知り合いに「次はレンジローバーにしました」と言うと意外な顔されます。
それは無理もない。なにしろ、26歳で買ったBMW Z4からはひたすらドイツ車。
結婚してから31歳で買ったAudi A3からはひたすらにAudiを3台乗り続けたから、周りから見ればドイツ車信奉者であり、アウディのロイヤルユーザーだ。
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自分のレンジローバーとの出会いは、かれこれ10年ちょっと前、27~28歳の頃に、放送作家の小山薫堂さんが所有されるレンジローバーの後部座席に乗ったとき。
当時、自分は小山薫堂さんと月に1回位の頻度でお目にかかり、食事やお酒の場で遊んでいただいていた。
小山さんの仕事場からレストランまでの移動で「僕の車に乗っていきますか?」と声かけていただき、お弟子さんが運転するレンジローバー(当時最新型の3rd BMWエンジン)の後部座席に乗った。
後部座席に乗った瞬間「なんだこれ?ドイツ車にはない独特のインテリアだな・・ヨットみたい。座面もフカフカで気持ちいいソファみたいだな」と。
走り出したら更に
「なんだこれ??この浮遊するように走る独特の乗り味はなんなんだ?!」ともういっちょおどろいた。
小山さんはそんな驚く若者を微笑ましく眺めていた気がする。
移動時間にしてわずか5分の後部座席ドライブだったが、自分のなかに強烈なレンジローバーというブランドが頭の中に刻印された瞬間だった。
それまではレンジローバーという車名は聞いたことあるかも?程度で、なんの関心もない車だった。
そもそも独身でオープン2シーターのZ4に乗っていたくらいだから、小さくて軽いスポーツカーが好きで、重くてデカイSUVというカテゴリ自体に無関心で、それらを買う人々を意味不明とすら思っていた笑
でも、そのタイミングでは「すごい、いい車だな。でも自分には軽くて小さいスポーツカーが合ってるから、自分とは無縁の車だな」と、印象に残りつつ、自分のショッピングリストには入らなかった。
エアサスも壊れて大変な出費という話、この頃のレンジローバーは多かった。
そこから時が経ち、自分は結婚し、子供ができた。
子供ができた人はわかると思うけど、赤ちゃんという生き物は、ミルク、離乳食、着替え、ベビーカー・・・持ち歩く荷物が多い。
そうすると、結婚後に4枚ドアという理由で買ったA3の荷台はすぐにパンパンになった。
息子が、少し大きくなり、今度は一緒に公園に出かけたり、自転車を積むようになると、A3ではきついので、次はQ5にした。
でも、Q5になったとき、荷台は増えたが、重心が高くて、スピードを出すとコーナーがこわいし気持ちよくない。
その次は、荷台も大きくて、多少の山道もイケて、でも走りがいいもの・・・と思って、A6 オールロードクワトロになった。
オールロードクワトロは期待通りの車で、オンロードではエアサスを低くして低重心になれば、相当気持ちよく飛ばせる。言えないような速度でも実に安定している。むしろドイツ車らしく速度が高まったほうが気持ちよく安定するくらい。趣味のモトクロスや友だちに誘われて行くようになったキャンプでは、サスを伸ばして、オフロードも気兼ねなく入っていけるのもいい。
でも、スピードを飛ばすたびに家族からは「飛ばしすぎ。家族を載せているのだから気をつけて」と注意され、せっかく飛ばせる車でも宝の持ち腐れ感が出てきた。
そう、家族を乗せていると、そこまでスピードを出せないのだ。せっかく車の重心を低くしたのに(笑)
オールロードクワトロで満足していたのだが、あるとき、ふとレンジローバーを思い出し、新型レンジローバーの試乗に行った。自分で運転するのは初めてだ。
「これ、これだ!」
そう、10年前に後部座席で体験した、ヨットのクルージングのような不思議な浮遊感のテイストは、自分で最新型を試乗しても実感できたのだ。
趣味のモトクロスとキャンプで、更に荷物が増え、息子の身長も伸びてきた自分には、レンジローバーの大きさのデメリットよりも、大きいことのメリットがまぶしく見えたのだ。更に、低重心でスピードを出すシーンも家族とのドライブには不要だ。
