
久しぶりの試乗記です。
イタリア街・辰巳での楽しい一瞬からわずか数時間後の話です。
待望のアストンマーティンです。
前回のVanquish Volanteの試乗会のチャンスを逃していたので、是非とも実現したかったV12 Vantage Sの試乗です。
他に、DB9 CoupeとDB9 Volanteが用意されていましたが、乗るならM6よりスパルタンなクルマなので迷いはありません。
集合場所は京浜島の安田造船所というところ。
首都高を大井南ICで降りて首都高沿いに国道357号を走ると2車線で真っ直ぐな道をしばらく走ります。
白バイを2台も見かけ、そのうち1台はクルマを左に寄せて質問をしているところでした。
慣れない道路に不穏な雰囲気を感じましたが、無事に目的地に到達。
試乗車はメタリックが少し混じった白色の(確か)シルバーフォックスです。
内装はブラックが基調でセンターコンソールがピアノブラック、ステッチはシルバーです。
エンジンは、Vanquishと同じものが載っています。
5935cc V12DOHCで、最高出力573ps/6750rpm、最大トルク=63.2kgm/5750rpmを引き出します。
加速性能は0-100km/hが3.9秒、最高速が328km/hとアストンマーティンの市販車としては最高のパフォーマンスです。
さて、試乗のためにV12 Vantage Sに乗り込みアストンマーティン独特の儀式を行います。
クリスタルキーをセンターコンソールの上部中央にある差込口に指で長めに差し込み続けると、ライオンのようなガォーという大きな咆哮でエンジンが始動します。
シート左側のセンタートンネル側面のスイッチでドライビングポジションを調整しますが、座面が低いです。
ハンドル位置も少し上げます。
M6のシートを一番低くして鍛えているつもりでしたが、目線の違いは大きいです。
シートをボンネットにギリギリ目線がかかるくらいまで上げて走ることにします。
アルカンターラのステアリングはさらっとしていて手触り感がよいです。
シート右側にあるサイドブレーキを下ろして差込口左側のDボタンを押すと走りだします。
ただし、V12 Vantage Sはシングルクラッチの7速セミATですからアクセルを踏み込まないと前には進みません。
さっそく、軽くアクセルを踏んで走り出します。
すぐにゴロゴロゴロとアストンマーティンならではのエキゾーストが聞こえ始めます。
まずは、オートマモードです。
ギアチェンジでギクシャクして乗り心地が良くないのはすでに知っています。
そのうち、アクセル踏み込んでギアチェンジしたらアクセルを緩めてスムーズな加速を目指すようアドバイスをもらいます。
E63 M6に乗っているときと同じように運転してみますが、実践してみるとこれが案外と難しい。
運転が慣れてきて分かったことですが、これまたM6と同じで軽く踏んだ時はかなりスムーズに加速ができるのですが、フルアクセルにすると1速から2速、3速のつなぎでバタバタが出てしまいます。
どこが試乗コースだったのか覚えていませんが、2車線の国道357号を走ったときに色々と試してみました。
3速くらいからのアクセルベタ踏みの加速はかなり心地よく、背中をグググッとシートで押していってくれます。
この力加減はE63 M6よりかなり強くて印象的です。
トルクバンドが広いのが効いているのでしょう。
1つのギアで広い速度域をカバーできるので、ギアチェンジせずとも長く力強い加速が味わえます。
それに、トンネルの中でこの加速をするとエキゾーストの反響も楽しめます。
もうこれだけで欲しくなる要素十分です。
ただ、この道の路面は少し凹凸でうねっているところがあったので乗り心地もつかみました。
E63 M6のように時として感じるゴンという激しい振動はありませんでした。
その分、バネのようにピョンピョン跳ねるというか柔らかく路面を飛び跳ねていく感じがありました。
かといって柔らかいわけではありません。
結構、路面の状況をシートやハンドルを通じてお尻や掌に伝えてきます。
やはりGTカーとしての要素ではなく、スポーツカーの要素を入れたクルマなのだなあと感じた瞬間でした。
これは、2名乗りのクルマですが、実際は1名で運転して楽しむクルマだと思います。
女性を助手席に乗せるのはちょっと厳しいかなあという感じがします。
とにかく中間加速の素晴らしさとエキゾーストの美しさには大きな魅力を感じました。
さて、値段は車両価格が2,300万円で乗り出しが2,500~2,600万円だそうです。
実用性を求めてはならないとすると夢のようなクルマです。
アストンマーティンにはどうしても乗ってみたい。
最近、ヴァンキッシュが2015年モデルからリファインされ性能がアップされるというニュースを見つけました。
最高出力:573ps/6750rpm → 576ps/6650rpm
最大トルク:63.2kgm/5500rpm → 64.2kgm/5500rpm
0-100km/h:4.1秒 → 3.8秒
最高速:295km/h → 324km/h
ただ、私が気になったのがエキゾーストです。
以前の試乗記でも記している点ですが、ギアボックスがZF車のTouchtronic Ⅱの 6速ATからTouchtronic IIIの 8速ATになったこともあって、YouTubeで聞く限りはギアに対するエキゾーストの切れが良くなっているみたいです。
しばらくは妄想が続きます。
試乗が終わったらショートクルーズが用意されていました。
羽田空港から飛び立つ飛行機を見ながら優雅な気分で…V12 Vantage Sの背中をぐっと押す加速がしばらくは忘れられません。