
【概要】
遂に会社の同期がクルマを買いました。初車がメガーヌRSとかカッコ良すぎィ!
というわけで今回はメガーヌRS(以下RS)とエステート GT220(以下GT220)の試乗記となります。会社の同期をクルマ好きに洗脳してたらガチで大物を買うからびっくりしました。凄く嬉しい反面、支払い大丈夫かな……。余談ですが、今回お世話になったルノー岡崎店は凄く良いお店でした。とても良い対応だったので近隣の方は是非岡崎店を利用すると良いですよ(宣伝かww)。
【エクステリア】

現行のメガーヌは本当に優美なスタイリングをしています。実はルノーは全然詳しくなく、興味を持ったきっかけはRSとウインドというオープンカーだったのですが、調べてみてもメガーヌがカッコいいと感じたのは現行型のみでした。それだけに不思議な縁を感じてしまいますね。
それはそうと、RSのエクステリアはベースのメガーヌと比べてそこまでデザインが違う訳ではありません。大雑把に違うのはバンパーとホイールくらいだと思います。にも関わらずスポーティでカッコいいのは、ベースのメガーヌが良いデザインだからでしょう。しかしワゴンのGT220より更にスポーティなのは、これらのパーツが良い味付けをしているからなのは間違いありません(GT220は外見的にはほとんどベースのエステートと変わりません)。
【インテリア】

一つひとつのパーツに拘りを感じるインテリアとなっていました。水平にカーボン調のデザインパネルが走っていますが、ゴテゴテとしておらず適度にスポーティさを主張していると思います。エアコンの通風口にはピアノブラックのパネルが装着されており、デザインは普通ながら質感高く感じましたし、エアコンパネルやオーディオも拘りあるデザインに感じました。
【装備】
素晴らしいのはハンドルやシフトレバー、ペダルといった操作系です。テレスコ、チルト両面で調整幅の行き届いたハンドルはドライバビリティに優れており、グリップ感も上々です。シフトはFFにしてはショートストロークでノブも握りやすく、適度に入りやすくて感触も非常に気持ちの良いゴクッと入るものでした。ペダルは標準でアルミペダル(ステンレスかも)なので足元に高級感があります。更にシートはレカロ製バケットシートが奢られているため非常にホールド性に優れている上に、高さ調整まで出来る優れものでした。リアシートも大人3人乗ることができるものが備わっており(3人だと流石に窮屈ですが)、アクセスもフロントシートを倒した際にシートレールまで前にずれる構造なため、かなり楽になっていました(もちろん調整状態は保持されます)。
実用性として重要なトランクルームはこのクラスのハッチバックとしては標準的なレベルで、リアシートはダブルフォールディング機構で折り畳むことが出来るため、容量で困ることは早々なさそうです。ただしこのダブルフォールディング機構が曲者で、座面をまずは起き上がらせるのですが、この時フロントシートをある程度後ろにしていると干渉して起き上げることが出来ないのです。このため足が長い人、身長の高い人だとシートポジションを整えるとダブルフォールディング機構が使えなくなる可能性があります。
それと400万の高級車らしい装備と言えばデュアルエアコンが備わっている点です。この価格ならリアエアコンも……となるかもしれませんが、スポーツカーでデュアルエアコンが備わるのは相当に珍しいと思います。操作性も良好なため、運転中でも操作は結構楽でした。

最後にこのクルマの装備で最も特徴的だったのがR.S.モニターです。ダッシュボード中央に用意されたこれは、ラップタイムや0-100加速時間などを測定できる他、各種セッティング変更も可能な装備です。まさにスポーツドライブ用に用意された意欲的な装備となります。日本だとGT-Rが似たようなモニターを装備していました。ただしR.S.モニターは外部出力機能がないそうで、ラップタイムなどに関しては余り実用性はないかもしれません。しかしセッティングには必要不可欠で、特にスロットル制御は非常に効果的でした(GT220にはこのセッティング機能はありません)。ちなみにモードは一番大人しいSNOWから最も過激なEXTREMEまでの5段階がありましたが、私が気に入ったのはEXTREMEです(笑)。
【運動性】