スピードを出してアドレナリンに包まれる欲求は、趣味のモトクロスでかなりの部分が満たされてもいる。
独身時代には想像もつかなかった感覚で、自分はその馬鹿でかいサイズのレンジローバーに惹かれていった。
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しかし、レンジローバーはその高額な金額もさることながら、いちいちイギリス王室愛用みたいな由緒正しき家系感を漂わせてくるし、乗り手にも、イギリス紳士なキャラとファッションを求めてくるのがハードル高い…
自分は、はっきり言ってコンサバな伝統富裕層ではなく“成り上がり気質”のDNA。でも、そこまで下品でもない、。という実に中途半端なポジション(笑)
服装は英国紳士とは程遠いラフさ。夏はTシャツ短パンが基本。
自分の気質やファッションと、イギリスの高貴なブランド感がマッチしないなぁ・・・と思っていた。アラフォーの自分には、ちょっと背伸びし過ぎで、50代からの円熟味ある紳士に似合うようなイメージ。
しかし、ある日、何かのメディアで真っ黒のレンジローバーを見かけた。
これでようやくしっくり来た。
ノーブルな王室臭が、真っ黒の悪そうな感じで中和(笑)され、自分が乗っても違和感なさそうに見えたのだ。
正直、アラフォーな年齢からしたら早すぎるという感覚はいまでもある。
でも、本来軽くて小さいスポーツカーが好きな自分は、大きなサイズの車のニーズがあるのは、子供が同居して、一緒にキャンプに遊びにいく年代=今から3~5年程度がピークでは?と思った。
そう、たまたまマンションの平置き駐車場が確保できていることを含めて、
大きい車に乗るのは、今でしょ!!!なのだ。
そう、自分で自分を納得させて、レンジローバーに決めた。
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ちなみに妻はレンジローバーのデザインがガンダムみたいで大嫌いだと言う(笑)
はじめてディーラーに行った時
「なにこのフォレスターやパジェロみたいなの!」
とでかい声で言い放ち、ディーラーの人々を凍りつかせた(苦笑)
これはレンジローバーのみならず、スバリストにも、パジェロファンにも喧嘩を売っているひどい言い草・・・すいません。
そのとき試乗対応してくれたスタッフは間違いなく「この客は買わない」リストに入れ、その後、自分の担当を他のセールススタッフに引き渡した。まぁ賢明な判断だ(笑)
そんな“妻がレンジローバーを大嫌いな見込みのない客”でも、新しくセールス担当になった方はこちらの試乗や見積もりの要望にも真摯に対応してくださり、オールロードクワトロ故障のタイミングでオーダーに至ったのでありました。
欧州の部品メーカーも品質管理レベルがあがり、レンジローバーと言えども昔ほど故障しないのでは?という読みもある。セールスの方いわく、エアサスの故障は昔の1/10以下の発生率だそうだ。
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グレードに関しは試乗を重ね慎重に選んだのですが、、
・5Lスーパーチャージャーは、価格も高いが、何よりも日常速度域のエンジンレスポンスに不感帯があり、自分はその違和感が気になってしまった
・3Lガソリンと3Lディーゼルを比較すると、3Lディーゼルは分厚いトルクによって出足が軽く、アクセルの右足と車の進みがシンクロして気持ちよかったので、燃費ランニングコストだけでなく、ドライバビリティの良さでディーゼルを選択
・タイヤは22インチだとコツコツショックが来て、自分がレンジローバーに求めるまろやか?な路面コンタクトがない。まるでドイツ車みたいだったので、あえて20インチを選択。限界性能は低いけど、このほうがオフロードでホイールのガリ傷に気を使わないし、タイヤのランニングコストや交換コストも下がる。何よりレンジローバーに求めるほんの少しのモッサリ感がでる。22インチだと自分にはギラギラ感が出すぎる…
こんな感じで考えたうえで3Lディーゼル×20インチを選択したのでした。エンジンとホイールサイズで車の印象はかなり変わる。
うむ、長文ですけど、こんなところです。来週納車されたら、またじっくり走り、感想を書くかも。