職場の同僚が入院しまして。
まぁまぁ大きな病気です。
また愚痴っぽくなって申し訳ないのですが、正直彼には手を焼いてきました。
まず机の上を整理できません。
机の上に平積みで書類の山を築き、積み上げきれなくなった書類は足元に置いてみたり、プリンター横の空いているスペースに置いてみたり。
中身はほとんど用済みの書類です。それほど必要のない書類まで何かとコピーをとりたがるので、どんどん貯まります。
巷のゴミ屋敷と変わりません。
私はもちろん、上司に何度注意されても整理せず、あの件どうなった?と尋ねられても、平積みの書類の中からはすぐに書類は出てきません。20分ほども探しつづけているので、大抵は周囲が別の方法で情報を得て答えます。
もう積み上げる場所も無くなって、高く高く積み上げるもんだから、しょっちゅう書類の山が崩れてフロアに散乱するので、仕方なく私が片付けたときは段ボール7箱のゴミになりました。
要は判断力が無いので、とりあえず保留にしかできません。
保留するためにコピーをとり、印刷をし、山に置いておく。
しばらくすると、どこにいったか分からなくなるのでまたコピーする。
その繰り返しなので、同じ書類がいくつも貯まっていきます。
然るべき場所に編綴するべき書類も山の中なので、当然周囲も困ります。
他の部署から回ってきたはずの書類が無く、問い合わせても彼に渡したと言われ、彼に聞いても受け取っていないと言い張り、山の中から見つけ出すと誰かが勝手に入れたと言います。
机の上にはマウスさえ置く場所がなくて、マウスパッドは自分の太腿です。器用に操っていますが、ズボンはその部分だけ汚れています。
他人の話を聞けず、何か尋ねても全く見当違いの答えが帰ってきます。
仕事がはかどるはずもありません。
周囲も彼のおかげで滞った仕事のために残業を強いられています。
彼の所業は周知の事実で、過去に処分も受けています。それでも治りません。
私は、恐らく彼はADHDなんだろうなと思っていましたが、しょっちゅう居眠りをし、居眠りまでいかなくてもボーッと座っているだけの時間が長く、かといって仕事以外のことをやっているときにははそんな様子はないので、単純に生来の無精者ということかもな。と呆れていました。
彼は同期です。
同期ですが、年齢は一回り彼が年上です。
当然職歴を尋ねたことがありますが、そのときはある公職に就いていたと言いました。
何かの機会に、
「確かあの職だったよね?こういうことには詳しいよね?」
と教えてもらおうとしたとき、
「面接に行っただけで就職したわけじゃないから知らない。就職したなんて言ってない。」
と言われました。以前はその職に就いていたときの経験談を語ったりしていたのにです。
彼の言葉は何が嘘で何が本当なのか分からない。全く信用ならない男です。
同期だからと庇ってきたところもありますが、さすがに内部告発制度の利用を考えないといけないかと思っていたある日。
抗がん剤治療のために入院する。
そう言って会社に来なくなりました。
引き継ぎも何もなく、書類もどこにあるのか分からないので、周囲は更に大変です。
誰かが
「お見舞いってどうします?」
と言い出しましたが、別の誰かが
「いらんでしょ、あんな人」
と吐き捨て、誰もそれに抗する意見を述べませんでした。
私も黙っていました。
私は誰も誘わず、一人で彼の病室を訪ねました。社会人としての義務というか、義理というか、要は仕方なくということです。
彼はよほど予想外のことだったのか、目を見開いて驚いた様子でした。
少し痩せていたので、余計にそう見えました。
調子や、副作用はどうかときいていると、
「すまんなぁ。〇〇君には本当に迷惑ばかりかけてきたのに。」
出し抜けに、見たことがないぐらい申し訳なさそうに、俯きながら小さな声でそう言われました。
「思ったよりも悪くって、ステージ3って言われたよ。入院も長引きそうや。」
がんに詳しくはありませんが、良いとは言えないでしょう。そんな告白を受け止める準備はして行ってません。
「これ。食べ物はアカンやろうし、手入れいらんから。□□さんめんどくさがりやろ?」
私はそう言って用意していた見舞いを手渡し、その後、別の約束があったので、それを理由に席を立ちました。
病室へ入るまでは微妙な感情を持っていましたが、帰り道は来て良かったと思っていました。
生死にかかわる病を得たからといって、彼の言葉はやはりアテにならないだろうし、一言詫びられたからといって、これまで何十年の積み重ねはすぐには拭えません。
出かける前に全然別の内容でブログでも書こうと思って撮った見舞いの写真です。
ぶっちゃけ値段が手頃だったということで選びました。今考えてみれば、渡すオッサンもどうかと思うし、渡されたオッサンもどうしていいか分からんでしょう。
「かわいいな。ありがとう。ほんまに。」
ちっとも似合わねぇよハゲ。そんな悪態をつきながら、彼の笑顔を思い出してました。
Posted at 2018/10/29 02:32:59 | |
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