このクルマの最大のウリはこれでしょう。まずはエンジン。F4Rエンジンは設計が古く鋳鉄製なので重いのが難点と言われていますが、鋳鉄製で頑丈だったことが幸いしたのか、RS用に限界までチューンされたことで265PSものパワーを発揮しています。そのお陰か、全域でトルク感抜群です。街中では2、3速までしか使うことはないでしょうね。実際、意識して5、6速を私は使いましたが、極端に燃費のことを考える運転をしないなら必要ないと思います。それくらい低速トルクは十分でした。1速レッドゾーン手前まで加速させた際も、怒涛の加速力でしたね。本当に良いエンジンです。シフト操作が減るのが珠に傷くらいですかね。ちなみにGT220も十分な性能で、スポーツモードはないですがパワー不足は全然感じませんでした。これなら峠でスポーツカーをカモれます(笑)。
次に素晴らしいのが剛性感溢れるボディ。何km出そうともミシリとも言わない強度はドライバーだけでなくパッセンジャーにも無類の安心感をもたらしてくれます。走行していないので断言できませんが、高速走行は文句なしの得意分野でしょう。難点としては、余りに剛性が高すぎ、風切り音なども少ないせいか、何km/h出しているか分からなくなる点でしょうか。この剛性感はGT220も同様で、ボディの長さも大して気になりませんでした。ワゴンとは思えないほどよく曲がってくれます。シートがレカロだったからか、ロールも余り感じませんでしたね。
足回りも素晴らしいです。ホンダTYPE R並みにロールが少ないにも関わらずTYPE Rよりも圧倒的に乗り心地が良いです。リアシートに座って走ってもらっていませんが、大人4人のドライブも快適だと思います。ただしカタログを見れば分かりますが、この車はかなりコンベンショナルな足回りであるフロントストラット・リアトレーリングアームを採用しているため、4輪独立懸架ではありません。なので車高調などによるチューニングは結構難しいかもしれませんね。今のセッティングがベスト、ということなのでしょう。
【価格】
基本価格は385万、イメージカラーのジョン・シリウスM(イエロー)が400万です。モノグレードなので、後はオプションを付けるだけとなります(しかもほどんどのオプションが後付け可)。このクルマほど価格が分かりやすいクルマもないのではないでしょうか。
ちなみにこの価格が高いかどうかと言われると、非常に難しいですね。強力な2Lターボエンジン、優れたシャシーとボディ、レカロ製バケットシートなどの豪華装備、質感高い内装と見ていくと安く感じてくるのですが、一方で86・BRZの最上級グレードより100万高い価格設定は判断に迷います。2Lターボ枠で言えば、WRX STiだって買えちゃいます。そう考えると、高いとも思うでしょう。
ちなみに私個人としては『安い』と思います。希少な外車ですし、満足度も高いのではないでしょうか。
更に余談を言えば、GT220は約60~80万安い319万です。はっきり言ってお買い得だと思います(笑)。
【総評】
スポーツカーらしいスポーツカー(例えばFRやオープン、クーペといった要素を持つクルマ)は今や日本でも徐々に復活しつつあります。今話題のトヨタ86、スバルBRZなら250~300万出せば買えますし、同じくらいの金額でマツダ ロードスター、ホンダCR-Zも購入できます。生産終了してしまいましたが、350万出せばマツダRX-8も買えましたし、350~400万の予算があればスバルWRX STiや三菱 ランエボも購入出来てしまいます。更には外車とて、500万程度の予算があればメルセデスベンツSLKやBMW Z4を買え、600万あればポルシェ ボクスターやロータス エリーゼが購入出来てしまうのです。
一方でこうしたスポーツカーと少し違う世界を持つのがメガーヌRSです。所謂ホットハッチと呼ばれるハッチバック(コンパクトカー)をベースにスポーティな走りが出来るクルマとして仕立てられたクルマ達は、前述のスポーツカーより実用性が高く、それでいて楽しいクルマとして生み出されました。その頂点はフォルクスワーゲン ゴルフGTiと言われています。しかしこれらはあくまでスポーティなフィーリングを重視したもので、サーキットのラップタイムを睨み付けて限界までチューニングしたクルマとはことなります。それをわざわざ世界で最も過酷なサーキットであるニュルブルクリンクのFF最速を狙うなどと言えば、キチガイ扱いされてもおかしくありません。しかしそれを真面目に狙って開発されたのがメガーヌRSなのです。
長くなってしまいましたが、要はメガーヌRSはピュアなスポーツカーではなく、さりとてホットハッチとしては硬派な存在で、非常に曖昧な立ち位置に存在するクルマなのです。価格も微妙な立ち位置で、日の目に当たりづらい存在ではあると思います。しかしそのスタイリングに惚れたなら一度は乗ってください。きっと、新しい世界が開けてくると思いますよ。
ついでにGT220は貴重な6MTワゴンですよ! 買うなら今しかない(笑)。
ルノー メガーヌRS
・エクステリア … 4 非常にカッコいい。ただしRSらしさは低いか。
・インテリア … 4 シックながらスポーティ。ナビ搭載が難しいのが難点。
・運動性能 … 5 この走りは正に唯一無二。ホンダはこれを越えられるか?
・快適性 … 4 乗り心地が素晴らしい。後席は後一歩。
・積載性 … 3 容量は十分だが、ダブルフォールディングは減点。
・価格 … 3 見方によって安いか高いか変動しやすい。
・総合評価 … 4 最強のFFホットハッチ。6MTは今しかないかも?
ルノー エステートGT220
・エクステリア … 3 ほぼベース車と同じ。でもベース車まず見かけないけど。
・インテリア … 3 RSと同じ内装。シートはやっぱりレカロの方がカッコいい。
・運動性能 … 4 セッティングが出来ないのは難点。他は文句なし。
・快適性 … 4 5ドアというだけで格段に使い勝手が良い。
・積載性 … 4 容量やトノカバーの使い勝手は○。
・価格 … 5 安い上に貴重。本当はこっちを同期には薦めたんだが…。
・総合評価 … 5 最強のFFステーションワゴン(笑)