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創業82年、前身の洋物店からだと150年の歴史をもつ函館市の老舗デパートが今日その歴史を終えた。

このデパート、棒二森屋は幼い頃の私をわくわくさせた、まさにパラダイスだった。

歴史を感じさせたエレベーターは
エレベーターガールが手動で開閉する
斜め格子状の透けたドア、
待つ側から見る階数表示は半円の時計みたいで、針が現在の階数を指し示した。

袋入りが発売されていないどころか、
そのもの自体を見たことも聞いたこともない時代に、地下の食品売場ではケースに入ったポテトチップスを量り売りしていた。

私が函館を離れた後、新館ができたり、大手の傘下に入ったりと揺れ動いた棒二森屋だが、周辺も和菓子店や蕎麦屋がなくなり大きく様変わりしてきた。
一抹の寂しさを感じつつも、時代の流れには抗えないのだと自分を納得させる。

でも、臥牛山とも呼ばれる身近で美しい観光資源である函館山の中腹にそびえる違和感たっぷりのマンションやけばけばしい色の店舗の存在、観光客専用となってしまい市民は誰も寄りつかない朝市、いったい函館はどこに向かうつもりなのかと、やりきれない気持ちになることがある。

行き着く先はどこにでもある特徴のない小さな地方都市…。

※創業年の記述を一部書き換えました。