先日のGranTurismo Sportを試乗した後に提案や感想を伝えておきました。
そうしたら、MC Stradaleの試乗を提案いただきました。
色々と社内で検討してもらい、高速もOKですとのこと。
どうせなら空いているときに走りたいと希望を伝え、何と日曜日の早朝からという至れり尽くせりの好待遇です。
昨晩から雨でワイパーでしずくを掻き分けながら、苦手の左ハンドルを運転するのは結構プレッシャーです。
それでもイグニッションキーを捻ると、「ブゥォーン」という鋭く大きな音がこだましてやるしかないという気持ちになります。
閑静な住宅街では朝晩にはエンジン掛けられないほどの大きさ!
さすがは、MC Stradaleという名だけあって、室内で聞いていても格好良い音です。
(ご存知かもしれませんが、MCはマセラティのスポーツ部門であるマセラティ・コルセの頭文字で、Stradaleは(レース車両の)公道仕様という意味です。)
MC Stradaleは6速セミオートマなので、操作の説明をしてもらいました。
変速は左右のパドルシフトで行いますが、前進・後進の切替は、センターコンソールにある、前後に配列された「1」と「R」の切替えボタンで行います。
もう少し手前にある「P」という小さいレバーを引くとパーキングブレーキが入ります。
ちなみに、左右のパドルを同時に引くと「N」です。
ギア・ボックスは通常モードの他にスポーツとレースモードがあり、スポーツとレースだとギアチェンジはマニュアルモードになります。
この車の性能を簡単に復習しておきます。
V8 4,691cc DOHCで、最高出力460ps/7,000rpm、最大トルク=53.0kgm/4,750rpm
0-100km/hが4.5秒、最高速が303㎞/hです。
さて、準備ができて試乗開始。
大人しくスタートしたいので、ブレーキを離して・・・といっても前に進んでくれないのでアクセルペダルを踏み込んで通常モードで走り出します。
しかし、オートマモードはどうもギアチェンジが遅くて失速する感じがあり、もどかしいです。
これが嫌でパドルシフトでギアチェンジを始めてしまいます。
この手の車にオートマモードは入らない気がします。
(完成度が低いという酷評ができなくはありませんが、試乗した他のメーカーも似たり寄ったりです。)
むしろ、やむなく誰かに運転を任せるとか、特別なときだけに使うと割り切るほうが良いでしょう。
ということで、我慢が続かずスポーツモードへ。
こちらは快適です!
シフトチェンジも反応が速いし、ドライバーからすれば自分でギアチェンジしているので失速感も気になりません。
ギクシャク感もなく、心地よいギアと思います。
さらにレースモードに入れると、ギアが一段下がり排気音も瞬時に爆音に切り替わります。
さて、高速に入って走り始めて気持ち良いくらい前の車が退いてくれるのが分かりました。
もちろん、交通量が少なかったこともあったとは思いますが、レースモードで走ると100㎞/hでもちょっとしたアクセルの加減で「ウォワーーーン」と吼えてしまい、前方の車にプレッシャーを与えます。
この音がアクセルペダルに振動として伝わってきて、右足太ももまで揺らします。
3速に落とせば相応の加速感は味わえますし、レンジも広いのでギアチェンジせずともかなりの速度まで引っ張れます。
ずっと踏み続けていたい場面ですが、日本の高速道路は許してくれません。
(それに春の交通安全週間が始まっていますし・・・)
この状況でレースモードからスポーツモードに戻すと排気音が消えてしまったと錯覚します。
耳がキーンとなって聞こえなくなってしまったときのような無音のような感覚です。
もちろん、アクセルを踏み込めば排気音が出ていることは確認できますが。
試乗後に担当の営業マンに走り去るのを促して分かったことですが、レースモードが騒がしいといっても車外に較べれば車内は相当静かです。
MC Stradaleは国道の車群に埋もれることなく排気音で追いかけられます。
つまり、車内で音が響いているときは車外ではかなりの爆音です。
購入希望の方はそのあたりは良く検討したほうが良いでしょう。
(マセラティの全車種に共通ですが、バルブを開けないような運転ができる方は合格です。)
レカロシートは座面は硬すぎず適度のクッションはあるし、背中はしっかり押してくれるので長時間でも運転できそうです。
もちろん、手動で前後にスライド、背面もレバーを引いて調整なんていうのもストラダーレだけに許せてしまいます。
(2,000万円超もするのにしょうがない車だなあと心の中とニヤケながら調整できてしまいます。)
内装もアルカンターラで所々にカーボンが使われていて雰囲気満点です。
しかも、この車はオプションで消火器がリアシートの足元に固定されています。
新たな発見といえば、標準仕様のセラミックブレーキ。
案外と効きませんというか、しっかり踏まないと高速ではスルスルとすべっていく印象です。
それだけにカックンとならず、踏んだだけ効いてくるというか踏み込みに比例して効きます。
難点といえば、ステアリングが少し軽いこと。
もう少し重くてずっしりしていると良いかなあといったところ。
それから車が大きいのか、振動がゆっくり伝わってくる感じ。
せめてレースモードにしたときにもう少しツンツンしていても良いかもしれません。
この車はレースカーというよりGTカーだと思います。
音が大きくて街中を走るには場所を選びますが、高速を走る分には最高です。
優雅に他の車より少し速く走ると極上の幸福が得られるのではないでしょうか。
同じ4.7ℓでいえば、先日試乗したSport MCオートシフト(AT車)より運転はかなり楽しいです。
残るは好みの部分で、私には内外装がブラックで左ハンドルはなかなか乗り越えがたいところ。
ただ、MC Stradaleはその特殊な設定から2011年にデビューしてからあまり数が出ていないようです。
希望の中古がでてこなければ、車両価格2,200万円の車をオーダーするしか道がなくなります。
一方、Sport MCシフトであれば、ある程度の物件が流通していますし、内外装も本革でちょっとお洒落な設定もあります。
だとすれば、Sport MCシフト(セミオートマ車)も試してみたいというのが人情です。
それにしてもタイトル画像の写真の酷さに失望しました。
黒い車の特性が頭に入っておらず、こんな写真しかありません。
ほんとうはとても格好良い車です。