もんじゅ抜本改革見送り 文科省方針 民間委託に否定的
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転管理体制を見直している文部科学省は、電力会社などの民間に管理を委託する抜本的な改革を見送る方針を固めた。民間との協力で体制強化を図る。29日に開く同機構改革本部(本部長・下村博文文科相)の会議に素案を提出し、外部有識者の議論を経て8月上旬に中間報告をまとめる見通しだ。
素案では、もんじゅの運転管理について(1)電力会社やメーカーを中心に立ち上げる新運営組織への外部委託(2)同機構が引き続き運営し、電力会社やメーカーとの協力で体制を強化-の2つの選択肢を提示する。
ただ、運転管理の外部委託については▽原子炉等規制法で認められていない▽冷却材のナトリウムを取り扱うノウハウが電力会社やメーカーにはない▽事故発生時の責任が不明確になる-などとして否定的な見解を盛り込む。
一方、民間との協力による体制強化では、電力会社の発電所幹部経験者の登用▽メーカーや関連会社の保守要員を中途採用▽機構の職員を1年前後、発電所へ派遣-などの具体策を提示。現行の運営体制を維持した上で、民間のノウハウを最大限に活用するのが現実的との判断で議論を集約する見通しだ。
もんじゅは機器の点検漏れなど安全管理の不備が相次ぎ、原子力規制委員会が5月に無期限の運転禁止命令を決定。これを受け文科省は6月に改革本部を設置し、運転管理や組織体制を見直す議論を始めた。
同本部では外部有識者から「もんじゅを機構から切り離すべきだ」との意見も出され、下村文科相は運転管理の外部委託も視野に検討する方針を示していた。
民間との協力強化にとどまることについて、原子力の専門家からは「本当に安全文化を醸成するなら、表面的な手直しだけでは無理だ」と改革の効果を疑問視する声も上がっている。
【用語解説】もんじゅ
プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、消費した以上の燃料を生み出す高速増殖炉の原型炉。平成7年のナトリウム漏れ事故で長期停止。22年5月に運転を再開したが、同8月の燃料交換装置の落下事故で運転再開を凍結した。昨年、約1万件の機器の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は原子炉等規制法違反と判断し今年5月、事実上の運転禁止命令を出した。
「もんじゅ」を民間にって本気で考えていたって笑えないですね。
企業は、表向き社会に貢献するなんてことを言ってますが、利益を出す為に人が集団を作っているだけ。
大企業になればなるほどその傾向が顕著になります。
集団を守る為に、簡単に個を切るなんてことは当たり前で、ブラック会社になると日本の武将のせりふとされる「兵など単なる捨て駒」って本気で思っている。
「戦」を「将棋」になぞり、「兵」を「駒」に例えただけで、日本の武将と呼ばれる人物は、人徳があり能力と実績もあったから「武将」と呼ばれていたのに勘違いもはなはだしい経営者が多いこと。
電力会社は、客ですら「捨て駒」ですからね。
そんな企業に、一般的な原発より危険な「もんじゅ」を預けようなんて正気の沙汰じゃない。
現在すべての発電は蒸気をタービンに当ててその先にあるモーターを回し発電しています。
ヤカンから勢い良く吹き出る蒸気を、モーターにつけた風車へ当てて回転させ発電しているようなもの。
一般的な原発は核反応で起きる膨大な熱で水(真水)を沸かし発電しているます。
「もんじゅ」も発電はもちろん蒸気発電ですが、冷却方法が少し違います。
「もんじゅ」は、核反応で発電しつつ、プルトニウム239というを核燃料を増殖させるという一石二鳥を目指す次世代の実験原子炉。
もんじゅでナトリウムを使う大きな理由
その性質上、「水」ではなく液体化した「ナトリウム」を使用しています。
ナトリウムは、空気中の酸素と反応して発火したり、水に触れると爆発します。
ナトリウムの爆発実験
もんじゅの説明では、一行「酸素や水分とすぐに反応する性質をもっています。」で流してますがね。
ナトリウムの性質
はい。
それでは想像してみましょう。
もし、もんじゅに福一のような天災が降り注いだら。
核反応が暴走して制御不能になった福一は、真水ではなく海水をつかって強制的に冷却しました。
でも、もんじゅはそもそも水で冷却できない。
ナトリウムが水と反応して、爆発するから。
そして、天災によりナトリウムが漏れ出し、空気と触れたら火災も起こします。
もんじゅの場合は、核の制御のほかに、ナトリウムという大きな問題を抱えているのは素人の目からしても確かなこと。
福一の海水投入の時のことを米紙ウォールストリート・ジャーナルではこう報道しています。
福島第1原発事故の状況に精通した複数の関係者の話として、東京電力が廃炉を懸念したため原子炉への海水注入が遅れたと。
政府側の受け身の姿勢も事故対応の遅れにつながったとも指摘しています。
民間で扱うということはこういう問題も大きく影響します。
まあ、そもそも停止していても維持管理だけで年間200億円もの多額の税金を惜しみなく投入されている金食い虫を民間が引き受けるはずないでしょうけどね。
政府でもお荷物なのに、民間に背負わせようなってなに考えているのやら・・・。
Posted at 2013/07/29 12:31:07 | |
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