
前回の更新から一年以上。Bloggerとしては失格だが、ピカソの方は至って元気で故障もなく走っている。
ピカソのExclusiveは近年流行りの画像処理系エレクトロニクスについては、全部のせラーメンに近い。ACCはもちろん、レーン逸脱警告、アダプティブヘッドライト、オートハイビーム、近接警告などから自動縦列並列駐車まで、購入した2015年時点でも、ここまで揃っていた国産車はなく、輸入車でも1-2を争う仕様だった。2013年のクルマなので、ACCは40km/h以上だし、レーン逸脱時の自動ハンドル修正アクチュエーターはついていないが、当時としては珍奇な技術をよくもまとめて投入したと思う。プロトタイプ名がTechnospaceだったのはそのためだし、現在もプジョーシトロエンの自動運転試作車はピカソベースである。
その後は日本車の追い上げも急で、特に日本人が好む「衝突しない車」系の停止技術を下敷きに、「自動運転」系へと拡大していったため、0km/h(完全停止)までのACCについては2017年現在では日本車が一番揃っているように見える。ただ、相変わらず部分投入、逐次投入が多い。クラス分けにこだわるトヨタが一斉に導入するのをためらっているのに対し、マツダはアクセラ、デミオにも惜しみなく導入している点が素晴らしい。
それはともかく今回は、この1年半の使用で、私が特に気に入ったエレクトロニクス技術を、山道乗りの主観でランク付けしてみた。
第3位 オート・ハイビーム
道交法では、本来はライトはハイビームが普通の状態で、対向車がいたり都市部での眩惑防止の時だけロービームに下げることになっているが、大半のクルマはロービーム常用で運転されている。しかし、山道主体なら道交法通りハイビーム常用が遙かに安全で、対向車が来た時だけローになるのが望ましい。つまり正しくはオートロービームなのだが、そこを自動でやってくれる機能は大変助かる。
この技術単体はしばらく前からあるが、ピカソの場合は自動運転用の画像処理系と組み合わさっているので、例えば街灯が並んでいるところに来ると、街中に入ったと画像処理系が判断してロービームになる。ハイビームで迷惑をかけないことが優先されるので、もう少しハイビームでいて欲しいと思うほどだ。都市部はこれでいい。だが、日本の田舎は意外に街灯がついており、人っ子一人いない道でロービームになるのはもどかしいこともある。そんなときに限ってタヌキやシカが飛び出してくるのだ。設定画面で閾値を選ぶことで、この辺の感度をドライバーが調整できるようにすれば完璧なのだが。
第2位 ディレクショナル・ヘッドライト
ハンドル操作に合わせてライトが左右に振れるディレクショナル・ヘッドライト(AFS)は、日本では日産が初代フーガに導入したのが最初だったと記憶している。しかし、実は世界で初めてこの技術を導入したのはシトロエンで、それも戦前の1930年代の話である。当時は前輪のクランクからバーを伸ばし、機械的にライトを左右に動かしていた。ピカソのは、そのエレクトロニクス版末裔である。山道でこれがいかに有効かは一度運転すればすぐに分かる。もうなしではやっていけないほどだ。
ライトと言えばフランス車の美点であり、ともかく明るく一様で照射範囲が広い。コーナリングランプも兼ねるために多少左右に振られたフォグランプも点灯すると、目の前の景色がステージのように照らし出される。この安心感は代えがたい。LEDランプも明るくなってきてはいるが、完全にこれを凌げるようになるまでは、明るさ優先で行きたいと思う。
第1位 ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
ピカソを買った当初は、ジャーナリストたちは、ACCと言えば高速道路で使うもののように書いていた。確かに40km/h以上での動作なら、都市部でON状態を維持するのは難しいだろう。しかし、田舎なら別で、一般道でも十分に使える。信号の少ない区間では、私は無意識にONにして流しているし、軽トラだって30km/h台で走っていることはまずないので、追随してもOFFになってしまうことはない。こうした田舎道でのACCのメリットは燃費である。無意識のうちに速度を上げたり下げたりしないので、燃費が向上する。長野県内の例を挙げると、上田市と松本市の間の国道254号線は最高地点の標高が1,100mもある峠道だが、ACCで往復するとリッター15.4kmも出せてしまう。
もちろん、高速道路での利用は快適だ。2015年に買った当初は、有機ELのメイン画面左(写真↑)に示される前方の普通の車の速度(レーダー計測値)が、いかに上下しているかを見て、人間の足で一定速度を長時間維持するのが難しいことを知ったが、今年あたりになると、前の車もACCだなと分かるような定速走行しているケースに出くわすようになった。一方で、ACC機能が付いているモデルなのに、高速でドライバーがONにしていない場合もまだ多い。多くのユーザーは意外に保守的なのだ。
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以上、勝手なランキングだが、もちろん旧来からの自動防眩ミラーやヒルスタートやアラウンドビューモニターにも助けられている。しかもどれも故障しない。すべての技術がこれ見よがしにチカチカ主張せず、大きな有機ELの画面に必要に応じて出たり消えたりするのが日本車と違うところだ。コンチネンタルのようなコンポーネント企業が自動運転をリードしていることもあるが、ハイテクのイメージが近年なくなっていたフランス車に、先端技術がまっさきにオシャレに乗ってくる時代になった。日本車はこれから何をカッティングエッジにするのだろうと考えてしまう。
Posted at 2017/03/26 21:44:36 | |
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