栃木・鹿沼のクレーン車暴走:損賠訴訟 「服薬、監督怠り事故」 母にも賠償命令−−宇都宮地裁
栃木県鹿沼市で2011年4月、登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込み児童6人が死亡した事故を巡る民事訴訟で、24日の宇都宮地裁判決は、当時成人だった元運転手、柴田将人受刑者(28)の母親にも賠償を命じた理由を「元運転手がてんかんの薬を飲まなかったことを知っており、事故を予見できた。元勤務先に通報していれば事故は起きなかった」と説明した。元勤務先も含めた3者が連帯して、児童の親11人へ計約1億2500万円を支払うよう命じた。訴訟は、刑事裁判では問えなかった母親や元勤務先の法的責任が最大の争点だった。成人の母親に賠償の連帯責任を認める司法判断は異例。児童の祖父母や兄弟姉妹の請求は棄却した。
判決によると、元運転手は事故前夜に持病のてんかんの薬を服用せず、クレーン車を運転し、発作を起こした。てんかん発作による事故を過去何度も繰り返しており、今回の事故は、人身事故による有罪判決の執行猶予期間中だった。
元運転手と同居の母親について、岩坪朗彦裁判長は「以前の事故は薬を処方通りに服用していなかったために起きたことを認識し、薬の服用を監督してきた」と指摘。その事故原因が発作であることを警察に隠した▽その後も元運転手に車を買い与えた−−などから「薬を服用していない状態での運転により生じる危険を共に引き受けた」と判断した。その上で今回の事故を巡り「出勤をやめさせる義務まではないが、元勤務先に通報する義務はあった」として母親の賠償責任を認めた。
遺族側は、刑事裁判では問われなかった危険運転致死罪と「同等の悪質さ」を理由に、犠牲になった児童本人分の慰謝料は「通例の2倍」(遺族側)に当たる5000万円で請求。判決は「元運転手の行為は重大・悪質で強い非難に値する」と述べたが、認定額は2600万円にとどめた。
◇使用者責任には具体的言及なく
一方、判決は元勤務先について、車の保有者と元運転手の使用者だったことのみを理由に賠償責任を認めた。鈴木勇二・前日本てんかん協会長は「悲惨な事故を再発防止に生かすために、元勤務先がどうすべきだったか具体的に示してほしかった」と指摘。「経営者が『事情を知らなくても責任を問われる』と誤解すれば、患者の雇用をさらに避ける事態が懸念される」と、判決の正しい理解を求めた。
事故当時に成人だった元運転手の母親にも賠償責任を認めた宇都宮地裁判決は、元運転手が事故を起こす可能性を母親が認識していた点を重視した。「てんかん患者の親には無条件に責任がある」と一般化する内容ではなく、てんかん発作が事故につながる危険性に真剣に向き合うよう、患者本人に加え周囲にも警鐘を鳴らした判決といえる。
今回の事故は元運転手がきちんと服薬していれば防げた可能性が高い。元運転手が自動車運転過失致死罪に問われた刑事裁判の同地裁判決は「持病が原因ではなく、危険性を軽視したのが原因」と判断。さらに、今回の民事判決は母親についても「医師に運転していないとうそをつき、運転を断念させる機会を積極的に消滅させた」と指摘した。
交通事故を巡っては、2007年の道交法改正で、飲酒運転の同乗者など直接の当事者以外も厳しく罰せられるようになった。てんかん発作が原因とみられる京都・祇園の7人死亡事故では、運転し死亡した男の勤務先の社長が業務上過失致死傷容疑で書類送検された。今年3月には、正常運転が困難になる恐れがある病気の患者について、守秘義務のある医師が病状を任意で公安委員会に申告することを可能にした道交法改正案が閣議決定されており、判決の背景には事故撲滅を願う社会的要請があった。
事故防止に向け、周囲にも重い役割を求める流れが強まりそうだ。
てんかん協会の件で調べていたらこの様な記事があったので。
悪質なドライバーを黙認する親が罪に問われる可能性がある。
クレーン暴走事故を起こした本人は、過去にてんかん発作が原因の5件を含む12件の交通事故を起こし医者から運転を止められていたとのこと。
てんかん持ちじゃ無くても、自分が親なら免許を取り上げるぐらいひどい。
自分の子供が心配ではなかったのだろうか?
間違いなく、本人が死ぬか、他人を殺すか、或いは両方とも起こすことが目に見えている。
こんな状態で、親が運転を許していたと思うと神経を疑う。
本人・親が「てんかん発作」を軽視し、6人もの幼い命を奪った最悪の事例です。
会社は過失は問われていないようですが、賠償責任は発生している。
会社側もドライバーの事故履歴等確認などで自衛し始めるでしょうし、こう言った事故が今後起きなくなればと心から思います。
Posted at 2013/06/16 18:20:34 | |
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