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神坂俊一郎のブログ一覧

2014年02月20日 イイね!

最新のタイヤや技術は、実際に役立つのか?

この2週間、大雪のお蔭?で、栃木県でも、アイスバーン、圧雪、シャーベット、いろいろな路面を経験できました。
こんな時に、最新のスタッドレスタイヤ、各種のアクセサリーや電子制御は、本当に役立つのでしょうか、素朴な疑問だと思いますので、私の経験を紹介しておきます。

まず、大元のタイヤですが、雪や低温に対しては、スタッドレスの効果は明らかです。
実際にレンタカーで経験してみた感覚では、ブリジストンとヨコハマのスタッドレスは、我が愛車のコンチネンタルのスタッドレスよりも、圧雪路面や凍結路面では少し上だと思いました。
ただ、今回の大雪で図らずも明らかになったように、スタッドレスは万能ではありません。
北海道の人に聞くと、冬場の路面で一番恐ろしいのがブラックアイスバーンで、それがある道は、通らないで迂回するそうです。
理由は、スタッドレスでもどうにもならないほど摩擦力が低下する路面であり、本当に止まらないし曲がらないからだそうです。
スタッドレスタイヤ、雪でもそこそこグリップはしますが、最低地上高を超える積雪になると、ボディー下面がつっかえるわけで、そうなったら、根本的な問題として、車は動かなくなると考えなくてはいけません。
最近の車、デザインとタイヤの扁平化の影響か、総じて最低地上高が低くなっていますから、積雪15センチを超えたら、移動手段としては不適、動かなくなる可能性が高いと考えるべきです。

チェーンについても、着用の経験のある人自体が少なくなっているのではないかと思いますが、これもそれほど大きな効果のあるものではありません。
駆動力の確保、駆動輪に関しての制動力の確保の補助とはなりますが、これも、前述のとおり、積雪量が増えたら、根本的に効かなくなるものと考えないといけません。
それからチェーンつけて60キロ以上出しては危険です。
雪の新潟と石川で経験があるのですが、飛ばし過ぎるとタイヤに密着させるように押さえているゴムが切れ、チェーンが外れて飛んでくることがあり、危険なのです。
そこまでいかなくとも、タイヤハウスに接触したり、ドライブシャフトに巻きついたりするトラブルも起こしますから、チェーンを着けたら40キロ以下で走るべきです。
金属チェーンよりも着脱はしにくいのですが、ゴムチェーンはなかなかの優れもので、網状に路面に接触しますから、金属チェーンのようにガタンガタンとなりませんし、快適性には優れますし、金属よりも切れにくいのですが、これにしても駆動制動の効果は、金属チェーンと五十歩百歩ですから、過信しないことです。

電子制御で、なじみのあるのは、ABSです。
これ、タイヤをロックさせないようにして、できるだけタイヤの摩擦力を確保して制動力を高め、かつ、方向舵としての能力も確保しようとするものなのですが、タイヤの摩擦力を越える力に対しては、所詮無力なのです。
今回の雪、栃木県では、ABSが程よく効いて、スリップしながらも制動力を確保できる路面でしたから効果があったのですが、アイスバーンではその威力も大きく減殺されるわけです。

もっと進化しているのが、最新のVCSで、コンピューターによって、駆動、制動だけでなく姿勢の制御まで積極的に行うシステムです。
ボッシュの研究所で、実演してもらった経験がありますが、片やアスファルト、片やアイスバーンと言った大きく摩擦係数の異なる路面に左右の車輪が分かれた場合、このシステムのない車は、ものの見事にスピンします。
それが、システムをオンにするだけで、何事もなかったかのように直進してくれたのです。
でも、これ、片輪だけでもグリップしているから効果があるわけで、両輪ともグリップしない状態になると、いくらシステムが正常に働いても、車はどこにいくかわからなくなります。
10年ぐらい前でしたか、当時最新のシステムを備えたBMW318を運転していて、栃木福島県境の山王峠のアイスバーンで見事にスピンした経験があります。
最後にものを言ったのは単純な運転テクニックで、幸いにも対向車が居ませんでしたし、谷に落ちるよりは絶対ましですから、対向車線を突っ切って山に突っ込む方向にカウンターを切って誘導したところ、スピンは半回転でおさまり、逆向きのまま対向車線を30メートルぐらい走って(見かけはバックしている状態で)、ABS効きまくりでどこにもぶつからず、無事止まりました。
もう一回やれと言われても絶対できないコントロールだったと思います。

