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2021年07月10日

Aston Martin Vanquish Sの乗り味(低中速編)

Aston Martin Vanquish Sの乗り味(低中速編) 昨年11月から乗り始めて7か月。
その間に運転したのは僅かに350km。
しかも、車両は製造から3年が経過しているとはいえ、総走行距離は僅か550kmであり、メーカーが狙っているセッティングまで小慣れていない可能性も否定できません。



このような段階で一括りに乗り味と評するには時期尚早と言えるかもしれません。
そう考えると相応しいタイトル探しから始めなければならないことになりますが、ここでは街乗りとは明らかに違う、首都高や外環などを走ったときに感じた印象を取り上げてみたいと思います。



メーカーが公表するVanquish Sの最高速は、201mph(=323km/h) 。
トランスミッションが6速から8速に切り替わった2015年以降のモデルと同じです。
そのうち、日本の高速道路で試せるのは、120km/hまでの世界です。
体感した領域を高速域と呼ぶのは憚られ、走行性能から考えると中速域にも及びません。
そこで、サブタイトルとして低中速編と称することにします。



まず、一般道から高速道路への侵入路でパドルシフトを引いてギアを2〜3速まで落とし、アクセルペダルを床まで踏み込み、エンジンの回転数を上げます。



このとき、アストンマーティン独特のエキゾーストノートに最高出力が603PSまで引き上げられたAM27エンジン特有の中音域のエンジン音が混じります。



高性能スポーツカーと比較すると驚くような加速力はありませんが、Vanquish Sのオフィシャルビデオに収録されている、このときに発せられるノイズに何とも言えない魅力があり、Vanquishの購入を思いとどまらせていた最後の防波堤が決壊した気がします。



さて、十分な速度域まで加速したところで昂る気持ちを落ち着かせ、アクセルペダルを戻してトランスミッションをオートマモードに入れると、それまでステアリングやブレーキペダルなどから伝わってきた舗装路を走ることで生じる細かな振動が消え、滑らかで雑味のない乗り心地に変化していることに気づきます。



また、街中では、路面の凹凸を拾うとビーンという伝達スピードの速い、いかにも硬度の高い金属を伝わってきたような振動が体に入ってきます。
ところが、高速道路になると、コトンと衝撃が柔らかくなり、車体が凹凸をスルリと乗り越えたかのような感じに変化します。
車速が上がったのだから、ゴンとさらに強い衝撃になるのかとおもいきや、意外なほどしなやかな印象です。



少し誇張した例えをするならば、プラスチック製のタイヤの付いた台車の上に直に座ってガタガタとアスファルトの上を走っていたのに、いつの間にか、タイヤをゴム製に交換したうえでサスペンションを組み込み、クッション付きの台座を取り付け、その上に座らされて綺麗な舗装道路を滑るように走っていることに気がついたとでもいうような変化でしょうか。



そして、周りの速度に合わせて流すように走っている限り、自然吸気の6ℓV12エンジンを搭載したクルマに乗っていることを忘れてしまうほど穏やかです。



しかも、車速感応式のパワーステアリングには研ぎ澄まされたような鋭さはなく、繊細な操作は不要です。
というのも、ステアリングを切ると滑らかにステアリングシャフトが回転する感触のみで巻き戻るような慣性も働かず、フロントタイヤがどちらを向いているのか伝わってきません。
何だか手元が心許なく不安になります。



とはいえ、小刻みにステアリングを切ったとしても過剰に反応することもありませんし、経験則でステアリングを切っていけば、車体はほぼ予想どおりのラインを描くので、神経質にならず、大らかな気持ちでステアリングを握っていれば良いというのが正解といえると思います。
個人的な好みでいえば、切り始めからじわりとした重みがあって舵角がイメージできるようにしたいところ。



私なりの解釈としては、アストンマーティンがUltimate GTに位置付けるからには、ステアリングフィールを出しすぎることによりドライバーに細かな情報を伝達して疲れさせないような設計を意図しているのかな、と。
また、高速域に入るとステアリングがドッシリと安定するのかもしれませんが、今のところ、経験した速度域ではそのような実感はありません。



また、トランスミッションをオートマチックモードに設定していれば、スロットルペダルの加減だけで8速もあるギアの中から適切なものを素早く選択して、ストレスなくスムーズに駆け抜けられます。
パドルシフトの操作が必要なのは、V12のエンジン音やエキゾーストノートを楽しみたいとか、瞬時に強い加速が欲しいというような特別な状況にあるときだけです。



サーキットや峠で果敢に走りたいのであれば別ですが、日常の走り方としては8速もある中から最適なギアを探りながら走るということは、ドライバーが手動でナンセンスな気がします。



となると、ダッシュ周りの美しいデザインや室内に漂う独特の革の匂いを楽むこと以外、このクルマから運転中に特別な何かを感じるわけではありません。
ある意味、普通の乗用車と何ら変わりなく、走っていても刺激を受けることもなくとても退屈です。



