天気が悪い土曜日の午後は近場でカフェ。

　朝からどんよりと重たい雲で覆われている。時折強風が吹きつける。
思い出したように、雨が降り出す。なんとなく遠出をしたくない気分だ。

　思い出した。近場にもカフェがある。歩いてでも可能な距離だが谷を越、峠を上り下りしなければならない。車で走ると、ようやく水温が適温になる程度の距離だ。この様なちょこっと走りが燃費には非常に悪影響なのだ。
　随分以前に訪ねた事があるカフェなのだけれど、まだ営業を続けているところを見ると繁盛しているのだろう。
　さして標高が高いわけではないのだが、複雑に谷が入り組んで道路の上下は激しい所で、なんとなく神戸六甲の南麓や長崎を彷彿させる雰囲気がある。
　カフェの名前は、長崎阿蘭陀珈琲館。赤レンガの塀につたが絡まったそれなりに風格すら感じられる建物の前には10台ほどの駐車スペースがある。このお店のメニューは多彩だ。長崎ちゃんぽんが有名らしいし、海老フライまである。コヒーはブレンドだけでも5種類、ストレートまで含めると10種類を越える選択が出来る。
　三宮ブレンドと称するやや深煎りを頼んだ。パーコレーターでの一杯立てで提供される。お供は揚げたてヒレカツ入りカレーパンだった。珈琲は可も無く不可もなく普通だったが、カレーパンは中々のお味ではあった。店内は午後2時過ぎなのにほぼ満席で、半数はちゃんぽんをお召し上がりだ。それほど美味しいのだろうか、次回はちゃんぽんに挑戦してみようか、または皿うどんにしようか迷うところだが、お値段は通常の倍近くの設定だ。
　BGMはボリュームを押さえたバロックが流れている。大きな窓からは平尾の谷が一望できる。目の下は平尾霊園の墓石が並んでいるが、春ならば桜が綺麗だろう。海は見わたせないのが、神戸や長崎と違うところか。肉眼では識別できないが、我が家もここから見えているはずだ。
　なんとなくレトロモダンを感じさせるお店ではある。