
当初はM6カブリオレとグランクーペのダブルヘッダーの予定でしたが、首都高速の渋滞と台場方面のレインボーブリッジ封鎖で朝一番のM6カブリオレの試乗は予約枠内で時間が確保できずに断念。
グランクーペの試乗車のあるディーラーへ移動。
こちらは試乗の準備がしっかりされていて、外環と東北道を使って高速運転も含めて結構走ることができました。
先代M6と異なり、アクセルを踏み込むと変速ショックもなくスムーズにどんどん加速していきます。
とにかく、走り出しがオートマティック車のようにスムーズで微妙なアクセルワークをしなくてもぎくしゃくせずに自然な走りができます。
SMGとDCTのギアショックの違いは明快です。
1,500回転から5,750回転まで最大トルク69.3kgmをフラットに出力する4.4ℓ V8ツインスクロールターボのエンジンはさすがで、街中の回転数がさほど上がらない低速からでもギアを落とすことなく、アクセルワークだけで十分な加速を引き出すことができます。
また、排気音は先代Mモデルのようにエンジン回転数に合わせて排気音の音程が変化することもなく、室内は静かでおとなしい印象です。
このあたりの運転のしやすさは先代とは段違いです。
BMWの営業マンから一般の女性でも運転できるようになったと聞きましたが、このあたりにあると感じました。
高速道路に入ってフルアクセルを何度かチャレンジしてみました。
フルアクセルにすると低く暴力的な排気音がターボの過給音とともに室内に響き渡り、背中をぐいぐいと押してくれるような加速をします。
速度はどんどん加速していきます。
国内の公道ではこのような楽しみがほんの一瞬であることがとても残念です・・・
逆に、運転が難しいと感じたのは、アクセルを意識的に踏み込むと低音の排気音が室内に響きますが、音程の変化が小さいので、気持ちが高ぶりません。この状況で車速が上がっても実感が伴わないのでほっとくと、見る見ると前の車に近づいてびっくりしてブレーキを踏むことになります。
気が抜けないと感じた瞬間が何度かありました。
慣れの問題なのかもしれませんが、先代M6のほうがエンジン回転数に合わせて排気音が高まっているので、速度の変化も認識しやすく車と気持ちに一体感が生まれやすいと思います。
(もちろん、先代M6のほうが加速がスムーズに始まらないので間に合わせられるという理屈もあるとは思いますが・・・)
ダンパーのセッティングを色々と変えてみましたが、最もハードなスポーツ・プラス・モードにセッティングにすると足回りが極度に硬いリムジンに乗っているみたいで、ちょっとした凹凸のある道路を60km位で走ると室内にかなり強い突き上げを伝えてきます。
サーキットや峠を走るようなことをしないのであれば、少しくらい乱暴な走りをするにしてもコンフォートの設定がベストと感じました。
トランクに9型のキャディーバックの頭を互い違いにすれば、平行に横2本は何とか入ります。
後部座席は大人が普通に座れるクリアランスは確保されているので4乗2バックまでは可です。
さらに、トランクをキャディーバックを2本入れても奥にスペースが残るので、ボストンバック4つも何とかいけるのではないでしょうか。
やはり、グランクーペは相当の実用性は兼ね備えていると思います。
今回の試乗で色々と考えてみましたが、もし先代M6と現行M6が同時に発売されたとしたら、私は操作に対するダイレクト感の強い先代M6を選ぶと思います。
ただ、これから10年か20年経って歳をとったときも同じ選択をするかといえば、そのときには乗り味がマイルドな現行M6と答えるかもしれません。
もちろん、普段使いでの乗りやすさや早さでは先代M6は太刀打ちできませんが、早く走らせるためにパワーバンドに合わせようとギクシャクしたギアチェンジをしながら排気音を楽しむといった運転は歳をとったら薄れていく気がします。
今の自分には、運転する楽しさ=駆けぬける歓びが先代M6のほうが強いということでしょう。
また、気持ちは若くても、反エコカーに対する風当たりが強くなってきたときは先代M6の行く末を考えなければならなくなるかもしれません。
それにしても、グランクーペのオリジナルの6シリーズクーペの形を崩さずに保っており格好良いです。
顔も現行のほうが吊り目で精悍な印象なので好きです。
欧州の自動車各社が4ドアクーペを発売していますが、このグランクーペはベストです。
この試乗車のように外装はブラックに内装がバーミリオン・レッドはM6のイメージにピッタリです。
ホイールもグランクーペの標準より先代M6モデルの延長線上のデザインであるこの20インチのダブルスポークのほうがはるかに格好良いです。
アルピナのグランクーペが発表される日が待ち遠しいです。
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試乗記 | クルマ
Posted at
2013/11/17 23:23:08