■ 問題背景
ウィンカーをLED化する場合、LEDの消費電力が小さいために、球切れと判断されてハイフラが発生する。最近のリレーのない車の場合、消費電力を上げるための抵抗器をわざと並列に挿入してハイフラを回避するが、省エネにならないばかりか、配線の引き回しや廃熱の問題も発生する。6Ωの抵抗器なら、12Vの印加で24Wの熱を発生する(50% dutyとしても12W)が、これは小型のハンダごて並の発熱であり、長時間ハザードを点けるようなシチュエーションでは樹脂部分の変形、火災などの原因にもなり得る。
ところが先日、たまたま「抵抗内蔵でハイフラ回避が
期待できる」というアンバーのLED球(0-63)を入手した。ピカソに装着したところ、確かにハイフラは発生しないのだが、面白いことに熱も発生せず、テスターでも直流抵抗値を検出できない(10MΩ超)。つまり抵抗器は内蔵されていないのである。それでも抵抗器以外の何らかの方法で、ハイフラを回避しているらしい。その仕組みが分かれば、上記の配線や熱の問題から解放されることになる。
■ 仮説
そこで仮説を立てた。VWの一部の車種では、エンジンを掛けるとLEDウィンカーが少しだけ光ると言う。エンジンを掛けた段階で微弱の電流をウィンカーに流すことで、ウィンカーの球切れを判断しているためらしい。ピカソも最新の欧州車なので、同様の判断をしている可能性がある。その場合の微弱電流は、長いワイヤーハーネスでの減衰を考えて交流である可能性があり、であれば抵抗器ではなく、コンデンサーでインピーダンスを下げてやればハイフラ回避が可能なのではないか。仮に交流ではなかったとしても、コンデンサーへの突入電流がある程度流れれば、球切れではないと判断してくれる可能性がある。マジックのタネがコンデンサーであれば、上記の0-63が熱を発生せず、直流抵抗値が≒∞であることも説明できる。
■ 立証
そこで手許にあった超TERAエボリューション(H-541)をS25ピン角違いに改造した球(そのままだとハイフラ発生)に、同じく手許にあったOSコン3.3μF(16V)と、積層セラコン1.0μF(50V)を並列に接続して、2つの実験球を作成した。

結果として、どちらの球でもハイフラが見事に回避された。コンデンサーのキャパシタンス(容量)はそれほどシビアでなくても良いようである。もちろんコンデンサーにはエンジン始動時に一瞬微弱な電流が流れるだけで、点灯時の直流は流れないので、熱はまったく発生しない。思わずガッツポーズ!(続く)
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LED | クルマ
Posted at
2015/10/30 15:13:08