アストンマーティンは、フェラーリと対比されることがあります。
特に、フロントミッドシップでV12エンジンを搭載したV12 Vanquishをフラグシップモデルに据えて登場させると、同じレイアウトを持つ同世代の575マラネロと比較されるようになります。



そして、その系譜にある599フィオーラ、F12 ベルリネッタ、812 スーパーファストに対して、アストンマーティンはDBS V12、Vanquish、DBS Superleggeraで対抗しているようにもみえます。
しかし、実際に運転してみると、Vanquish SはVanquishに改良を加えて走行性能を大幅に引き上げ、ライバルを圧倒するように設計されたスポーツカーであるようには思えません。



むしろ、優雅に走らせるグランドツアラーの要素が多分に含まれているようにも思えます
モータージャーナリストがアストンマーティン評としてよく口にする、フェラーリやランボルギーニを乗り尽くした方にお勧めですというのはこのことなのかな、と。



その点、私が他のスポーツカーに靡かなかったのは、2012年にVanquishが新型モデルとして発表されたときに感じたデザインの美しさは今も褪せることはなく、所有することで誰に遠慮することなくいつまでもちかくで眺めていられるという満足感を与えてくれるからなのかもしれません。



そして、運転の楽しさは、E63 M6で十分に味わえると割り切っており、逆にいえば、それがE63 M6を手放せない大きな理由の一つに繋がっています。



今や絶滅危惧種に指定されかねない自然吸気エンジンを搭載したクルマではありますが、V10とV12に加えて、発売当時は高性能の代名詞であったDOHCエンジンを搭載した117Coupeの3台が楽しめる夢のような時間がずっと続いて欲しいと思っています。
ブログ一覧 | Vanquish S | クルマ
Posted at 2021/07/10 15:05:38

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この記事へのコメント

2021年7月10日 16:06
慣らしも終わってない状態かな…

“鳴くまで待とう”より”鳴かせみたい”かな〜👺

高速を3速キープでアクセルのON・OFFだけ使用
3000超えれば鳴く(咆える)んじゃない?😙(笑)
コメントへの返答
2021年7月10日 17:31
ぼー&ぽーさん、こんにちは。

メカニックから慣らしは要らないと言われているので、適度に踏んでいます。
私にとっては箱入り娘ではありますが・・・

8速もあるATだとシフトダウンしてもロックアップした感じがなくスムーズな加速感なのですが、首都高の地下トンネル内でちょっと踏んだだけで爆音が響き渡ります!
2021年7月10日 16:09
コメント失礼致します。
興味深く読ませて頂きました。
アストンマーティン、乗り手を最も選ぶクルマではないでしょうか。(惚れたら選ぶもなにも突き進むだけなのですが笑)
一番感心したのは走行距離です。
7か月で350キロ!(ひとつき50キロ)
わたしには絶対無理です!
耐えきれず10倍の3500キロは乗ってしまいます!

これからも大切になさってください。
コメントへの返答
2021年7月10日 17:44
しんぼぽんこさん、こんにちは。

V12エンジンを搭載していながらATというのが不思議な組み合わせですよね。
操作にメリハリのあるE63 M6のほうが自然な感じがします。

大切にしたいと思うと眺めているだけでも良いかな、と満足してしまいます。
流石に最近になってもう少し乗りたいという思いもあり、気にせずに乗れるVanquishがもう一台欲しくて仕方がありません。
(買っても維持費が・・・)

しんぼぽんこさんもスポーツカーに飽きたら乗ってみてください!
2021年7月10日 16:31
エンジンの慣らしも終わっていないですね。
まだまだ Dr.ジキルの顔で、踏むとまた違った顔が見える気がします。

「あの」エンジン音、癖になりますね...

「畏敬の念」を感じさせるクルマですよ。
コメントへの返答
2021年7月10日 17:49
///Ivanさん、こんにちは。

メカニックからは踏んでも大丈夫と言われています。

ギアを2~3速まで落としてスロットルを踏み込むと犯罪的とも思える音が響き渡ります!
やはり中期のVanquishとはちょっと違うエンジン音がします。

実車を見ることなく決めたこの外装色も正解だったかな、と。
乗車中は見えませんが!
2021年7月10日 20:10
こんばんは。

550Kmとはまだ新車ですね。
慣らし運転状態ですね。

ラガーあきさんならではの洞察の深いインプレッションですね。

走りはそれ程楽しめないとしても内装と革の匂いがあれば充分ではないでしょうか?
ギアを落として加速するのは病みつきになりそうですが~
さらに車から降りて撮影する時は至福の時だったのではないでしょうか?
スタイルとボディカラーがいいですよね。

