前回のブログが相当反響あったので、初心向けからマニア向けに話をすすめていきます。
↓前回のオイル関連ブログ↓
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まず、鉱物油がなぜダメなのか、何故、嫌われるのか理由を明確に言える人いますか?
今日、これを読んだ人は、これからのオイル交換や銘柄選びは楽しくなるかもしれません。
では話を進めていきましょう
さて、何故安い鉱物油のオイルはだめなんでしょうか。1リットル300円くらいのオイルも沢山あります。
しかもメーカー純正品で扱いもあります。
鉱物油をさけて高いオイルを選ぶ理由はなんとなく?化学合成油のほうが、エンジンにやさしそう?油膜切れしない?スラッジがでにくい?
だから化学合成油とかいてある全合成油いれてる?
でも、前回、我々が気軽に入れているであろう4リットル3980円くらいの化学合成油は鉱物油だとネタばらしました。
その事実をしって化学合成油しか入れないと心に誓っていた人は、次回から1リットル3000円の本当の化学合成油のオイルいれるでしょうか。
多分、入れないでしょう。
やはり値段は重要なファクターです。
では、なぜ鉱物油が化学合成油より劣るのか勉強します。
まず鉱物油がどうやって出来ているかしらなくてはなりません、
そしてグループ4以上の化学合成油も同じく知らないとこれからの話についてこれなくなるので、少し詳し目に解説します、
鉱物油は簡単に言えば、原料は原油の絞りカスです。
真面目なはなし、カスなんです。
カスを原料としています。まあ、石油には捨てるとこがないからカスなんてないですが、グループ4の化学合成油の原料と比べたら残りカスです。
各種の油はまず、原油を加熱し、気化する温度の違いから各種成分を取り出す工程があります。
加熱された原油成分は気化する温度が異なるので、都合よく成分が取り出しでき、蒸留の最初にLPGなどの天然ガスがでてきます。
天然ガスが出なくなれば次に温度を上げてナフサ つまりガソリンの原料が取り出され、さらに、次に灯油と軽油が取り出されます
最後に重油がでてきて精製されます
で、残った最後の原油カスがアスファルトなどになります。
エンジンオイルの鉱物油のベースとなる成分はこの蒸留の最後の段階、重油とアスファルトのあいだの段階で取り出しされます。
対して、グループ4の化学合成油は、最初の段階で取り出しされるナフサやエチレンを主原料としていて、油の価値からしても重油より高額なものを使うので、グループ4の化学合成油は高額になりがちです、
まあいってみれば、育ちの違いが最初からあります。
エリート家庭から生まれたサラブレッドのグループ4と5のオイル
対して、一般家庭のグループ1や2のオイル
スパルタ教育を受けてなんとかグループ4に近ずいたグループ3のオイルて感じですかね?
では何故鉱物油じゃダメなんでしょうか。
答えをいえば、鉱物油は温度による粘度変化がかなりあり、そのままでは現代のエンジンには使い物にならず、スラッジの原因となるポリマーを多量にブチこみ粘度を上げ、たくさんの添加剤をいれて、マルチグレードを実現しています。
しかし、添加剤やポリマーは熱や圧力の影響をうけ性能をすぐに落とし、また、強い圧力かけられるとポリマー分子が千切れ粘度が落ち、早い段階で、表示粘度の性能を出さなくなります。
5W-30とかいてあっても、条件がわるければ性能はすぐに5W-20とかになってたりします。当然、洗浄や密封性能も落ちています。
安いオイルは、ポリマーが変質したり添加剤が燃えたり変質してスラッジ発生しやすく、洗浄性や密封性能や粘度変化もすぐにかわります。
しかし、かといって、1リットル3000円する高いオイルでは皆んなが困ります。
そこで、鉱物油を高度に精製して、化学合成油にかなり近い性能を持たせたのが、前回紹介したグループ3 のHIVI 全合成油です。
グループ4や5よりは、確かに粘度変化もあるし、エンジンによくない硫黄分も多少含むけど、とりあえず、現代のエンジンに適合し、ソコソコ安く作れ、かつ、性能もグループ4の化学合成油ぐらいにはもっていけます。
さらに渡りに船とばかりに、グループ3の鉱物油を化学合成と名乗って良い事象がアメリカでおきて現在にいたります。
ユーザーには化学合成といっておけば、少し無理すれば買えるぐらいの値付けをして、利益を沢山のせられる鉱物油を店頭で売っています。
しかも、日本は、化学合成やら鉱物油の表示に規制がありません。
メーカーはアメリカの判例をそのまま持ち込んでいるので、本当のグループ4の化学合成油か、グループ3の鉱物油か見分けがつしません。
これが現状です。
日本市場におけるオイルビジネスは業者からみて美味しいの一言で、秘密はバラされたくないしバラさず、濁して客に売ってる現状もあり、そういう現状もあり、消費者は賢くならなければなりません。
では、そうなると、店頭で4リットル8000円とかはらってるのは本物の化学合成油なのか、鉱物油のHIVIなのかしりたいですよね。
どうやって見分けていくか説明していきます。
エンジンオイルにはベースオイルの分類にはAPI規格(American Petroleum Institute=アメリカ石油協会) という規格が使われています。
それが先程からでてきているグループ3とかの話です。
グループ1 溶剤精製された鉱物油
グループ2 水素化処理精製鉱物油
グループ3 鉱物油をハイドロクラック(水素化分解)したHIVI +化学合成油(PAOなど)
グループ4 化学合成油(PAO)
グループ5 グループ1から4以外あてはまらない化学合成油 だいたいエステル系
ここで、言葉を覚えてください
水素精製あるいは水素化分解(ハイドロ・クラッキング)という言葉です。
多分パッケージとかには、丁寧なメーカーは「高度精製」「VHVI」「HIVI」など表示しています。
この表示があれば、鉱物油のグループ3です。
そして、メーカーのページにいくと
PDS(製品データシート)やMSDS(製品安全データシート)を開示しています。
逆に開示すらしていないのは避けたほうがよいかもしれません。
データシートをみて、基油にHIVIとか高度精製とかかいてあれば、鉱物油です。
逆にPAOやエステルとかいてあれば、本物の化学合成油です
では、なぜグループ4の化学合成油がよいのでしょうか、
それは、ナフサやエチレンから作られる化学合成油は分子構造が狙った通りに作れ、熱に弱いポリマーで粘度を増さなくてもマルチグレードが作れ、圧力による剪断性にもすぐれ、油膜も保持しやすく、まさにエンジンオイルには最適です。
しかし、最大の欠点は値段が高いこと
車の消耗品としてコストがかかりすぎます。
高すぎです。
レースでもやらないかぎり、ハイドロクラックされた鉱物油で十分な性能がでています。
ただし、よくぶん回す人や、500馬力超えてる車は早め早めに交換しないと、性能が維持できないかもしれませんね。
ですので、ハイドロクラックされたグループ3なら満足できる性能はでています。
オイルにこだわるならデータシートをみてみるとよいかもしれません。