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2018年12月20日

LINK ECU - エンジン制御の話 - 学習制御

エンジン制御については完全なる素人で、今回LINK導入にあたり、ネットやエンジン制御関係の本、チューナーのTRACY SPORTSさんに教えてもらったこと、LINK PCのヘルプ等で勉強をした。LINK導入後の今はログデータも合わせて見ながら引き続きエンジン制御について勉強中である。
そもそも大学入学後、すぐに自動車部に入部して以来、楽しい車の世界にはまり続けているわけだけど、当時からCAR BOYにて繰り広げられるエンジンチューニングの世界にあこがれがあったわけで、でも当時は「自分に知識ない、知識がないから専門書読んでも理解できない、周りに先達がいない、教材がない」という状況であこがれが現実のものになることはなかった。
社会人になってコンピューターの電子回路設計を生業にして20年たち、ここ10年は電気油圧制御システム設計もやって、自分のコア技術がある。「ヘルプがとても親切でわかりやすい」という評判のLINKが世の中にある。現主力戦闘機であるS15オーテックがぜんぜん走らなくて面白くない、これはエンジン制御に対するあこがれを現実にせよ!という啓示と信じて、LINK導入に思いきって投資した。
結果としてエンジン制御を学ぶ環境が整ったわけで今は非常に楽しい状態である。一方、ネットを含む世間では曖昧模糊とした情報しか拾えなくて、後に続く人たちが困るのではないか、と思い、自分で理解したエンジン制御の話を順次投下していこうと考えている。というのは建て前で単に勉強して得た楽しい知識を外に向かって吐き出したいだけの自己満足行為だったりする。

当ページで記載する情報の正確性については一切保障しないことをここに宣言する。

今回はECUの学習について。
ECUに学習機能がついているのは広く知られているが、では、いったい何を学習しているのかが長年の謎だった。
学習結果をリセットする手順として、バッテリーを外して30秒から1分ほど待つ、というのが一般説として広まっている。ECUはキーオフでもバテリーからバックアップ電源が供給されており、学習結果を保存しているSRAMの学習結果データはこのバックアップ電源により保持されている。バッテリーを外すことにより、当該SRAMのデータが消える、ということで回路設計の観点から考えて、このリセット手順は納得であった。
しかし、リセット前後の運転体感では変化を感じられず、ガソリン満タン法の燃費データでもリセット前後で有意な差がないように感じていた。
ROMチューンでやることといえば、燃料噴射テーブルのパラメータを変更する、という手法が一般的で、学習機能に関するところを論じているところに出会ったところがなかった。
しかし、今回読み漁ったエンジン制御の専門書において少量ながら学習機能について触れられている記事を発見し(ただし、非常に大まかな書きっぷりしかしておらず、100%理解できるものではなかった)、そこから考察を広げていったことにより、ずいぶんと謎が解けてきたように思える。

学習機能を導入するキーポイントはO2センサーにあると考えられる。
O2センサーはジルコニア酸素センサの物理特性を利用して、理想空燃比を境にAFがリーンだと0V/リッチだと0.8Vを出力するセンサーである。
ただし、センサとして正常に機能するためにはセンサ素子を適正温度に加熱しなければならず、数十秒単位の暖気運転が必要である。
エンジンの排ガスはAFがリーンでもリッチでも汚くなるらしいので、環境のことを考えると、エンジン始動開始時から理想空燃比で運転させたい。
エンジンを理想空燃比で運転させるためには、シリンダーに入る酸素充填量を正確に検出して、それに見合った燃料を供給する制御をしなければならない。
充填される空気量を測定するためのセンサとしてエアフロー(Manifold Air Flow、以下MAF)もしくはマニホールド圧(Manifold Absolute Pressure、以下MAP)が利用できるが、酸素量は気温や気圧よって変化するので、正確な酸素量を測定することができない。
すなわち、エンジン始動後数十秒間は理想空燃比で運転することが難しい状態である。
さらにO2センサーの出力は1か0で、それを見ながら理想空燃比に合わせ込むにはオーバーシュート/アンダーシュートを繰り返しながら時間を使う必要がある。すなわち合わせ込むまで時間がかかり、ちょっとでも条件が変わると、また時間をかけて合わせ込みに行くという悪循環になるのではなかろうか。
これら2つの問題を解決する手段として、普段の運転から燃料噴射テーブルの補正値を演算->貯め込むというのが学習機能であろう。
どのように補正値を演算するかのアルゴリズムは各エンジンメーカーの蓄積した技術(ノウハウ)なのだろう。だから専門書でもあまりふれられていないと推測する。

さて、我がLINKにはこの学習機能が実装されていない。我がLINKだけでなくLINK G4+には学習機能が実装されていない。その代わりにクローズド・ループ・ラムダ(Closed Loop Lambda、以下CLL)という機能が実装されている。O2センサーでもAFセンサーでも、センサーの測定値と設定した目標AFが一致するように燃料噴射量を微調整する機能である。センサー暖気中だとこの機能は使えないが学習機能より確実に理想空燃比に合わせ込むことができるのではないだろうかと考える。LINKのクローズドループ機能については、別途述べたい。というか、実はまだ演算アルゴリズムの解析中でわかっていなかったりする…。

AE86やEP71の電子制御が出始めた頃は8bit CPUで、クローズドループ制御をするにはCPUパワーが足りないように感じるが、最近のECU向けCPUならクローズドループ制御は余裕でできるだけのパワーがあるから、最近の車には学習機能なぞ実装されていないと思われる。

この回、終了。
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Posted at 2018/12/20 21:38:20

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