3台を維持していくのは大変と思いますが、仕事のモチベーション上がりますよね。
コメントへの返答
2021年7月10日 22:40
ofcさん、こんばんは。

手元に届いた時点で180kmほどの新車みたいな状態だったので、今まで丁寧に乗り続けています。
メカニックからは踏んでも大丈夫と言われているので、ほんの一瞬を何度か楽しみました。

V12エンジンなのに8速ATという設定が曲者なのです。
都内だと踏めないし流れに合わせて適当なスロットルワークで走らせていると特別感が薄れます!
そうです、いかにも高級そうな黒い革とその匂いは特別です。
視界が狭くて前が見にくいのも特徴でしょうか。

このデザイン、この外装色といい、文句ありません。
3台の維持費をざっと計算すると勿体ないなとは思いますが、稼ぎで維持できる間は頑張りたいと思っています。
最近、駐車場代さえ何とかなればもう一台・・・なんていう妄想に悩まされています!
2021年7月11日 10:39
ラガーあきさん、こんにちは。
Vanquish Sの詳細レビュー、待ってました!
興味深く拝見しました。新車同様のようで羨ましいです。

最近「慣らし運転不要」「暖機運転不要」とかよく聞きますが、これはやった方が良いと思います。
〇〇〇kmまでは〇〇〇rpmまでみたいな厳格なものではなく、感覚的ですが、機関に火が入り、オイルが行き渡って、ギアが嚙み、ペラが回ってタイヤが駆動するのを感じながら走らせる?みたいな?w
メカとオーナーの慣らしですかね・・・

近い内に拝見させてください~
コメントへの返答
2021年7月11日 14:02
アルピニストさん、こんにちは。

オーナー特権を使って提灯持ちにならないように素直に書きました!
アルピニストさんの試乗記のようなインパクトに欠けますが・・・

3台とも暖機はしっかりとしてから走らせています。
目安はエンジン回転数が下がって落ち着くまで。
もちろん運転に慣れていない面もあるので、そんなに無理はしていませんよ!
高いクルマですし。

アルピナグリーンと色目を比較研究するのも楽しいのでは、と思っています。
2022年2月24日 15:32
ラガーあきさん、こんにちは✋

初コメ失礼致します。
ブログにいいねを頂いた、ややこし屋オヤジと申します。
拙いブログにいいねを頂き、ありがとうございました🙇🏻

いいですねー、バンキッシュにM6に117クーペ👍
V12、V10、そしてDOHC‼️
どれも優雅なクーペなんて羨ましい限りです。
僕もその昔、E34のM5に乗ってました。
しかも希少な3.8に。
BM唯一のスーパーカー、M1と同じエンジンを搭載してました。
なのでBMも今でも大好きなメーカーです。

そうですね、アストンは跳ね馬様にお乗りの方が最後に乗る車なのかもしれません。
同じスーパーなお車ならマクラさんにも同じ事が言えるのかも。

いやぁ、しかし走行距離の少なさ、凄いですね。このままだと博物館行きのコンクールコンディションを維持出来そうです👍
僕なんて希少な3.8GT3RSを2年で1.2万kも乗ってしまいました。
先日とあるポルシェ専門の販売店の方に希少車なんだからそんなに乗っちゃいけませんとお叱りをうけました😅

こんなスペシャルな3台でのカーライフ、本当羨ましいです😙
コメントへの返答
2022年2月24日 23:21
ややこし屋オヤジさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。
4台持ちなんて凄いですね!
趣味性の高いクルマを買い集め、運転を楽しまれているなんて羨ましいです。

以前にどこかで、M乗りはやがて高みを求めてポルシェ乗りとなり、最後はアルピナにたどり着くと説いたものを読んだことがあります。
私はV10の魅力に第一ステップで歩みを止めてしまいましたが、3.8GT3RSは巨大な魔物のようにも思います。
果たして魔力から解き放たれて、次のステージに進むことはあるのでしょうか。
ポルシェが誇る最高峰NAモデルをMTで操ること以上の贅沢はないような気もします。

Vanquishは見ているだけでお腹いっぱいになります。外装色の選択も良かったように思います。
当面は所有する歓びを楽しみます。
もちろん、走りたくなったら・・・
これが最初で最後の贅沢なので、飽きないための工夫という意味もあったりします。

欲を言えば、スポーツカーが1台欲しいところですが、さすがに4台は支えきれません。
またややこし屋オヤジさんのブログを拝見して脳内でドライブを楽しむことにします。

プロフィール

「@プリマヴェーラさん、こんにちは。
ビルの合間から見える東京タワーに向かって頑張れ〜、と応援したくなる不思議な気持ち。
今日は良いことあるといいですね。」
何シテル?   12/16 13:04
自分が子供の頃に父親が購入したいすゞ117Coupeに乗っています。 この車なら悪くないし譲って貰えるならと免許の取得とともに軽い気持ちで乗り始めたのが私のカ...
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