンバーの変化からキャスターを割り出すのだからDIYほうもたいした変わりは無いのである。
逆に言えばプロでもアマチュアでもアライメントを測定したり測定の原理を知っていればカーブ外側のキャンバーアングルの変化について知っていることになるし、アライメントの数値からその車の性格もある程度想像が付くであろう。
さらにはアライメントについて知識があれば車の選び方も変わってくるかもしれないし運転の仕方も変わってくるかもしれない。
実は自動車を上手に運転するためには自動車の構造をよく理解していることが重要である。
その証拠にわずか40年程前には運転免許をとるために自動車学校で自動車の構造について学ばなければならなかったこともある。
そこでは減速比の計算や6気筒エンジンの点火順序といった今の世では自動車整備士のような勉強をさせられたわけだ。
だからといって私は自動車を運転するならアライメントについて理解してからにしろと言うつもりは無い。
まぁそれは知らないよりはむしろ知っていたほうが良いだろうが、まったく車の構造について知識が無いなら、自分の感覚を信じて車に接して欲しいということだ。
例えば貴方の家にBMWと軽自動車があるなら長距離の高速走行はBMW,近所の買い物は軽自動車といったように使用目的によって自然と車を使い分けるだろう。
このときできるだけ先入観にとらわれず自分の感覚で車の特性を感じて欲しいのだ。
たぶんそのとき貴方が感じたことは正しいと思うし、例えばアライメントが狂った車に乗れば違和感を感じたりすることもできるかもしれない。
でわ、何がもっとも悪いかといえば、ネットでの知ったかぶり野郎の電波情報に振り回されることだ。
実は私もある掲示板でBMWの直進安定性が悪いという相談に答えたことが複数あったが、いずれも知ったかぶりの電波野郎が多数割り込んできた。
結果的にはそれぞれ解決したようなので良かったが、いずれも私の孤軍奮闘で得た結果だった。
それほどネットでの情報はいい加減なものが多い。
実際アライメントに関するものだけでもバイクのようにキャスターが立っていたほうが旋回性は良くなるというよな思い込みの記事を見つけることも難しくないだろうし、ある自動車評論家などはベンツのトー角度を調整した直後にサイドスリップを調整してそれを狂わせてしまっていた。
しかもその車を日本で有数の程度の良い車として売りに出していたのだ。
こんないい加減な情報の多いネットの情報を信じるくらいならご自身の感覚を信じたほうがよほど良いというのが私の結論である。
更に言うなら私のブログ以外を信じてはいけないということだ。
(終)
Posted at 2010/05/26 19:25:47 | |
トラックバック(0) |
自動車 | クルマ