3年前にレクサスの特別な試乗会で、いろいろな場面を設定し、メルセデスベンツ、BMW、アウディといった他社の競合モデルと比較試乗させてもらえる幸運な経験をしました。
その際、レクサスの技術者に、BMWでスピンしたことを話し、現在の最新システムだとどうなるか確認してみたのです。
すると、現在レクサスに搭載されているシステムは、BMWのものよりもハンドル操作の制御面で一段階上の制御システムだそうで、確かに、その試乗会で、BMW530は見事にスピンしましたが、レクサスGS350hは何事もなく曲がってくれました。
それでもというか、如何に優れたシステムであっても、4輪とも全くグリップしない状況になってしまったらお手上げだとのことでした。

それから、雪とは関係ありませんが、トマール××とか変なコマーシャルで宣伝している、勝手にブレーキがかかるシステムですが、これ、ちゃんと注意書きには、時速30キロ以下で有効なものですと断ってあり、どこぞやの試乗会で事故を起こしたように、60キロで突っ込んだら元々全く機能しないわけです。
誇大広告とは言えないのですが、どんな場面でも勝手に止まってくれるかのような誤解を招くコマーシャルはどうかと思います。

最新のメルセデスベンツは、レーダーセーフティーパッケージという安全システムを装備しています。
点検の際の代車で、最新のCLSとCクラスに乗せてもらった際経験しましたが、車は、あくまでもドライバーが責任を持ってコントロールすべきものであり、予想される危険を警告し、方向を微調整し、ブレーキの制動力を高める等補助的なものであり、ドライバーの操作に大きく介入してくるものではありませんでした。
その点で、日本よりもドライバーの操作に対する捉え方に一日の長があると思いました。

私の愛車は、メルセデスベンツのE300なのですが、4年前のモデルですから、このパッケージは備わっていません。
でも、ブレーキアシストなるものは備わっており、急ブレーキを踏むと、制動力を最大限まで高めてくれるのです。
これですら、正直言わせてもらうと、余計なお節介に近いものがあります。
何故なら、BMWのドライバートレーニングで急ブレーキを踏むトレーニングを受けた私は、危ないと思ったら、0.1秒単位で素早く強くブレーキを踏んでしまうため、その度に最大の制動力を味わうことになったのです。
メルセデスベンツのブレーキの制動力は半端なものではなく、路面が良ければ、時速40キロからでも数メートルで、時速30キロ以下なら、ほぼその場で止まってくれるのです。
結果どうなるかと言えば、車内の人とものは、シートベルトで固定されていないと、慣性の法則により前に吹っ飛びます。
二三度やってコツはつかみましたから、止まらないよりはいいやと割り切ってうまくコントロールするようにしましたが、最初はたまげました。

総括
最新のタイヤも、システムも、アクセサリーも、あくまで補助的なものであり、所詮大自然には勝てません。
雪が降ったら、予定はキャンセルして外にでないのが一番です。
人間の命よりも大切な予定はないでしょう。
Posted at 2014/02/20 15:40:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | 車全般 | クルマ

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神坂俊一郎です。よろしくお願いします。 40年前に某メーカーのテストドライバーに誘われた経験があるほど運転感覚は鋭敏で、自分の感覚にもっとも優しかったメルセデ...
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