今日は、8月15日。 終戦記念日ですね。
先の戦争から、すでに長い年月が流れ人々の記憶もすっかり風化していますね。
もちろんわたし自身も戦争を知らない世代だし、例えば
、「たった今この瞬間にも、遠い中東の市街地で一般市民が戦闘に巻き込まれて次々と死亡していっている」というニュースを聞いたとしても、遠い外国の話だし、あんまり気にも留めないような気がします。
けれど、先月の北朝鮮のミサイル発射のニュースを含め、中国や韓国等の近隣諸国の対日感情は、日本でぬくぬく暮らしているわたし達が想像してるよりずっと厳しいものがありますよね。
中国や韓国の小学校の教科書には
「軍のひとたちが日本人のやつらを昨日○○人やっつけました。
今日は○○人やっつけました。あわせて何人になるでしょう?」
とかいう問題が平然と載っているし、韓国の子供たちが描いた日本の絵には、かなりえげつない内容のものもあったりします。
そういう教育をずっと受けて来ている子供たちが、これからどんどん大人になっていくんですから、今の日本の子供たちが大人になった時との感情のズレって言うのは、益々激しくなっていくだろうと思います。
今現在の日本が平和だとしても、自分の子供が大人になった頃のことまで考えると
「戦争なんて起こるはずがない」なんてノンキな事は、とても言えません。
杞憂だと馬鹿にされそうですが、男の子を持つ親の気持ちとしては、「世界が本当に平和で、戦争なんかに巻き込まれないで済みますように。」という気持ちで一杯です。
さてさて、前置きが長くなっちゃいましたけど、本題。
タイトルの
「8月だからこそ、こどもに読ませておきたい本。」です。
それは
土家由岐雄 作のノンフィクション童話
かわいそうなぞう
あらすじ
第二次世界大戦が激しくなり、東京・上野動物園では空襲で檻が破壊されて猛獣が街に逃げ出したら大変だということで、猛獣を殺すことを決定する。ライオンや熊が殺され、残すは象のジョン、トンキー、ワンリーだけになる。
象に毒の入った餌を与えるが、象たちは餌を吐き出してしまい、その後は毒餌を食べないため殺すことができない。毒を注射しようにも針が折れて注射が出来ないため、餌や水を与えるのをやめ餓死するのを待つことにする。象たちは餌をもらうために必死に芸をしたりするが、ジョン、ワンリー、トンキーの順に餓死していく。
小学校の国語の教科書に掲載されたり、何度か読書感想文の課題図書に選ばれたり、ドラマ化されたり…さらにはドラえもんの作中にも出てきたりしているあまりにも有名なお話なので、知ってる方多いんじゃないでしょうか?
この本をイチオシしたいのは、実際にあった出来事を物語化したという切なさや、戦争の悲惨さを子供たちにわかりやすく伝えている為…というのもあるんですが、文章自体の日本語としての完成度が非常に高く、表現が詩的で素晴らしいのです。
「さあ、食べろ、食べろ。のんで くれ、のんで おくれ。」 とか
ぞうに えさを やっては いけないのです。水を のませては ならないのです。
とか。
シンプルな文なんですけど、例えば「ぞうに えさも 水も やってはいけないのです」と端的に1文にまとめてしまうより、繰り返す表現方法を使うことによって、ぐぐーっと胸に来るものがあります。
最近書かれた童話にはあまりない手法で、レトロだけれど日本語の美しさを感じさせてくれる名文だと思います。
やはり、名作とかベストセラーとして長く読まれている本には、何かしらいいところがあるものなんだなーと思います。
戦争ものにアンチ感情を抱いてる方もいらっしゃるかも知れませんが、いろんな意味でこれは「子供のうちに読ませておきたい一冊」にイチオシします。
**おまけ**
インターネット上で「かわいそうなぞう」の全文が読めます
↓↓↓
こちら
Posted at 2006/08/15 10:47:47 | |
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